不妊治療について考える
約4年間治療体験してきた私にとって、この期間は人生二度目の「すべてが灰色に見えていた時間」だった。
職場に新しく入ってきた既婚女性のパートさんが妊娠をきっかけに半年ごと去っていく。そんなことが日常の中で、同じく治療中の同僚と情報交換したり。まさしく治療一色。
私が結婚したのは31歳の頃。東日本大震災の影響もあってか、楽しかった一人暮らしを2年で終わらせてしまった。
あるとき、今のテレビデオでは地上放送が見れなくなるからと、すっぴんで電気屋さんに行ったら気づけば夫と出会って結婚していた。
32歳の誕生日に旦那放置で台湾へ社員旅行に行ったら、整体師のお兄さんに激痛のツボを押され、何が悪いのかと聞くといいずらそうに身体の図面をもってきて、「生殖部分」を指で刺された。
ここで40すぎで閉経を迎えた実母が頭によぎる。
34歳で妊娠しないことをきっかけに不妊治療の門を叩く。
特段悪いことは何もない。ただ卵巣年齢が46歳の事実だけが問題だった。
・不規則な食事
・やせすぎ
・精神的ストレス
・睡眠不足
・睡眠障害
・運動不足
ホーリーワーカーとして走り続けてきた代償が大きく、これがすべて当てはまる。遺伝子的なこともあり、環境も悪かったのだろうと思う。
治療中の診察待ち時間だけで1日4~5時間待つこともある。
病院で鳴り響くオルゴールBGMは大嫌いな音になった。
知恵と習慣は力になる。
やるべきことはすべて試した。
そんな私の心の支えは、妊娠持続期間が長くなっていくことだった。
5回目の妊娠もお腹から生命が消えたとき、絶望しかなかったけど、夢の中の顔の見えない女の子が言うの。
"すぐ戻ってくるから待ってて!"と。
手術後から1ヶ月、本当に彼女はお腹にやってきた(と私は信じている)。
どんな生き方だってすばらしい。
でも望んでいることがかなわない辛さは言葉にならない。
今の世の中で、単純にこれが悪いだの、改善するだのと言えるほどシンプルではなく、今も私の中で答えがでていない。どうしたら幸せな人が増えるだろうか。
「少子化対策がどうのこうの」とテレビメディアを見ながら語る夫の横で、私は自分の意見として何も言えないでいる。
ただ、ひとつだけ言えることがある。
「みんな、がんばりすぎないで」
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