【読書記録】元彼の遺言状
新川帆立さんの元彼の遺言状を読んだ。
ミステリー小説を読むのは久しぶり。
久しぶりだけど、学生時代から1番好きなジャンルだったので読み出したら止まらなかった。
一言で言うと、とても読みやすい。
この本にまだ出会っていない人向けにネタバレは控えるが、この小説最大の謎であるなんで元彼は自分を殺した人に遺産を渡そうとしたのか?
この謎が明らかになる過程で、散りばめられた伏線が綺麗に回収されていくのがとにかく見事だった。
登場人物が多く、名前も似ているので始めは誰が誰だ?と混乱しそうになったけど、読み進めていくうちに人物たちの外郭がはっきりしてきて苦ではなくなった。
主人公は弁護士だけど、読者を置き去りにしない程度に専門用語を語る。ただ、その語り口、説明がくどくならないバランスが保たれていて読みやすい。
主人公麗子は変わっていて金にならないものには目もくれない、嫌なやつには嫌とはっきり物申す強さがあるが、意外と人間味のある一面を持つところが良かった。
嫌な印象の人物にも、損得だけで動いているようでありながら、その人の言葉を切り捨てず、一度受け止めて返すところが好印象だった。
他人なんてどうでもいいと切り捨てそうなのに、登場人物たちに影響をうけて変わっていく姿は冒頭の麗子からは想像できなかった。
人におすすめしたいと思える一冊でした。
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都内在住元道民。現在育休中。娘のこと。平日ワンオペ育児をしながら思うこと。