猫の抱っこ

前回のマナーにも通じるところはあるが、猫カフェをやっていると一定数いるのが、どうしても抱っこしたい人だ。年配の方とお子さんに特に多い印象だ。

気持ちはわかる。猫はふかふかふわふわで柔らかくて抱っこしたい。それはわかるのだが残念ながら、猫は抱っこが嫌いな子の方が圧倒的に多い。というと「うちの子は好きだったけど〜」と返されることもあるが、長年一緒にいる子と店にいる保護猫とでは違う。
店によっては抱っこは禁止というところもある。確かにその方が有無を言わさず、抱っこは全てダメ!とできるのだろうが、当店としては色々考えた結果、嫌がらない子はOKというルールにしてある。その為、猫紹介のところに抱っこ度なる指数が存在し、☆1〜5で評価、☆1は大嫌い、☆5は抱っこ大好き、もしくは我慢してくれる、という塩梅だ。
慣れている私と、そうではないお客様とでは、猫の反応も違ってくる為、低く設定はしてあるのだが、今いる子達では抱っこ度☆5つの子がいないのが現状だ。☆1の子は抱っこ大嫌いなので、お互いの怪我防止の為、絶対に抱っこしないでくださいとの注意書きもしている。
・・・なのだが、何がなんでもどうしても抱っこしたいマンは悉く、それを見ないのだ。そしてよりにもよって抱っこ大嫌いの猫に手を伸ばす。何故なのか。

特にやられがちなのが、当店看板娘すあまさん。手が届く位置にいること、小柄で可愛いこと、撫でられる分にはすりすりして甘えてくること。こうしたところから抱っこしたいと思われてしまうのだろうが、すあまは抱っこ度☆1である。実はすあまは比較的抱っこできるのだが、ちょっとしたことで驚き、すぐに暴れて逃げる。爪切りをしているとはいえ、その際に蹴られて引っ掻き傷をつけやすいのだ。あと爪をしまうのが下手らしく、割と常時爪が出ている。マンチカンの宿命だと勝手に思っている。
まぁ、そんなわけで怪我防止の為に星1にしているのだ。

もちろん、私も怪しそうな(というと失礼だが)お客さんからは目を離さないようにしている。「やるよ・・・やるよ・・・ほら、やった!」と私の中の万引きGメンが棚影から覗いている。抱っこの手の形、位置になったらすかさず声をかけている。

なんやかんやと書いているが、自分に置き換えて考えてみてほしい。
『あなたは初対面の全く知らない人にいきなり抱き抱えられても気にしませんか?』という話だ。もちろん人間だってそういうの気にしない人もいるだろうが、猫とて同じだ。それが好きなのは少数派であろう。

要は人も猫も抱っこは関係性ができてからだ。

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