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持ち家 vs 賃貸はどっちがお得なのか⁉

社会に出て、30歳ぐらいになると誰もが一度は耳にすると思う「持ち家 vs 賃貸」。

皆さんは、既にこの論争に対する明確な自己の回答をお持ちだろうか?
この論争に対する主義主張は、年代によって大きく異なる傾向が強いと思います。

バブル時代を経験した年代からすると、土地神話説や、ディベロッパーなどによる、マイホームプロパガンダの影響からか、「持ち家」支持者が多い。逆にバブル崩壊後に生まれた世代は、将来がどうなるかも不安なのにもかかわらず、数十年かけて支払いをせねばならない「持ち家」よりは、「賃貸」支持者が多いのも事実です。

今回は、今の時代どっちが優位か考えてみます。

日本での持ち家と賃貸物件の比較
まずは、「持ち家」のメリット及び、デメリットを見ていきましょう。

【持ち家のメリット】
・将来的には資産価値が上がる可能性がある
・自分、家族の資産になる。
・自由に改築やリフォームができる
・住宅ローン控除など税制優遇措置がある

【持ち家のデメリット】
・大きな負債を抱えることになる
・購入時に多くの資金が必要になる
・メンテナンスや修繕費用がかかる
・毎年固定資産税が発生

次に、「賃貸」のメリットとデメリットを見てみましょう。
【賃貸物件のメリット】
・初期費用が少ない
・住み替えが容易である
・メンテナンスや修繕費用がオーナー負担である

【賃貸物件のデメリット】
・将来的には支払い続けることになる
・改築やリフォームなどの自由度が低い
・家賃が高くなる可能性がある

こういったそれぞれのメリットがデメリットがありますが、「持ち家」を支持する人の大きな理由は、やはり「資産になる」という部分ではないか。住む場所がない状態では、賃貸したとしても、一生涯賃料を払い続ける必要があるのであれば、30~35年で自分の資産となる持ち家の方がお得と考える。これは至極当然なような気もします。

では、実際に持ち家(物件購入)した場合と、賃貸した場合の費用を30年という期間で見ていきます。※あくまで目安です。

事前情報として、最新の情報によれば、フラット35を利用してマンションを購入した人の年収倍率は、2024年の時点で全国平均で約7.4倍となっています。地域別に見ると、首都圏では約7.8倍、近畿圏で7.3倍、東海圏で7.0倍となっています。また、中古マンションの場合は全国平均で6.0倍、首都圏で6.3倍、近畿圏で5.8倍、東海圏で5.1倍とされています。年収の「5~7倍程度」とされているようです。

つまり、日本人の30代の平均が450万円程度(28万円/月程度)の場合、物件の購入金額の目安は、2250~3150万円ということです。ただ、物件購入者の約7割近くが既婚者(2018年の住宅・土地統計調査によると、全国の物件購入者のうち、既婚者が約68%、未婚者が約25%、その他が約7%となっています)と考えると、世帯年数が700~800万円と考え、それを基に、物件購入価格を計算すると、3500~5600万円とより身の回りの実際のデータに近づくのではないでしょうか。

これ以降目安として、東京都心で5000万円の物件購入するケースを例に、考えていきます。港区: 2024年の1K物件の平均購入価格は、約5,000万円前後となっています。これは、エリアや物件の特徴によって変動する可能性がありますが、港区の物件は依然として高額です。

  • 新宿区: 新宿区の1K物件の平均購入価格は、約3,500万円前後となっています。港区に比べるとやや手頃ですが、東京の中心地として人気が高いため、依然として高値です。

賃貸価格の目安

  • 港区: 1K物件の平均賃料は、約14万4,660円/月です。港区は東京の中でも特に高級エリアとされており、賃貸価格も他の区に比べて高めです​。

  • 新宿区: 新宿区の1K物件の平均賃料は、約8万9,700円/月となっています。港区ほどではありませんが、交通利便性やエンターテイメント性の高いエリアであり、賃料も高めです​。

シミュレーション

【条件】
物件価格:5000万円 (土地と建物の比率:土地 70%、建物 30%)
頭金:500万円
ローン金利:1.5% (固定)
借入期間:30年
支払い回数: 360回(月払い)

上記の条件の場合、概算として、

固定資産税総額:約700万円※評価額:×0.7(減価償却費は建物価格の3%と仮定)
支払利息:約1000万円
毎月の返済額:約15~16万円(生活コスト、税金の支払いは含まれていません。)
支払総額:約5600万円(※頭金500万円別)

ただし、上記に物件を購入時のいろいろな優遇措置があります。(いろいろ条件があり複雑な計算が必要ですが)その分を、ここでは約500万円と仮定します。すると、支払い総額は、諸々で約5600万円(支払総額+頭金-優遇措置)

次に、上記条件下で賃貸のケースを考えます。前述しましたが、上記の物件を賃貸で借りる際の家賃の目安として、約14.5万円。これを約30年間支払うとします。※初期費用は40万円とします。(敷金、礼金、仲介手数料など)

その場合、30年で総額約5220万円です。ここで、上記との差は、380万円ですが、持ち家の場合、その時点で資産をもっていることになります。仮に、土地の価格が当時と変わらない場合、当時の土地価格3500万円(土地の割合は総額の7割)これに、評価額(税金計算のとは別の転売時に使うもの)を0.8として算出した場合、2800万円。これにかかる税金約14%(長期保有且つ6000万円以下のため)として、約400万円挽いた2400万円が残ることになります。これを加味すると、先程の賃貸が380万円程支払が少なかったのに対して、2020万円程持ち家の方が最終的な支払額が少ないことになります。

持ち家側を贔屓(ひいき)する訳ではありませんが、過去10年間(2012-2022)の東京都心の賃貸価格は、10年で約3割近く上昇していること、そして今後の賃料以外の賃貸条件を維持した場合(広さ、物件の立地を現状維持)30年間で支払う総額は、約6786万円にもなるのです。

結論:
現時点で、もし仮に以下の条件を満たすのであれば、持ち家の方がお得と個人的には考えます。
1.30年間収入が安定している。(支払額が固定している。)
2.住宅環境が購入時と変わらず安定している。(購入後に住宅環境が悪くても、住宅環境・住む場所を容易に変更できない。)
3.ある程度(500万円程度)の軍資金がある。(住宅ローン審査が厳しくなる・総返済額が大きくなる)

しかし上記1に関して、それを確約することは誰もできません。その点、賃貸の場合は、仮に収入が下がった場合でも、契約年に家賃が安いエリアへ引っ越しも容易に可能で、もちろん住宅環境が合わない場合でも、別のエリアへ移動することが容易な点は、やはり賃貸のメリットになると思います。また、30代で頭金を500万近くつくることも容易ではないと思います。仮にコツコツ貯金して頭金を作ったとしても、いつ何時、まとまった資金が必要となるかもわからないことを踏まえると、仮に500万円貯金ができても、一気にそれを頭金として使うのは気が引けるかもしれません。

なので、個人的な理想プランとしては、できるだけ早い段階からある程度の収入が長期的に見込めるような環境で働き、軍資金を貯める。頭金を増やすというよりは、借入金利を固定金利で1.0%に落とせるだけで、上記1.5%のケースよりも総利息額400万円近く安く済むのです。頭金を仮に500→1000万円にした場合、毎月の返済は、15~16万円の場合より1.5万円ほど安くなり、総利息額も130万円程お得にはなりますが、それよりは何があるかわからない世の中なので、500万円はキャッシュフローとして持っておくことが良いかと思います。


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