人生が、動く、変わる瞬間

なんでもないことをきっかけに、人生が大きく変わることってあると思う。

突然だが私には生き別れの姉妹ではないかと思うほどウマが合う、ベストフレンドフォーエバーな親友がいる。

彼女は私の人生の後半戦（なお前半戦は〜27歳とする）におけるターニングポイントに必ずと言っていいほど登場する超重要人物である。

例えば私がまだ独身で、一人暮らしをしていた頃。

当時住んでいた蒲田のボロっちいアパートの一室で、
彼女に教えてもらいながら一緒に取り組んだとあるワークをきっかけに、
私は人生最良のパートナーである夫と出会えたという経緯がある。
（このワークがどんなものだったのか？は後日また別の機会に）

夫は誰の目から見てもよくできた人で、超イイ奴だ。

雨の日も風の日も変わらずニコニコとご機嫌で、歌うように噛みしめるように鯖ちゃん愛してる、と言う。
どんなときも私の最大の理解者であり支援者。
私にとって超重要人物である。

そして夫と出会うための土壌を一緒に耕してくれた彼女もまた、私にとって超重要人物なのである。

そんなわけで私は彼女のことを良き友人であると同時に人生の恩人だと思っていて、
いつもは私の人生が動く大事な場面に立ち会ってもらうことが多いなあと思うのだが、
珍しく今日はその逆で、彼女の人生が微かに、しかしキリッと確かな実感を伴いながら、
朗らかな方向へと動いていく瞬間に立ち会わせてもらったように思う。

何がどうして、そんなことになったのか。

遡ること2週間前。転職してからキャリアに悩んでいるという彼女が占いに行くと言うので、興味津々の私は一緒について行かせてもらう約束をした。

そして約束の日の今日、行った後は必ず前向きな気持ちになれると評判で最強の占い師さんに会いに行き、いざ占ってもらった。

すると新しい仕事への可能性が見え始めた。

なんて書くとホントかよ、そんな都合のいいことあるかよと総ツッコミが入りそうだが、
そもそもポテンシャルが高い彼女と、「人間はすべて才能を持って生まれてくる」ことを前提とする占いを掛け合わせたのである。
こんなことができそうですね、の答えを導くのなんて訳無いことだったのだ。

ちなみに彼女はその異様な経歴と実力、そしてそれを活かしていない現状を鑑みた占い師さんにより「帰宅部の室伏広治」と命名されたことも付け加えておく。


話を戻そう。

その新しい仕事を今ここで試しにやってみましょう、と言う占い師さんと彼女とで、
デモンストレーションのような形で実験をした。

ビジネスをやる彼女と、そのお客さんになる占い師さん。
いや、ハンマーを投げる室伏とそれを見守る審判と言うべきか。

帰宅部であってもやはり室伏である。
彼女が放ったハンマーは美しい放物線を描きながら飛び、目標地点に力強く着地した。

その速さと精度の高さに思わず目を見開く審判。

聞けば彼女、毎日ハンマー投げの練習をしていると言う。帰宅部とか言いつつちゃんとやってるじゃん！！！
毎日練習できる才能も含め、やっぱりその新しい仕事向いてますね、是非やりましょうということになった。

いやー向いてます、絶対やった方がいいですと背中を押しまくる占い師さん。
でもそれでも、私にそんなことできるかなあ、と不安そうに語る彼女に、
占い師さんはポンと100円玉を渡した。

「これ、さっきのお代です。これでお客さんの実績、いっこできましたね」


すげ〜〜！対価が支払われてる！！
と思った。

そうだよな、貨幣って価値交換のために存在するんだよなと、貨幣の成り立ちにぼんやりと思いを馳せる私の横で、
彼女はキラキラ光る100円玉を、まるで大事な宝物のように見つめていた。

彼女が両手でそっと握りしめるその100円玉は、
誇張ではなく、私が今までの人生で見たどの100円玉よりも特別で、輝いて見えた。


何の変哲もない100円玉。
普通の人にとっては、本当にただの100円玉。

でも彼女にとっては、人生を変える100円玉になったんじゃないかなと思う。



家に帰ったあと、ドキドキしている、とLINEをくれた彼女。

未来のことは誰にもわからないけれど、
どんな形であれ、何をするのであれ、彼女なら絶対にうまくいくと思う。

謙虚すぎる彼女は、「え、全然だよ」とよく言う。自分なんてなんでもないよと過小評価してしまうところがある。室伏なのに。
そこが奥ゆかしい彼女という人の魅力でもあり、同時に周りからすると少々歯がゆいところでもあるのだが、
でも本当は、自分の力で人生を切り拓いていける人なのだ。


心のなかでこっそりエールを送る。
がんばれー！
これからが楽しみだね！！