二十代が終わる話
人は誰しも歳をとる。これは人だけじゃなく、この世の中に生きるすべてのものに当てはまる。はず。
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来月中旬、私は二十代を終え、30歳、いわゆる「三十路」へと入り込む。
十代を終える頃は、これから始まる未来に「わくわくしながら」1つ歳をとる誕生日を迎えていたが、だんだんと、歳をとることに頓着が無くなってきた。むしろ「このまま年齢を重ねて良いのか」とも思うようになった。
人生の先輩諸氏には大変申し訳ないが、私は四十や五十、はたまたそれよりもっと上の歳になった経験が無いので、「若造が何を言うか」と言われても理解ができない。
あいにく私は賢者では無くどちらかというと愚者よりの人間なので「少しの知識」よりも「経験」から学ぶことの方が多い。だってなってみなきゃわかんないもん。ねぇ。
その上で、二十代後半となり、周りは会社で役職がついたとか結婚したとか、果ては子どもができたとか。人生の変化を迎えている。
ところがここにいる齢二十九歳、若干アウトドアをたしなむ独身男性は浮いた話も無く、日々の仕事をあたふたしながらこな…せてないが何とかし、金も無い中で物欲にまかせてKindleマンガとエンゲル係数と緑色のカングー君に金を突っ込んでいる。貯金無し、債務はカーローンと奨学金ありの不良物件。
端的に言うと、実感がわかない。そしてもう一つそこにあるのは焦りなのか不安なのかよくわからない感情。もしかしたら実感が無いだけでできることが増えていて、知識や精神も日々アップデートされているのかもしれないが、その実感が無いとわからないのは私だけなのだろうか。
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私がnoteを始めたきっかけは、とあるお母さんのTwitterが面白く、何せ博学(使い方合っているだろうか…)でインテリジェンス、うちの母親とは大違いですねわかります、という人の投稿に「いいね」をつけたかったからだった。そのお母さんの娘さんは先天性の心疾患持ちで、はかない…いや、彼女自体は気が強いお嬢さんとのことだが、その子やその子の兄弟から始まるエピソードが微笑ましく、心のどこかで勝手な親近感がわいていて、その気持ちを陰ながら「いいね」で伝えたくて、なんとなく登録をした。
そうしたら、このプラットフォームは(言い方は悪いけど)素人からプロまで好きに書いて良いらしいので、FacebookやTwitterとは違う「何か新しいことをしたい」と思い、文章を書くことにした。
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小さな頃、大人になる、というのは世界が広がり、できることが増え、肉体はともかくとして精神的や知識的に成長する事だと思っていた。
実際に小中高生を見ているとその通りなのだ。(彼らは肉体も進化している。)
ただ、アラサー男子の内実はそうではなかった。できることが増えた実感はなく、精神的には14歳で、知識は大学を出てからあまり増えていない。仕事で扱う商材の知識を補充することで精一杯。
各種書類は締め切りギリギリ、掃除洗濯大っ嫌いは直らず、洗濯だけは「しないと着る物が無い」という脅迫概念からやっているけど、部屋はとても人様をお招きすることはできない。
ほんと、ご訪問は予約制なので2週間前までにお申し付けください。
このまま三十路を迎えて良い物か。いや、良いも悪いもあと2週間ちょっとで三十路になるのですでに手遅れなのだが。
ただ、過去を変えることはできないけど、未来は何も決まっていない。
小さな頃から片付けが大嫌いで部屋は万年ゴミだまり。小学校からは「宿題やってこない」「漢字テストが2点だった」という連絡がちょこちょこお家に入っていた少年。いわゆるあたしは、そのまんま29才まで来てしまった。その節はごめんね母よ。
変わらなくて良かったのは興味のある物への探究心である。変わってない、そう思いたい。うん。
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先述のお嬢さんは私が知ったときは1歳半くらいだったが、今は2歳半になった。今のままで行けば、たぶん大人になれるという、希望を持つこともできるようになった。(私は確定だと勝手に思っている。ご本人からしたら複雑なのかもしれないが…)
一緒にいたスカウトは初めて一緒にキャンプを行った時は7歳だったのに、もう18歳でベンチャー隊を卒業してしまった。ちょこまかと動き回っていて何かにつけて怒られていた子も、大学生になって立派なお兄さん・お姉さんになり、将来の夢へと近づくことができた。
二十代で何人もの人とお別れもしてきた。明日も一緒に同じ朝を迎えることができると思っていた人たちが、虹の橋の向こう側の住人となり、朝日を一緒に見る事も叶わなくなってしまった。
何が言いたいかというと、時間はわりとあっという間に過ぎてしまうのだ。そして、様々な予期できたりできなかったりする事象も、同様に訪れ、終えていく。
そんなことを知ってか知らずか、日曜の午後はあっという間に16時を過ぎて、明日の朝にはまた社会の荒波にもまれる。
三十路にもなるいい大人は明日をどう生きれば良いのか、まだ見つけられていない。
でも、道しるべとなる言葉はなんとなく知っている。
As long as you're green you're growing, as soon as you're ripe you start to rot. -Ray Kroc
青い実である限り成長する事ができるが、熟した実は腐り始める。-レイ・クロック
慢心という物で熟しかけた実を再び青くすることができるかが、三十代のテーマな気がした。
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