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【スタジオ統廃合編】 2018年ニュース総集編

ストリーミング・サービス各社の破竹の勢いを見せつけられ、山が動いた。正確には複合企業各社の統合はこれまでも進められてきたわけだが...これほどまでに強力なコンテンツ戦略を打ち出し続けるネットフリックスやアマゾンのパワーを見てしまったら、急ぎ始めるのも無理はない。

2018年は「ビッグ・シックス」と呼ばれたメジャー・スタジオたちのうち、2社で大きな変化が確定した。ひとつは、AT&T社によるタイム・ワーナー社の買収だ。電話とインターネットの大手プロバイダーが、コンテンツ企業を丸呑みにした。

いまひとつは、言わずと知れたディズニーによるフォックス買収の一件だった。スタジオがスタジオを食うことなど、誰が想像しただろう。しかしフォックスを買収しようと持ちかけたのはディズニーだけに限らなかった。ユニバーサルや米放送大手NBCなどを抱えるコムキャストも、ディズニーに競り負けるまで、フォックスとの「フュージョン」に最後まで積極的だった。

まさに「敵の敵は味方」を地でいく必死さだ。老舗同士の生存競争をまざまざと見せつけられる一年だったと言える。

一方、ミニ・メジャーたるライオンズゲートの苦境や、鳴り物入りでスタートを切ったプロダクションに黄色信号が灯るなど、不景気なニュースに事欠かない一年でもあった。複合企業はさらに手広い商売を展開する足がかりを得たが、事業の無駄を削減する必要に迫られる。こうしてレイオフは加速し、人材は業界を浮遊していく。

そんな才能たちを、潤沢な資金力を持つ新興ストリーミング勢がおさえることになっていくのだとしたら? 諸行無常なハリウッドの勢力図は、2019年も激しく変化していくことだろう。

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スタジオシステム入門。ハリウッド黄金時代の残像
(掲載:mofi 第231号 2018/12/10)

1月−3月

ライオンズゲートM&Aか 報道で株価高騰
買収交渉先はアマゾン、ベライゾン、そして再合併すると言われるヴァイアコム・CBS。中でもアマゾン・スタジオとのM&A話は、映像業界の未来像を占うかのように象徴的。(O)

ディズニーCEOアイガー氏「合併後もフォックス・サーチライトは継続」
心配していた人にとっては一安心、といったところか。今年のアカデミー賞の結果を見れば、テコ入れする必然性が見当たらないこともまた事実。(M)

ディズニー組織改編 ストリーミング・サービス専用の部門を設立
「ディレクト・トゥ・コンシューマ&インターナショナル」部門の長となるのは、これまでの各種M&Aを牽引してきたケヴィン・メイヤー氏。テーマパーク部門を率いてきたボブ・チェイペック氏は、コンシューマ・プロダクツ部門との新統合部署「パークス、エクスピリエンス&コンシューマ・プロダクツ」を統べる。過去20年で最大級の改編と言われている。筆者の背筋も凍る。(O)

4月−6月

コムキャスト、フォックス買収に再度参戦の動き ディズニーと対抗
17年末に524億ドル(5兆9,000億円)で合意に至ったディズニーによるフォックス買収の動きに、コムキャストが再び参戦する可能性が出ている。コムキャストの提示額はオールキャッシュ・オファーで600億ドル。一方、AT&Tによるタイムワーナー買収は垂直型の統合が米独占禁止当局で問題視されており、6月に認可の是非が発表される予定。これが認められれば、コムキャストによるフォックス買収の可能性も現実味を帯びてくると見られている。(O)

コムキャストによるフォックス買収参入の準備進む 同社広報が明かす
ネットフリックスの時価総額が$152.6Bだとすると、さてフォックスは? ディズニーが買収することに合意したフォックスの部分的な値札は、$52.4B。なおこの金額に、FOX NEWSやFOX SPORTSなどは含まれていない。コムキャストはフォックスに対し、より高額な金額を提示する用意がまとまりつつあるとしているが、詳細は明かしていない。ちなみに、ディズニーとの約束を反故にした場合、フォックスは$1.52Bの違約金を支払わなければならない。(O)

