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後輩はちょっと苦手で、最高に可愛い


このあいだ、社会人になって初めてできた後輩くんと喋った。

年下の子と久しぶりに話して思い出したけれど、そういえば私は学生の頃からずっと後輩が苦手だった。


理由は確かではないけど、私の場合ひとりっ子でずっと大人に囲まれてきたから、年上への愛され方みたいなのは自然と体得してきたけど、年下への接し方が分からない感じなのかなと思う。

家でも親戚の集まりでもとにかく大人の会話だらけ。だから大人の会話におけるテンションやノリ、話し方をなんとなく知っていて、それに入り込むことはわりと容易な気がしている。

それが逆に、年下という存在にはしっかりした姿を見せなきゃとか、リードしなきゃみたいな責任を無駄に感じてしんどくなってしまう。できることならずっと先輩になりたくないという甘ちゃんな私が出現する。あと、先輩に好かれる方法は感覚的に分かるけど、後輩になるとそうもいかないし。


しかし現実では先輩になる時が来てしまう。学生になった途端に部活やサークルで後輩に深く接する機会が増え、年下への接し方なんて分からない私はとにかく困った。

同学年にはリーダーシップがあって憧れられていたり、話しやすくて壁を壊すのが上手だから多くの後輩に慕われている人もいて、そういうのが羨ましいなぁと思ったことも幾度となくあった。

威厳がある先輩に憧れてちょっと先輩風吹かせてみようとしたけどそういう自分はキャラ的に違いすぎて吐き気がしたから即やめたし、逆になんでも話せるフレンドリーな先輩になるというのも人見知りが発動してしまって案外難しく、結局なりきれなかった。

だから私がしていたことはもう、後輩にどう思われているかとか気にしないで、ただまっすぐ練習に打ち込むことだけだったように思う。


そんな風に過ごしていた高校3年のある日。

特によく関わっていた後輩の女の子が、練習の合間のふとしたときにいつも喋っているときのトーンで

「私、もふこ先輩のこと好きです。」

って言ったのであった。

なんで急にそんなこと言ったのか未だによく分からないし、所詮誰にでも言っているとか本心ではないと感じたらそこまでだ。

けれど、大事な大会の日でも引退の日でもないなんでもない日に、ふいに私にだけ聞こえるくらいの声でそういった彼女の言葉には偽りを感じなかった。

慕ってくれてはいたけど、そう口に出して伝えてくれたことがとても嬉しかった。

私なりにちゃんと音楽に向き合って真面目に練習して、苦手なりに先輩やってきて良かったなと本当に思った。頑張ってたら誰か見ててくれるっていうけど、当時の私にとってのその誰かはきっと、後輩である彼女だったように思う。

何年経ってもそのシーンをふと思い出したり、私の心をずっと暖め続けてくれる宝物は、大会で貰った素晴らしい賞よりも後輩とのそんな些細な日常の一コマになっていた。


年下でも私のことよく見てくれてるものなんだなぁと、彼女以外にも思わせてくれる子が何人もいて。そういう良い後輩たちのおかげで、無理に良い先輩でいようとかあんまり考えずに自然体でいることができるようになった気がする。


相変わらず後輩という存在になんとなく苦手意識はあるけれど、こんな私でも慕ってくれる子が何人もいる。みんな本当に可愛くて、もうなかなか会えないけどずっと幸せでいてくれ~と先輩は願っているよ!!!

これからできる後輩にとっても、そんな頼れる立派な先輩にはなれないような気がする。けれど自分のやることにまっすぐな姿だけは見せられるような、何か困っているときにちゃんと気付いて救ってあげられるような、そんな先輩になりたいものです。












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