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売買ルールはシステムトレードの中核!

売買ルールは、日々の株売買の指示を決めるシステムトレードの中核です。最終的に資金を増やせるかどうかは、どのような売買ルールを設定するかにかかっています。

これまでに数多くの伝説的なトレーダが様々な売買ルールを考案し、公表してきました。

売買ルールを構成する要素とその役割を理解した上で、先人のアイデアを検証し、さらに自分のアイデアを加えて改良していく作業は、時間も体力も気力も必要ですが、創造的な作業です。

売買ルールを理解して、資金が増えるトレードをしよう!


売買ルールを構成するもの

トレードシステム「売買ルール」「資金管理ルール」から構成されます。今回はこのうちの「売買ルール」のお話です。

売買ルールは、日々の株売買を行う条件を厳密に決めるものです。
売買ルールとして設定した条件に適合した銘柄が発生したら、売買の注文を出します。仕掛け後の損切りや手仕舞いも売買ルールに基づいて行います。
この条件は機械的に適合を判定できるものである必要があります。
それをプログラム化すれば発注まで全自動化できます。

売買ルールはさらに「セットアップ」「トレード計画」2つから構成されます。
私は以前は、これら2つを混同して考えてしまっていましたが、参考文献[1]を読み、実際にシステムトレードを実践していく中で、この2つに分けて考えることの重要性を理解しました。この2つは似ていますが全くの別物です。

トレードシステムの性能を向上させるために問題点を分析したり、独自のアイデアを取り込んだりするような場合には、「セットアップ」と「トレード計画」のどちらに課題があって、どちらに手を加えようとしているのかを理解したうえで進めるのが、効率的な改良のために重要です。

セットアップがないと始まらない!

セットアップは、これから株価が上昇するのか(支持線が見られ、そこを底として上昇)や下降するのか(抵抗線が見られ、そこを天井として下降)の判断基準となる株価ラインを見定めるための条件です。
これまでに数多くのツールが考案されてきました。広く知られているものとしては、例えば、

・移動平均線
・MACD
・RSI

等があります。移動平均線であれば、例えば「20日移動平均線を上に越えたら上昇トレンド、下に越えたら下降トレンド」のような使い方をします。

私は全く詳しくありませんが、季節性・周期性を用いたものや星占いを用いるものもあるようです。いずれにしても世の中には無数にあります。

ただ、共通しているのは、どれも「これから上昇or下降する可能性が高い」と判断するための株価ラインを見定めるためのツールということです。これがセットアップです。

なお、今の株価よりも上にある株価ラインを、上昇トレンドの判断基準として使い、「それを超えたらさらに株価が上がる(=買いで仕掛ける機会)」と考えるのがトレンドフォロー型のトレード
逆に下降トレンドの判断基準として使い、「その株価を超えたら、反発して株価が下がる(=売りで仕掛ける機会)」と考えるのがスイングトレードです。

セットアップに合致した銘柄が発生し、上昇又は下降の判断基準となる株価ラインを見定めたら、次はそれを使って、本当にその基準が信用できるものなのかを「トレード計画」を使ってさらにチェックします。

すなわち、セットアップに合致しただけでは、まだ株の売買注文はしませんセットアップで行うのは仕掛けの候補銘柄の識別と方向(買いか売りか)の見定めまでです。
実際に仕掛けるかどうかは、「トレード計画」で判断します。

トレード計画に基づいて行動しよう!

トレード計画は、セットアップの条件に合致した銘柄に対して、実際に仕掛けるかどうかの判断を行うための「仕掛けの条件」と、仕掛けが成立したら保有した株に対して行う「損切りの逆指値の決め方」と、利益が出た後の「手仕舞いの条件」3つから構成されます。

仕掛けの条件ってなに?

セットアップの条件に合致しただけで、その後株価がその基準通りに上昇又は下降すると判断するのは時期尚早です。
一時的に上昇の素振りを見せて、すぐに下降してしまう「だまし」の可能性も考える必要があります。

その基準が信用できる確かなものであるかを判断するための、さらなるチェックとして「仕掛けの条件」を使い、この条件にも合致した場合に初めて仕掛けを行います。

例えば、上昇トレンドのセットアップに合致したものに対して、「その日の終値が20日移動平均線を上に越えたまま大引けするときに買う」とか「始値よりも高い終値で大引けするときに買う」のように、株価の上昇を追加で裏付ける条件によって仕掛けの判断をします。

この「仕掛けの条件」と「セットアップ」は混同しがちです。
「セットアップ」は株価の上昇/下降の判断基準となる株価ラインを見定めるもの、「仕掛けの条件」は、その株価ラインを使ってどのように仕掛けるかを決めるものです。

損切りの逆指値の決め方ってなに?

