ちやほや
ビールグラスをまた一つ空ける
つまみが何だったかなんてもう覚えていない
別に二人で「旅行」したんじゃない
「出張」に行ったんでしょ?
ただそれだけ
拙い私のネイルに気づき
呼んでくれたらいいのにと寂しがり
そんな確信犯的なことはやめなさい
自分から触れられないところに価値があるのです
私の手も
爪先すら
私の意志
あなたたちの手も同じこと
いいじゃないですか
互いに家庭があり、愛すべき妻と夫、子供がいて
その反対のはかりには何が乗っても傾きは変わらない
私だって同じです。
だから、価値があって楽しいの。
今日のために準備をし
少しでも愛らしく見えるように髪をまとめ
負け惜しみの新品のネックレス
家族は何にも言わないけど
家族なんてそんなものだから
かまわない
どうぞみなさんお好きになって
私は誰の手も取らない
終電まで二人で
何をお話ししましょうか?