抜糸した。

入院16日目の昼、担当医がやってきた。初めてちゃんとしゃべった気がする。

回診のときは脳神経外科のドクター4、5人でやってきて「調子はどお?」「悪くないです」「そうですか、お大事にー」みたいに風のように去っていく場合が多かった。担当医以外は背が高くて、眉間に皺寄せて怖い顔してるし。今朝は意を決して「相変わらず頭振ったら頭痛いです。左目が開きにくいです。」と訴えてみた。一番おっかない顔したドクターが専門用語混じりで説明してくれた。主治医だ。「血腫が吸収されていくにつれ、痛みも消えていくだろう。左目は半年くらい様子を見て」とのことだった。

で、昼現れた担当医。一番穏やかな雰囲気をまとっている。抜糸をしにきたのである。
「危なかったんですよー。脳ヘルニアになっててね。ほんと良かった、ここまで回復して」
神様だわ。回診はこの先生だけでいいのに。
6針縫っていたところをパチンパチンとハサミで切ってとりのぞく。痛くはなかった。ホチキス状の針も4本とりのぞく。こちらはチクっとした痛みがあった。
脳ヘルニアになっていて、かなり危なかったという。左目が開けにくいのは、右側の血腫に脳が押されてしまっていたからとかなんとかおっしゃっていた。
穴が開いて、髄液が漏れていたところは塞がった模様。ただ私の髄膜、一部に膨らんでいるところがあって、人よりこの病気になりやすい可能性があるという。つまり破れやすいってことか。再発の恐れがある。
そのあたりのことは退院時に写真を見ながらお話ししますとのことだった。

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