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矢沢あいを読んで大人になった

年末、LINEマンガで、「NANA」が全話無料になっていることを知り、アプリをあわててインストールして読み始めた。
昔何度も読んだはずなのに、ページをめくる(タップする)手が止まらない。

中学生や高校生だったあのころ、少女マンガを読んでは、友だちとキャーキャー言い合っていた。かっこいい登場人物が2人いれば、「どっち派??」なんて議論もしていた。
「僕等がいた」「高校デビュー」「ラブ⭐︎コン」...
みんなで回し読みして、考察したりして、続きが出るのを心待ちにしていた。
いろんなマンガを読んだけど、矢沢あい作品ほど、心に残る(こんな陳腐な表現しかできない自分が悔しい)マンガはなかった。

矢沢あい作品で最初に出会ったのは、「天使なんかじゃない」。

天使なんかじゃない、普通の女の子だよ

あたしは 冴島翠みたいになりたい

今でも思い出せる名言がいっぱいで、イラスト集も買ってもらって、大事にとってある。

次に読んだのは「ご近所物語」。とにかく登場人物たちのファッションがオシャレで、かわいくてかっこよくて、夢に向かってがんばる姿に憧れた。

矢沢あい展に行ったときの。

ご近所を読んだら、「パラダイス キス」も読まなくては!
過去の作品の登場人物たちが、後の作品に登場してくれるのも矢沢作品の魅力のひとつ。
Zipperに連載していたころには出会えてなかったので、単行本を買おうと思っていたんだけど、当時の私にはちょっと値段が高かった。色んなBOOKOFFを巡って探しもとめたのもいい思い出。
Zipperも憧れの雑誌だったから、それも相まって大人のオシャレマンガを読んでる自分がちょっと誇らしかった。

「NANA」は、中学からの友だちが先にハマっていて、一緒にその世界にのめり込んだ。
ヴィヴィアンとか、シドアンドナンシーとか、バンドとか煙草とかタトゥーとか、全部遠い大人の世界な感じがした。
当時の自分たちが、どれほど理解して読んでいたのかはわからない。でもなんか、わからないなりにものめり込める魅力がそこにあったんだよな。

レンが事故で死んだあのシーンを読んだ日の夜には、その夢をみた。心臓がえぐられるような、顔からさーっと熱が引いていくような、そんな衝撃を今でも覚えてる。

矢沢あい作品にはたくさんの登場人物が出てくる。その誰もが個性的で、キャラが立っていて、人間としての魅力がある。
少女マンガによくある、「平凡だけど、真っ直ぐで素直なかわいい主人公」を覆してくれる。

奈々もナナも、弱いとこやダメなとこがあるけど、だからこそ憎めない。他のみんなもそう。

こだわったファッションや、背景の細かい書き込みや、設定の複雑さ、深さ。読みどころ満載のおまけページ。矢沢あいのマンガはすごい。

都合の良いストーリーの展開だったり、背景まっしろのコマばっかりだったり、表紙には力が入ってて魅力的なのに中を見たら絵が雑だったり、色んなマンガを読んだからこそ、矢沢あい作品のすごさがわかる。

LINEマンガでは満足いかず、あらためてコミックスを買い直した。
NANAのその後を描くのはすごく苦しくて大変なのかもしれないけど、1人のファンとして、これからも22巻を待っていたい。

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