人間に生まれたら幸運か
本当にそうだろうか
ある友人に聞いてみたらこう返された：
「ゴキブリとかナメクジとかに生まれたらイヤだよね」
んーーでもそれは我々人間の感覚であって、彼ら自身はそうは思っていないだろう
他の人にも聞いてみたら
「イワシとか肉牛とか、食べられちゃうじゃない」
「シマウマが生きたままライオンに内臓引っ張り出されて逃げ回ってる動画見たことあるけど、あれ痛そう！人間で良かった！」
とのこと
そりゃあ痛いだろうし、辛いだろうね
でも戦争でかなり悲惨な体験してる人、大勢いるよね
私達はしょうもない理由で非戦闘員が大量殺戮されるケースを数多く見てきた
最近だと、例えば2023年10月にガザでの戦闘が始まって以来、この1年で犠牲者は4万1000人を突破したという
負傷者も含めるともっと多くなるだろう
大きな後遺症が残った人も数多くいるに違いない
野生生物は同種間でこんな殺戮をしない
我々人間は、人間であることで本当に幸福なのだろうか
人間に生まれたら「幸運」？？？？
確かに幸福かどうかはその当人が決めることだから、
「私は人間に生まれて本当に幸福だ」という人を否定する気はまったくない
が
自分は最近「人間で良かった」、とか「人間に生まれて幸運」だとは思わなくなった
最近FIRE(Financially Independent, Retirement Early ; 経済的自立+早期退職)が流行っている
流行っているというか、それを目指す人々が多いようだ（自分もその一人）
要するに働かないで自由に暮らすってこと
でも、野生生物たちは皆Financially independentじゃないの？
人間と違って「お金」などという、便利だけどめんどくさいものに依存しない
雀、蝿、蜘蛛、ダンゴムシ、フナたちを見てみよ
彼らは自らの身体以外に何を所有している？
食物を探さないと死んでしまうけど、言ってみればそれ以外にすることってある？
何か悩んだりする？
そこへ行くと人間は
・何も所有せずに生きることはできない
・住居がないと生活が成立しない
・味覚が変なので変なふうに調理したものしか食べられない
・恐ろしくデリケートなのでちょっと不潔な環境においただけですぐ病気になる
・お金なしでは生きていけない、経済苦で自殺する人すらいる
・衣類がないと天候に順応できない
・災害に対し他の生物に比べて恐ろしく脆弱
・歯磨きしないと口の中が気持ち悪い
・長期間風呂に入らないと体臭がひどい
・お酒飲まないとやってられない
・床屋にいかないと髪とヒゲが伸び放題 etc.
なんて不便なんだ
無論、人間だからこそ楽しいこともあるし、「人間で良かった」ということもあるが、そんなことは人間だから思うことで、それ以外の生物であれば他の種の事情なんか全く無関心なのだから、それを羨ましいとか自らの「不遇」を嘆いたりするわけがない
こういうことを考えると、人間に生まれたことは本当に幸せなのだろうか
上述した以外にも、人間には結構大きな問題がある
それは、「思考」ができるが故に、自らの意思に無関係に勝手に脳内で生み出される様々な想念に悩まされることになったということ
例えば
・今日上司から言われた嫌なこと
・学校で仲間外れにされた、嫌がらせをされた
・過去の自らの行為に対する後悔
・消し去りたい過去の辛く悲しい記憶
・嫌いな奴の言動 etc.
しなくても良いのにこれらをわざわざ脳内で何度も反芻しては嫌な気分をリフレッシュし、また落ち込む、または自ら怒りの炎にせっせと燃料をくべる…
止めたいのに止められない
自分の思考すら制御できない
生まれたばかりの赤ちゃんは、何も考えてなかっただろうに
「幼子の 次第次第に知恵つきて 仏に遠くなるぞ 悲しき」
人は生まれたばかりの頃は何も考えない「無」の状態だったはずだ
幼い頃は、昨日のことを悔やむことも明日を案ずることもなく、ただ毎日を、その瞬間、瞬間を生きていた
それは「マインドフルネス」そのものだ
ところが人は知恵が付くに連れ余計な悩みを抱え込むことになる
大人になれば色々と責任が生じるから、昨日を反省するのも将来のことを検討するのも当然ありうべきことなのだが、気がつくと脳内は考えなくても良い不要なこと＝雑音・煩悩で充満してしまう（今の自分だ）
結果、改めてマインドフルネスを求めて訓練をする…なんという皮肉
そこへ行くと動物や昆虫や微生物たちは、生まれて死ぬまで涅槃寂静の状態ではないか
人間だけどうしてこんなに悩まなくてはならないのだろう
この曲を初めて聞いたときは衝撃を受けた
日食なつこ - 'ヒューマン' Official Music Video [Solo ver.] (youtube.com)
そういう解釈もあるのか