ネットフリックス 時価総額でディズニーを抜く エンタメ企業でトップ
会員数1億2,500万人を記録したネットフリックスは一株あたり$349.90を記録し、時価総額でディズニーを僅差で抜く$152.6Bとなった。DVDの宅配サービスから始まった創業21年目のエンターテイメント企業が業界1位へと到達したことの意味はとてつもなく大きい。業態に大きな差があるとはいえ、今後20年ほどの産業構造を占う事件とも言える。(O)

フォックス買収にコムキャスト再戦 提示額$65Bで大差のオファー
ディズニーか、コムキャストか。21世紀フォックスの「ニュース」と「スポーツ」部門を除いた大部分を傘下に収めるべく、2社が拮抗している。フォックスは2017年末、524億ドル(5兆9,000億円)でディズニーへ身売りすることに合意。ところが、コムキャストはオールキャッシュ・オファーでおよそ650億ドルを提示して対抗。フォックスは7月10日、株主の投票で「どちらにつくか」を天秤にかける予定。(O)

AT&TとタイムワーナーのM&A承認 合憲との判断下る
AT&Tによるタイム・ワーナー買収には、米司法省が難色を示し提訴していた。12日、米連邦地裁はこれを承認する判決を下しゴーサイン。通信とメディアの融合で、新たな巨大企業が誕生したことになる。この判決は、コムキャストによるフォックス買収への参戦にも拍車をかけた。司法省が上訴する可能性は残っているが、両社はその間も手続きを進めていく。ちなみに、AT&Tによるタイムワーナーの買収額は、854億ドル(約9兆4,000千億円)。(O)

ディズニー、フォックス買収に対し$71.3Bの破格の提示
週を経るごとに金額は増し、競争は激化する。コムキャストの提示額の$65Bをさらに上回る提示で、フォックスを集中におさめることができるか。業界そのものも、どうなってしまうのか、ニュースを追う立場として目が話せない。(M)

7月−9月

ディズニー・トゥーン・スタジオ、閉鎖
あまり知られてはいないが、オリジナル・ビデオ作品が百花繚乱だった時代、ディズニーが『シンデレラ2』『ポカホンタス2』『ライオンキング2』などの公式続編映画を大量生産していたスタジオがあった。最近では『カーズ』のスピンオフ『プレーンズ』や『ティンカーベル』シリーズなどを製作した「ディズニートゥーン・スタジオ」が、静かにお取り潰しとなった。75人あまりのアニメーターをレイオフしたとの報もある。恐ろしい。(O)

ディズニーによるフォックス買収 米司法省が承認

条件は、フォックス傘下の地方スポーツ局を手放すこと。ディズニーはこの条件を飲んで、フォックス・ニュースおよびフォックス・スポーツを除くフォックスの大部分を買収する。あとは株主による承認を得るのみ。ただ、コムキャストによる対抗案が再び出てくるかどうかにも注目が集まっている。(O)

ワーナー、β版「DCユニバース」配信サービスを夏にローンチ
秋に正式ローンチ予定の「DC」コミックス専門のストリーミングサービスが、8月から試験的にオープンする。同サービスには、2019年にDCコミックス原作のオリジナルドラマ『Titans』『Doom Patrol』『Swamp Thing』などが投入される予定。WBアニメーションからは「Harley Quinn」「Young Justice」などの新タイトルも独占配信される。過去のライブラリも充実するとのこと。各社、ストリーミングの独自展開に拍車がかかる。(O)

コムキャストがフォックス買収を断念 ディズニーに道明け渡す
これにより、ディズニーによるフォックス買収が決定的となった。一方のコムキャストは、欧州で大きなシェアを持つケーブル局SKYを手にするべく、フォックスと買収競争を続ける模様。フォックスの背後にはディズニーがおり、こちらも決して無関係な争いではない。(O)

レジェンダリー、ワーナー・ブラザーズ配給への復帰説浮上
“Detective Pikachu” がワーナーでの配給になったことが先日発表されたばかりだが、レジェンダリーがユニバーサルと締結していた配給契約が今年12月に切れることをうけ、ワーナーに戻るのではないかとの情報が飛び交っている。フランチャイズ作品を欲するユニバーサルからすると痛手になるか。(M)

