【第2回】AIが変える“私たちの負担”――行動心理学が教えてくれること
前回の記事では、「感情労働っていったい何?」という基本的なお話をしました。今回は、いよいよAIがもたらす“意外な解決策”について、行動心理学の視点を交えながらお話しします。
人間が疲れる“理由”とは?
私たち人間が「もう無理……」と疲れてしまう最大の要因は、“感情的なやりとり”にあるといわれています。例えば、
クレーム対応の電話でずっと怒られっぱなし
職場で周囲に気を配りながら言葉を選ぶ
ひっきりなしに入る問い合わせの連絡を笑顔でこなす
どれも精神力を大きく消耗しますよね。行動心理学の知見では、人は「相手の感情に引きずられやすい」生きものだとされています。だからこそ、こちらがどんなに冷静を保とうと思っても、相手が苛立っていたり悲しんでいたりすると、自分も少しずつ気分が沈んでしまうんです。
そこにAIが入るとどうなる?
AIは“感情”を持ちません。これは「冷たそう」「機械的で味気ない」と捉えられる一方で、“感情がないからこそ”人間を助けられる場面があるんです。たとえば、
クレームや問い合わせをまずAIチャットボットが受け付ける
どんなに怒号が飛んできても、AIは感情的に反応しません。淡々と定型文で対応できるので、現場スタッフが受けるストレスを大幅にカットできます。定型業務のやり取りをAIに委ねる
社内の伝票処理やスケジュール調整など、人間同士だと「ちゃんと伝わるかな……」「誰かがミスしたらどうしよう……」と余計な不安がつきまとう作業も、AIなら正確かつフラットにこなしてくれます。感情を整理する“下準備”としてAIを活用
メンタルヘルスの相談やコーチングを受ける前に、AIとチャットしながら自分の状況や気持ちを文字化してみる。人間のカウンセラーやコーチに話す前段階で頭が整理されるので、余計な恥ずかしさや緊張を減らせます。
ここに着目すると、「AIが感情を持たないことって、むしろ強みになるんだな」と思えてきませんか? つい私たちは人間同士のコミュニケーションが当たり前だと思ってしまいますが、実は“必要以上に気を遣わなくていい”というのがAIの大きな強みなんです。
次回予告
次回の記事では、AIに頼りすぎるとどんなリスクがあるのか、そして私たちが失ってはいけない“人間らしさ”とは何なのか――そんな少し突っ込んだテーマに移りたいと思います。「ただの機械任せは怖いけど、どこまで自分がやって、どこをAIに任せたらいいの……?」と迷う方は、ぜひ次回もご覧ください。