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3DプリントによるDouble Shotキーキャップ考察

こんにちは、Mogma Productsです。
先日、なんとなくの思いつきで二色成形のキーキャップをモデリングしてみました。
思いの外いい感じだったので試作品を発注したのですが、その際のツイートでたくさんの反響をいただきましたので整理して記事にしてみることにしました。

外側のパーツ
内側のパーツ

今回は試作品なので公差は考えずにそのまま発注することにしました。
ちなみに、試作のモチーフは以前制作したデスクマットに登場したキーキャップを再現してみました。

まずは組んでみる

内側がLEDO 6060 Resin、外側が Black Resin

日ごろPCBでもお世話になってるJLCPCBで3Dプリントを発注しました。
3Dプリントも何度か発注させていただいているので品質はなんとなくわかってはいたものの、今回のような細かい造形は初めてだったので出来が楽しみでした。

ランナーのバリを処理して合わせてみたところ、上面の部分も含めて全体がきれいにはまりました。
多少の調整は覚悟していたのですが、あっさりはまったのは正直驚きました。ちなみにですが、縁の白い部分は0.9mmでわりと攻めたつもりでしたがあっさりいけてしまいました。
ただ、今回はコンディションがよかったので公差の少ない仕上がりになっていただけの可能性もありそうなので、何回か発注してみないと精度はなんとも言えないかもしれないです。
また、キーキャップなど細かい造形を設計する場合はガイドラインを一読しておくのがよさそうです。

外側(Black Resin)の表面

左から未処理、400番でヤスリがけ、800番→2000番で水研ぎ

写真ではわかりづらいのですが、届いた状態はうっすらと積層痕がみえるくらいでした。手触りも段差がほとんどわからない程度ですが、光に当てると積層痕やヒケがみえていました。
今回は表面にランナーをつけてしまったので、ゲート処理のついでに表面処理をしていますが、処理せずそのままでも許容できるレベルな気もします(個人の感想です)。
試してはいないですが、外装パーツはアンダーゲートにするのがよさそうですね。
当たり前ですが、2000番で水研ぎまでやるとツルツルになるので余裕があればやったほうがよさそうです。

LEDの透過

そういえばこのレジンはLEDが透過しそうだなーと思って実験をしてみました。

ツイートには1mmと書いてますが、真ん中のLEDが透過している部分の厚みは2mmです。
2mmの肉厚でも下からしっかりとLEDを当てれば透過してくれるようなので内側のパーツを無塗装で楽しむこともできそうです。

接着

市販されている射出成形による二色成形だと製造過程で密着するので気にする必要はないのですが、今回のような2つのパーツを張り合わせて二色成形をするとなると接着が必要になります。

接着剤は水性を選んでみました。
公式サイトにスペックが書いてあるのですが、

  • はみ出しても修正しやすい

  • 拭き取って調整しやすい

  • 匂いが気にならない

あたりが扱いやすそうにみえたので採用しました。
実際に使ってみましたが扱いやすく、しっかりと接着してくれたのでキーキャップの外側を手で持ってキースイッチから引き抜いても分離しませんでした。

塗装

LEDを透過させるならそのままでもいいのですが、デザインによっては塗装もしたいですよね。
レジンは塗料の食いつきがよくないのでサーフェイサーなどで下処理したほうがいいなーと思いつつも届いたその日に我慢できなかったので試しに塗料を直接塗ってみました。

内側パーツをポスカで塗り

ポスカは1度塗りだと透けることがありますが、隠ぺい力は高いので数回塗り重ねました。
結果としては思ったより塗料の食いつきがよく、爪でカリカリしても剥がれる様子はみられませんでした。近くでみてみると上面部に細かい凹凸があるようなので塗料の乗りがよかったのかもしれないです。

あとは、まだ試せていないのですが塗装後はトップコートを吹くのがよさそうな気がしてます。手で触れるものなので実用性を考えると耐久性という点がかなり気になっていたりはします。

ステム形状

実は1点、うまくいかなかったところがありました。
ステムのクリアランスがシビアで加工しないとキースイッチに装着できなかったです。
寸法はCherryMX互換としたのですが、あまり調べずに設計してしまったところもあったのでここについてはもう少し検討する余地がありそうです。


ステムの図面

この設計ですでに壁の最薄部が0.938mmとなっているので、直径を小さくしつつステム部分をわずかに広げて強度を保てるような調整をやってみようと思います。
なお、このトピックは要望があったため追記しました。


試作の感想

いかがでしたでしょうか。
3Dプリントしたパーツを使用してDouble Shotキーキャップを自作できる時代がそこまで来ているようです。

最初はデスクマットのデザインを使ったキーキャップをつくる、くらいにしか考えてなかったのですが、文字や記号を作り込めばオリジナルのキーキャップセットがつくれるんじゃないかとツイートの反応から気づきました。
文字数分のモデリングをするのは大変そうですがチャレンジしてみたいですね。

また、試作を通じて感じたこととして

新たな価値提供ができるのかもしれない、という可能性も感じました。
実用性のあるキーキャップをレジンキットとして世に出すことで新たなつくる楽しみを提供できるでは、とも考えています。

リリースできるかどうかは全くの未定ですが、キーキャップのレジンキットが販売できるといいなぁ。

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