ペット保険サービス分析_海外編①Lemonade
はじめに
こんにちは。株式会社Wizleapで、日本初のペット保険相談サービス「MOFFME」のプロダクトマネージャーをしている、森下です!
MOFFMEは、保険領域全体の中で随一の成長を誇る「ペット保険」にBETしているわけですが、まだまだ日本では、ペット保険領域に取り組むスタートアップは少ないです。
アイペット損保のIRより引用
ただ、業界の状況を始めとして、海外事例の研究や国内企業の状況なども中々公開されていません。
そこで、今週から毎週、noteで海外のペット保険会社や、国内の事業者さんの「ペット保険における」お取り組みをご紹介していきたいと思います!
今週は、一昨年上場し話題になったP2P保険のLemonadeについて、「ペット保険」の目線から解説します。
会社概要、Lemonadeの歴史
Lemonade, IncはDaniel SchreiberとShai Winingerによって2015年設立、2020年7月2日にアメリカで新規上場したInsurTech損害保険会社です。
2022年1月10日現在の時価総額は、2,289,442千ドルです。(日本円で約2兆6,500億円)Lemonadeは、
・賃貸住宅保険
・戸建て住宅用保険
・ペット保険
・生命保険
を提供しています。
保険料が安いこと、そして保険の見積もり・加入手続きから保険金の請求等のサービスが全てオンラインでスピード完結できることで人気を博しています。
Lemonadeのペット保険の特徴
では、本題である、Lemonadeのペット保険をみていきましょう。
Lemonadeのペット保険が伸びている理由は、以下の3つだと考えられます。
①保険料がかなり安い
②保険金支払いが高速
③余った金額が寄付される仕組み
①保険料がかなり安い
参考:https://www.thisoldhouse.com/home-finances/22744453/lemonade-pet-insurance-reviews
Lemonadeの保険料は、他社と比べてかなり安いです。
上の図はノースカロライナ州で「4歳のミックス犬」に加入したときの保険料ですが、Healty Paws社やEmbrace社と比較して、半額以上に安くなっています。
ゴールデンレトリバーやトイプードルなどでも比較しましたが、どの犬種・年齢でもLemonadeはトップクラスに安い保険料でした。
Lemonadeによると、種々の業務の効率化により人件費を削減することで、保険料を安くしているとのことです。
ただ、補償内容を他社と比較した時、一部カバーしていない範囲もあるため、補償内容をシンプルにしているのも安さの理由と言えそうです。
※Healty Paw社によるLemonadeとの補償内容の比較。Lemonadeでは遺伝性疾患がカバーできていなかったり、年間支払金額の制限もある。
②保険金支払いが高速
Lemonadeでは、保険金請求がオンラインで1分程度で完結します。
また、他の保険会社よりも保険請求アルゴリズムがしっかりしているのか、請求から支払いまでがかなり早いです。単純な請求であれば、すぐに支払われるとのことです。
日本のペット保険の場合だと紙で請求の必要があり、そして請求後も振り込みまでに平均的に2週間~1ヶ月程度の時間がかかることを考えるとLemonadeの請求システムはかなり画期的ですね。
③余った保険料が寄付される仕組み
Lemonadeの最大の魅力は、寄付です。未請求分の余った保険料の20%のみをlemonadeが受け取ります。
残り80%は利益として留保せず、未請求分のお金はユーザが選択したNPO法人や慈善団体に寄付されるそうです。
その未請求のお金を還元する先は、ユーザーが自身で選ぶことができ、非営利団体に最大40%寄付されます。
寄付をしている保険会社は多いですが、そもそもの保険商品が寄付をする設計になっているのはLemonadeくらいです。
ペットを愛する人であれば、ペットを大事にしてくれる会社の保険に入りたいと思いますので、この制度はかなり魅力的ですね。
Lemonadeの寄付額の推移(Lemonade公式サイトより引用)
日本とアメリカのペット保険の違い
Lemonadeと日本のペット保険の違いは、上の3つの他にもあります。
例えば、
・Lemonadeの他の保険と組み合わせると10%保険料が安くなる
・予防パッケージをつけることができる
・鍼治療などの理学療法パッケージもつけることができる
・住んでいる地域によっても保険料が異なる
などです。
ただし、これはLemonadeだけでなく他の保険会社でも実施されているケースも多いです。
最も特徴的なのは、「予防パッケージプラン」です。
基本的に、ペット保険では予防に関する治療や手術は補償対象外になります。(例:避妊手術、ワクチン、フィラリア予防、健康診断など)
ただ、予防パッケージをつけるとこちらも補償対象になります。
Lemonade公式サイトより
当たり前ですが最も良いのは、「ペットが健康でいること」です。多くの保険金がおりることではありません。
日本でもペットの病気の予防に注力した保険が今後出てくるのではないでしょうか。
まとめ
ここまで、Lemonadeのペット保険について分析してみましたがいかがでしょうか。
まとめると
・Lemonadeはオンラインで手続きが完結するのが特徴の保険会社
・ペット保険においては、①保険料がかなり安いこと、②保険金支払いが高速なこと、③余った保険料を寄付していることが特徴
・日本の保険会社とは違い、「予防パッケージ」を提供している
となります。
Lemonadeの他に、今後も国内外のペット保険の事例を研究していきます。
次回はbought by manyを研究します。お楽しみに!
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