これが俺の作品だ!と主張するショーウィンドウ
最近はリフォームコンテストの準備ばかりで、施工事例のページが滞っていたので、私は事例のページ制作に取りかかった。
しかし、予定通りには決していかないのが、ワンマン社長を抱えるわが社なのである。
朝、社長は来るなり、
「うさももさん、表のショーウィンドウにある写真がもう色あせて、古いから取り替えて。」
と私に命じた。
表のショーウィンドウにある写真は、わが社の施工事例の写真らしいが、どう見ても、これって外国の家の写真では?と、疑いの眼差しで見てしまう。そして、その見方は正しかった。
実際の写真は、会社のものもあるのだが、建築雑誌からコピーしてきた写真もあるようだ。
どうりで、やたらカッコいいと思ってた!
そこで、私はショーウィンドウに入ってた、額縁を全て外して、汚れた額縁を拭いた。額縁を外す作業は、社長に命じられたK君も手伝ってくれた。
こうして、私は新しい写真を準備することになるのだが、その前に、額縁を綺麗に拭いた。
これっていつからお掃除してないのか。。。
その後、イラストレーターで写真を作成し、プリントアウトも行った。
これで、綺麗に出来上がるといいけど。写真はWEB用ではなく、印刷用なので、元データを探さなくてはならなかった。
どの写真がどの家のものなのかを探そうとすると、以前はインテリアコーディネーターのTさんがいてくれたので、すぐに探すことができた。だが、Tさんがいない今となっては、自分で調べて元データを探す必要が生じた。
額縁は大きさも向きも違うので、それに合った写真を作らなければならなかった。しかし、どうせ社長のことだから、自分が作った家を目立つようにやれば気に入るのだろうと思い、一番大きなサイズの額縁に入れる写真は、直近の、社長の事例にした。
作業途中で社長が現れ、額縁に入れる写真を見たのであるが、直近の事例の写真には満足したらしい。だが、思った通り、息子さんである店長の作品は引っ込めて、自分の事例の写真に変えろと言う。しかも、同じ物件でも、違う写真にしろと命じられた。
ヤッパリ、自分が大好きなんだな、社長は!
社長が好んで選ぶ写真はロフト付きの吹き抜けの写真が多い。なぜなら、社長は、LDKを必ず2階に置いて、ロフトを設置するからである。どの事例を見てもそのような例が多いのだ。自分の定番である、吹き抜けを見てもらいたい、と思っているが故のセレクトなのだろうが。
こうして、私はせっせと、何枚も写真を作り、額縁に入れ、ショーウィンドウに飾った。何だか、プライベートといい、仕事といい、最近こういう作業を頻繁に行う機会が多い気がした。
全ての作品を完成し、ショーウィンドウに並べたのであるが、それはそれで達成感があった。こういう仕事だと、楽しんでやれるんだけどなあ、と思ったのと同時に、自分はやはり事務には向いてない、と自覚したのであった。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?