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住宅ローンから金利について

銀行員になったばかりの時に住宅ローンの営業をしていました
よくある不動産屋に営業をかけ新規顧客を獲得する訳ではなく
すでに住宅ローンを組んでいる顧客の高い金利が気になり他行をダシにして
稟議書を作成しあえて金利を下げるような
銀行の利益を度外視した顧客目線での営業をしてきました

突然ですが
金利は難しい!!と思い込んでいませんか?

金利を毛嫌いしている住宅ローンを組んでいる全ての人へ
わかりやすく金利について解説していきます

2023年10月に日銀はイールドカーブコントロールを事実上撤廃
2023年12月に日銀はマイナス金利解除見送り
などなど住宅ローンを取り巻く金利に関するニュースが立て続けにあり
いろんなメディアでも取り上げられることもままあったと記憶しています
自分の組んでいる住宅ローンは大丈夫??
変動金利?固定金利?このままで大丈夫??
わからないから不安、情報が少ないから不安という人に向けて解説します


そもそも金利ってなに??

金利はお金を借りる人が貸してくれる人へ払う使用料率です
お金に余裕のある人(銀行)がお金を必要とする人(企業、個人)にお金を貸します
その時に借りた側は使用料として貸してくれた銀行に利息を払います
借りたお金元金に対して金利を乗じたものが利息です

反対に僕ら個人が銀行からごくごく僅かですが利息を受取る場合もあります
お金に余裕のある個人が銀行にお金を預けます(定期預金、普通預金)
その時に貸した側である個人は使用料として銀行から利息を受取ります

金利(利率)=使用料率(%)
利息(利子)=使用料(円)

様々な金利の種類について

金利には対になる金利のペアがあります
長期金利と短期金利、名目金利と実質金利です
それぞれ合せて覚えると役に立つと思います

・長期金利
 10年国債の利回りを用いるため市場の需給バランスの影響を受けます
 そのため日毎に数値が変わるのが一般的です
・短期金利
 日本銀行が民間銀行に提示する金利で日本銀行が操作している金利です

・名目金利
 物価変動を考慮しない金利です
 通常は貸し手(銀行など)が借り手(個人)に対して提示する利率です
・実質金利
 名目金利から物価変動(インフレーション率)を考慮した金利です。
 名目金利-インフレーション率=実質金利になります
 仮に名目金利が5%でインフレーション率が2%の場合
 実質金利は3%となります

はじめに書いたイールドカーブコントロールは
長期金利を日本銀行がコントロールしていました(例外的に日本だけ)
この政策を撤廃し市場の流れに任せる舵を切ったというニュースです

またマイナス金利解除見送りは
日本銀行が民間銀行に対してマイナスの短期金利を解除して、デフレ経済を正常に戻したい思惑がありますが
物価上昇率、賃金上昇率を加味して解除を見送ったというニュースです

住宅ローンにはどう影響するの??

それではこの金利が住宅ローンにどう影響するのか
固定金利や変動金利がどうなるのか気になる人が多いと思います
これらの金利がどの様に決まるのかをまず解説します

固定金利は長期金利を基準にしている
変動金利は短期金利を基準にしている
この2点の違いがあります。
固定金利を選択している人と変動金利を選択している人
では基準となる金利が異なるため注意が必要です

また各銀行は長期金利と短期金利を基準に住宅ローン金利(店頭表示金利)
を毎月設定しています。
例えば変動金利の店頭表示金利は2.475%ですが
ここから住宅ローン利用者の属性(職業、年齢、年収など)を勘案し
優遇措置(2%マイナスなど)をして実際の適用利率としています

もう少し具体的に深掘りしてみましょう

固定金利を選択している場合

固定金利を選択している人の場合
固定期間(3年、5年、15年など)の間は契約時の金利ですが
固定期間満了後はそのタイミングの長期金利を基準に決定した固定金利
を選択する
もしくは変動金利を選択するかの2択です
ここで注意が必要ですが、契約時の固定金利期間が終了した後の優遇措置は
大抵の場合少なくなることが一般的です
当初2%マイナスしていた場合、次の固定期間は1.5%マイナスになるなど
各銀行は最初の固定金利の少なさをアピールして顧客を囲い込むの必死です
あくどい手法ではありますが契約書にも記載がありますので
確認をお勧めします

仮に日本経済が好景気で金利も徐々に上昇するようになったらどうなるのか
固定期間中は前述の通り金利は一定です
しかし、次の固定期間を選択する場面では契約当初から
大きく金利が上昇していることが予想されます
一般的に固定金利よりも変動金利の方が低い傾向にありますので
変動金利を選択することも選択肢としては有りかもしれません
また、他の銀行で借換え(ローンを組み直す)をするという手段もあります
しかしながら抵当権の設定や保証料支払など手数料が発生するのでよく考えて判断して下さい

変動金利を選択している場合

次に変動金利を選択している人の場合ですが
変動金利は絶えず変動しているかというとそうではありません
6ヶ月に1度に見直しがあり、その都度金利が変動するという商品です
半年に一度銀行から返済予定表が送られてくるのはこれが理由です

銀行によって有る無しがありますが
5年ルール
125%ルール
という変動金利特有の決まり事があります

5年ルールは金利が変動し返済額に差異が出ても
5年間は返済金額は一定とするものです
しかし返済額内訳の元金と利息の割合は利息を優先しますので
将来に元金の返済を残すようなイメージを持って下さい

125%ルールは金利が上昇し返済額が上昇しても125%を上限とするものです
仮に130%上昇していても125%までとなり、残りの5%については
返済の必要がないわけではなく将来へ繰延することになります

どちらのルールも金利上昇によって急激な返済額上昇を食い止める
セーフティネットのような仕組みですが
金利上昇が続けば返済金額は一定でも利息しか返済しておらず
さらには未払利息が発生するなど負の側面もあります
肝心の元金部分の返済ができなくなり
将来への負担を先延ばしにする結果になります

返済金額が125%を超える金利上昇であれば
思い切って固定金利に変えることで月々の返済金額は上昇しますが
未払利息の発生を抑えることができ将来の負担を軽減できるかもしれません
また、固定金利でも他の銀行への借換えを紹介しましたが
5年ルール、125%ルールのない銀行に借換えることも検討の余地があるかもしれません

希望的観測

僕は無駄な利息を払いたくない
過去10年以上変動金利の上昇はないことを理由に
変動金利を当時選択しました
日本全国で住宅ローンを組んでいる人およそ7割は変動金利を選択しています
また借入額の平均は3,700万円と結構高額です

固定金利を決める長期金利は市場の需給バランスで成り立ちますが
変動金利を決める短期金利は日本銀行が決定しています
経済の正常化、銀行の収益健全化のためマイナス金利は解除する見通しで
間違いはないと思いますが
すぐさま変動金利に影響が出るとも思えません

変動金利が上昇すれば家計支出が圧迫され
可処分所得が減少し復調した経済がまた失速する影響もあると思っています
変動金利が上昇するにしてもごくごく緩やかに時間をかけて上昇するのではないだろうかと
願望を抱いています

終わりに

前半の金利については教科書的な内容ですが
後半の固定金利、変動金利については個人的な意見ダダ漏れでした
いろんな人の考え方があっていいと僕は思いますし
どの選択でも後悔がなければ全部正解だと思います

確かな知識を身につけて恐れることなく
金利と付き合っていただけたら嬉しいです

最後まで読んでいただき、ありがとうございました

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