オシャレなポストが百均の収納箱に変身
今日は仕事納めの日、当然平和な一日を送れるものと思っていた。
が、しかし、現実は違っていた。
内覧会に使ったのは、賃貸マンションのN邸だったのだが、そこにはリフォーム前から30年も住んでいる、元公務員のMさんという老婦人がいた。
Mさんは大家さんでも何でもなく、単なる賃貸契約を結んでいる住人なのだが、ポストが使いづらいから今日中に変えてくれ、とクレームを言ってきたのだ。
店長はN邸の完成の仕上げとして、シンプルでオシャレなポストを採用した。当然、今時の若者だったら絶対に気に入りそうなものである。しかし、
オシャレとは無縁そうな、このMさんという女性にとっては、使い勝手が一番だったのだ。
確かにそのポストは高齢者には使いづらいデザインなのかもしれない。しかし、私が一番驚いたのは、大家さんでもない、単なる賃貸契約者がそのようなクレームを、直接リフォーム会社に言ってきたことである。
で、肝心の大家さんは全くクレームがないというのだ。店長は、せっかくの仕事納めで、早く仕事を終わらせて、お掃除したかったらしいが、Mさんのクレームによって、大幅に予定変更となってしまったのである。
しかし、店長が最も怒ったのは、そうしたMさんのクレームをそのまま受けて、ポストを変更すると決めた社長に対してであった。
大家さんでもない相手なのだから、ここはそういうデザインなんです、と突っぱねてくれればいいのに、Mさんの言う通りに変更することに決めたのは、おかしい!と激怒していた。
Mさんの言いなりになっただけではない、社長が変更しようとしたポストは、え!!!と思うようなものであった。
何と、近所の百均で、ポストの代わりになるような収納箱を探して来い、とK君に命じたのである。
何でポストが百均の収納箱になるんだ!
こうして、K君は百均で収納箱を物色したのであるが、社長はわざわざ、K君が選んだものを写メールで送って、見せろと言うのだ!その写真を見てから、気に入ったものをK君に指示して買う、ということだった。
百均なのに、なんでケチっているのか?いくつかピックアップして買えば済むことなのに。。。
社長はK君から送られてきた写真を見たのだが、結局気に入ったものがなく、
「私が買いに行きます。」
と言う始末。
最初から自分で好きなものを買いに行けばいいのに。
社長の考えでは、シンプルな柔らかめの収納箱を選んで、それに派手にペインティングするという案だった。当然、そんなアイデアも店長は気に入らないのだ。
社長の好みで、緑か紫のポストだったら最悪だ!
出かけて行った社長が買ってきたのは、ニトリのシンプルな収納箱だった。
私が、
「これって無印の収納箱に似ていますよね?」
と店長に言ったら、
「だから、最初から無印でいいと言ったのに!しかも、このデザインだったらニトリより無印の方がずっとオシャレですよ!」
このように、店長は社長のアイデアが気に入らないようだったが、そうした親子の冷戦によって、私とK君は被害を被ることになるのである。
午前中、社長に呼ばれ、K君は社長室にしばらくいたのだが、戻って来ると、
「社長、今日機嫌悪いですよね、ポストのことが原因だろうけど。社長って言いやすい人に八つ当たりしますよね?」
と言ったので、私も思いっきり頷いた。
しかしながら、こうした出来事は他人事ではなかった。帰り際、嫌だけど、最後だから、顔を見て挨拶ぐらいして帰ろうと思い、社長に内線をして、挨拶したいと言い、社長室に入ったのだが、その後は信じられないことが起こった。
何と、社長は長々と私に説教を垂れてきたのである!
おいおい、今日は今年最後の仕事の日だぞ!こんな日に、人が気分悪くなるようなことを言って残業させるのか?
相変わらず、パワハラのようなことばかり言っていたのだが、最後の方で、結局息子さんである、店長が、Mさんのことを考慮しないようなポストを選んだことについて、愚痴りだした!
結局、社長が本当に、怒りたかったのは店長か?それができないから、私を代わりに責めてくるんだな!
以前勤めていた、インテリアコーディネーターのTさんは、社長にとてもムッとしたとき、
「あの、く〇じ〇い!」
とお上品なTさんらしからぬ台詞を吐いた。
私は、そんなことは、いくら怒っても言ってはいけないと思っていた。
しかし、今日は心から思う!
あの、く〇そじ〇い!!!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?