Windows11をインストールしたPowerEdge R630を離れた場所から起動しよう!
Wake On LANは、PCの電源ボタンを押すことなく、ネットワーク上の別のPCから信号を送るだけでPCを起動させることができる機能です。
私がトレードシステム解析用に使っているようなサーバ計算機は、一般のPCのようにディスプレイとキーボードを直接つなげて、その前に座って操作するような使い方はあまりしません。離れた場所からネットワーク経由で接続して操作する場合が多いです。
だったら起動も遠隔でしたい!今回は、その方法をご紹介します!
遠隔で起動したい!
前回の記事にて、Dell PowerEdge R630にWindows11をインストールしました。
この計算機はトレードシステムの解析用なので、解析をする時だけ起動させて使用します。解析時は、別のPCからSSHやリモートデスクトップを使って接続して使うので、起動も離れた場所からできるととても便利です。
また、外出先から自宅ネットワークに接続して作業している時にも、サーバ計算機を起動して使えたら便利です。
PowerEdge R630をWake On LANで起動できるようにするには、BIOSの設定とWindows11の設定の両方が必要です。
では、それぞれ見ていきましょう。
BIOSの設定
電源を入れて、画面の左上に「F2 = System Setup」と出てきたらF2を押し、セットアップ画面に入ります。
System Setup Main Menuから「Device Settings」に入ります。
私のR630はネットワークインタフェースが4ポート付いていますので、それらが4つ表示されています。その中の一つ「Integrated NIC 1 Port1: Intel(R) Gigabit 4P I350-t rNDC- XXX」を選択して、個別の設定画面に入ります。
個別の設定画面にて、「NIC Configuration」を選択します。
「Wake On LAN」という選択肢が出てくるので、「Enabled」を選択して「Back」をクリックして戻ります。
この作業をWake On LANを有効化したいネットワークインタフェースの分だけ繰り返し、保存し、再起動します。
以上で、BIOSの設定は終わりです。
Windows11の設定
私のR630に搭載されているネットワークインタフェースは、「Intel(R) Gigabit 4P I350-t rNDC」というもので、ドライバはWindows11インストール時に自動で適用されていましたが、IntelのものではなくMicrosoftのものでした。
Microsoftのドライバの場合には、Wake On LANの設定項目が出てこないので、Intel版を適用する必要があります。
ネットワークインタフェースの名前でググるとIntelのドライバダウンロードサイトにたどり着くので、そこからドライバファイルをダウンロードします。
私の場合は、「インテル イーサネット・アダプターコンプリート・ドライバー・パック」のバージョン29.3.1が最新でしたので、それをダウンロードしました。
ダウンロードしたzipファイル「Release_29.3.1.zip」を解凍し、作られたフォルダ内のドライバーを適用します。
ネットワークインタフェースのプロパティを開いて、ドライバーの更新を行います。
「ドライバーの更新」をクリック。
「コンピュータを参照してドライバーを検索」を選択し、Intel版ドライバのzipファイルを解凍して作られたフォルダを指定して、次へ進みます。
これでIntel版ドライバのフォルダの中から適切なファイルが検索・選択されて適用されます。
Intel版ドライバが適用されたらネットワークインタフェースのプロパティにてプロバイダーがIntelになっていることを確認します。
Intel版ドライバが適用できたら、次はドライバの設定をします。
「電源の管理」タブを選択し、
電力の節約のために、コンピュータでこのデバイスの電源をオフできるようにする
このデバイスで、コンピュータのスタンバイ状態を解除できるようにする
の2つにチェックマークが入っていることを確認します。
次に「詳細設定タブ」を選択し、「PMEをオンにする」を有効にします。
加えて、同じリストの中にある、「Wake ON Magic Packet」を有効にします。
Microsoft版のドライバだとこの選択肢が出てこないため、Wake On LANを使えるようにできませんでした。
ドライバの設定は以上です。
なお、インターネットでWindows11におけるWake On LANの設定方法を検索すると、コントロールパネルの電源オプションにて「高速スタートアップを有効にする」のチェックを外して無効にする作業が出てくるのですが、私のR630の場合には、選択肢として出てきませんでした。
なので、電源オプションでの設定作業は特にすることなく、Wake On LANが可能になりました。
以上で、Wake On LANで起動される側(今回はWindows11)の設定は終わりです。
Wake On LANでネットワーク上にある別のPCを起動させるためには、Magic Packetを送る必要があります。
Magic Packetを送るためのソフトウェアはいくつもあるようですが、私の場合はUbuntu上からコマンドでMagic Packetを送信するケースがほとんどなので、その方法を次にご紹介します。
UbuntuからMagic Packetを送信する
まず、Magic Packetを送信するためのソフトウェアをインストールします。
このソフトウェアを使って、Wake On LANで起動させたいPCのネットワークインタフェースのMACアドレス宛にMagic Packetを送信します。
なお、ネットワークインタフェースのMACアドレス(上記の「24:8Q:63:91:D2:16」の部分)は、Windowsの「ネットワーク設定とインターネット設定」から使用しているNICのプロパティを開くと、下方に「物理アドレス(MAC)」として記載されています。
なお、私の自宅ネットワークもそうなのですが、PCが複数のネットワークインタフェースを持っていて、それぞれが別のサブネットにつながっている場合には、MACアドレスを送信するときにどちらのサブネットの方に送るのかを指定しないと、Magic Packetが相手のPCまで届かずに起動できないことがあります。
サブネットを指定したい時には、「-i」オプションを使って、送りたいサブネットのブロードキャストアドレスを指定します。
UbuntuでのMagicPacketを送るための作業は以上です。
ここまでの設定で、私のWindows11が動くR630は、同じネットワークのUbuntuからのコマンドで無事に起動できるようになりました。
最後に
今回は、Windows11をインストールしたPowerEdge R630を、Wake On LANを使ってネットワーク上の別のPCから起動する方法を紹介しました。
PowerEdge R630は起動時や高負荷時はファンの音がとてもうるさいので、我が家では小屋裏に設置しています。
私の作業部屋も同じ小屋裏ですが、なるべく離れたところに座っていますし、下階で遠隔で作業している時や、外出時に自宅ネットワークに入って作業したい時などには、遠隔で起動できるととても便利です。
Windows11をインストールした時と同様に、今回もPowerEdgeにて同じことを試みている記事をインターネットで見つけられなかったので、Wake On LANで起動できるようになるまでにはそこそこ時間を要しました。
特にMicrosoft版ドライバではダメで、Intel版ドライバを適用しないといけないことに気が付くまでに時間が掛かってしまいました。
Windows11をインストールする前は、OpenSUSEをR630に入れていたのですが、その時にはドライバの入れ替え作業は必要なかったので、まさかという感じでした。
私が学生だった頃に比べるとLinuxの方が便利なことも増えてきた気がします。
同じことに取り組まれる方のご参考に少しでもなれば嬉しいです。
できるだけお金をかけずに高性能サーバを仕立てる作業を今後も頑張ります!
私の取組をご支援頂けるようでしたらサポートを頂けますと大変助かります!頂いたサポートは、投資資金やトレード用計算機環境の改善等のために使わせて頂きます!