仕掛けが成立し、株を保有することになったら、次は損切りについて考える必要があります。

例えば、株価が上昇すると判断し、買い持ちで仕掛けたものの、その後株価が逆方向に動き、損失が発生した場合には、事前に決めた損切りの株価までは我慢しますが、損切りの株価まで下がってしまった場合には、速やかに損切りします(買い持ちの場合は、株を売って、損失を確定させる)。

株価の行方を予測することはできません
システムトレードでは、株価の行方は予想しませんあるのは過去のデータを用いたシミュレーションによって得られる、確率的な優位性だけです(エッジと呼びます)。
なので、個々のトレードでは勝つこともあれば負けることもあります。負けのトレードもあることは最初から織り込み済みなので、判断と逆方向に株価が動き、損切りの価格に達したら何も考えずに速やかに損切りします。

この損切りの株価は、仕掛けの段階で既に決めておく必要があります。
それは、このトレードで最悪いくらの損失まで受け入れるか、のリスク許容額仕掛け時の注文株数密接に関連するからです。リスク許容額に応じて注文株数を決めます。
これは「資金管理ルール」の管轄です。
つまりトレードシステムを構成する2本柱の「売買ルール」と「資金管理ルール」は密接に関連しあっています。
「資金管理ルール」については、いずれ別の記事で書きたいと思います。

逆指値ってなに?

あと、逆指値というのは、株の注文方法の1つです。
価格を指定して行う通常の注文を指値注文と言います。
買う場合は、安く買えるほど好都合なので、買いの指値として指定した価格よりも株価が下がった時に注文が成立します。なので、結果として指値よりも安い値段で買われる場合があります。

逆指値の場合は、指値注文とは逆方向の条件が設定できます。つまり、買う場合は、指定した価格以上まで株価が上がったら買い注文が入るようにできます。

買い持ちの損切りの場合には、株価がある値段を下回ったら売る、という条件になります。通常売る場合は高く売れるほど好都合ですが、損切りでは一定の株価まで下がった時にだけ売りたいので、逆指値による売り注文を使います。

手仕舞いの条件ってなに?

手仕舞いとは、保有する株の価格が期待する方向に進み、利益(含み益)が出てきた場合に、どのようにその利益を確定させる(手仕舞いする)かを定めるものです。

具体的な価格を設定し、その価格に達したら手仕舞いする、という方法だけではなく、株価が期待する方向に進むのに合わせて、損切りの価格を追従させていき、その後、追従させた損切り価格まで株価が戻ったところで手仕舞いするという、トレイリングストップという方法もあります。
手仕舞いの条件も、仕掛け時に決めておく必要があります。

最後に

システムトレードにおける2本柱の1つである売買ルールは、システムトレードの中核です。先人達は、売買ルールの聖杯を見つけるために無数のアイデアを考案しました。でも、いまだ聖杯は見つかっていません。今後も見つからないでしょう。

システムトレードにあるのは、確率的な優位性だけです。
優位性がより高い売買ルールを考案することは創造的な作業ですが、苦悩が伴います
私は時間があるならずっとやっていたい、専業でやりたい、と思えるほど、病みつきになる作業です。

良い売買ルールを見つけても、割り当て資金が少なく、ちまちまトレードを続けていたのでは、資金はなかなか増えません。
また逆に、割り当て資金が多すぎると、良い売買ルールであっても破産のリスクが高まります。
そのバランスを取り、効率よく資金を使って、良い売買ルールの性能を最大限発揮させるために必要なのが、2つ目の柱の資金管理ルールです。

資金管理ルールもいずれご紹介したいと思いますが、その前にまずは一例あった方がイメージしやすいだろうと感じ始めてきたので、次回はトレードシステムの一つをシミュレーションによって検証した結果をご紹介できればと思っています。

今回も最後までお読み頂きどうもありがとうございました。
引き続き地道に頑張りたいと思います。

参考文献

[1] システムトレード 基本と原則, ブレント・ペンフォールド(著)




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Moff & Jolly
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