ディズニー発のストリーミングサービス、情報が一部公開
ディズニーのマーケティング部門出身のRicky Strauss氏が、待望されるディズニーのストリーミングサービスのトップに就任。ジョン・ファブロー監督主導の『スター・ウォーズ』実写シリーズなど、シリーズ10話で$100M規模の作品や、『わんわん物語』『王様の剣』の実写化をはじめとした$20-60M規模の映画作品など、レパートリーも徐々に判明。(M)

オーサムネスTV、ヴァイアコムによる買収の余波で従業員50%レイオフ
先頃までフォックス買収を巡ってディズニーと競争していたヴァイアコムだが、このオーサムネスTVを含む買収活動はほかでも行っていた。オーサムネスTVはデジタル・コンテンツ専門の、いわゆるMCN(マルチ・チャンネル・ネットワーク)と呼ばれていたスタジオだったわけだが、ヴァイアコムは買収が成立した途端、大量の首切りを決行したことになる。大手がリーチを伸ばすのは勝手だが、こう人員削減が頻繁に起きるのは経済によくない。次はディズニー・フォックス間で同じようなことが起きるはずだ。(O)

映画スタジオ Global Road 創業1年以内での経営危機の裏側
2017年8月、中国資本で米インディペンデント配給会社 Open Road と IM Global を合併し、鳴り物入りでハリウッドに登場したGlobal Roadだが、想定していた資金調達の失敗により、こちらもハリウッド史上例を見ない短さで経営危機に陥っている例。映画業界がいかに水物であるかを思い知らされる事例。諸行無常、と言うにも早すぎる。(M)

ネットフリックスに追いつけ追い越せと奮起する大手スタジオ
ネットフリックスが映画業界に激震を与えている様子、それに対してハリウッドの各社各様の対応の様子が読み取れる考察記事。ディズニーはフォックスを買収し、ワーナーはAT&Tと組み、業界全体の勢力図がまさに書き換えられている。ハリウッドのパラダイムシフトは加速するばかりだ。(M)

ネットフリックス、ディズニー製作部門のトップを引き抜き
ディズニーの大ベテランである Tendo Nagenda氏がネットフリックスに移籍することは、フォックスを取り込み会社の構造を作り直す只中にあるディズニーにとっては大きな痛手。ネットフリックス対ハリウッド全面戦争、トップクリエイターに引き続きエグゼクティブ層の引き抜きまで進む展開、待ったなし。(M)

10月−12月

コムキャスト、400億ドルで英スカイ買収 フォックスは持ち株を売却

ディズニーとの代理戦争の様相を呈していた、フォックス対コムキャストの企業買収競争に決着がついた。ヨーロッパ最有力のペイTVチャンネル・英スカイは、コムキャストの軍門へ下った。これを受けて、フォックスは39%を保持するスカイの持ち株を総額およそ150億ドルでコムキャストに売ることを決定。フォックスがディズニーに買収される際の負債額を減らすことが目的だ。一方これを受けて、次はHuluがどこへ向かうのかについて憶測が飛び交っている。コムキャストがディズニーおよびAT&Tの持ち株を買い占めて完全子会社化する、という予測もある。(O)

ディズニー発の配信サービス「ディズニー+(プラス)」名称と詳細が公開ネットフリックス、アマゾンプライムビデオ、AT&T/Warner Media、Appleの各サービスと真正面から対峙する「ディズニープラス」という名前は忘れないように銘記しておきたい。スポーツ系のSVODである ESPN+、そしてHuluともまたちがうブランドで、『ローグ・ワン』のさらに前日譚、『マイティ・ソー』のロキを主人公に据えたシリーズ、『モンスターズ・インク』『ハイスクール・ミュージカル』そして別の『スター・ウォーズ』にシリーズなど、これまで獲得してきたIPを使い倒す番組の布陣を揃える。次回のより詳細なアップデートは来年4月。(M)

ディズニー、フールー時価総額$9.3Bに設定
ディズニーがフォックス分と合わせて60%の株式を保有するストリーミングサービスのフールーの時価総額を、想定より少し高めの数字に設定した。自社のストリーミングサービス “Disney+” とは別のまま存続させるのか、はたまた売却するか、引き続き動向には注視したい。(M)

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