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好きを、つらぬいた先に ~映画「ハケンアニメ!」~

最近ひとり映画をすることが増えた私。

本日は、吉岡里帆さん主演の映画「ハケンアニメ!」を鑑賞してきました。

今回は、個人的に印象深かったシーン3つに焦点を当てながら、感想を語りたいと思います!

あらすじ

主人公である新人監督の斎藤瞳は、アニメ業界に入るまで県庁で働く公務員でしたが、ベテランアニメ監督の王子千晴のある作品に出会うことでアニメ業界への転向を志します。

王子監督のアニメで描かれた物語で描かれた少女を見たことで、決して良いとは言えない家庭環境で育った今までの自分の肯定され、まるで魔法がかかったような気持ちになったという瞳。

そうして、かつての自分のような子どもを救いたいとアニメ業界へ飛び込むのです。


数字では見えないもの

この作品では、視聴率とかDVDの売り上げとか、かなり現実的な数字のことが話に出てきます。

業界だったり制作現場をリアルに再現するためにそのような内容が盛り込まれていたと思うのですが、かなり終盤まで数字の話が出てきていたので、瞳の語っていたアニメへの想いはどこへ…という感じでした(笑)

けれど最後の最後に、瞳が最初に抱いていた「かつての自分と同じような子どもを救いたい」という夢が叶ったのだと分かるシーンが出てきて、そこでボロ泣きしました…。

視聴率が取れた=多くの視聴者に届いた、ということにはなるのかもしれないですが、本当に人の心に届いたかは数字だけでは実感しにくいように思うのです。

そこで最後に、数字だけでは見えないような、ちゃんと誰かの心の奥に届いたのだと実感するシーンがあったことで、本当の意味で瞳の夢が叶って良かったと感じることができました。

誰かの心に刺さるというのは、単に数字を取ることよりも遥かに難しいことのように思うのです。

そんな夢を何年もかけて現実にした瞳は、本当にかっこいいと思いました。


コミュニケーションという仕事

この映画では、アニメ制作に関わる多くのスタッフや関係者の姿も描かれています。

職種もバラバラで個性豊かな(というか癖が強い)スタッフたち。
瞳を見ていて、監督にとっては机に向かって脚本や絵コンテを描き続けることだけでなく、そんなスタッフひとりひとりと綿密にコミュニケーションを取ることも重要な仕事なのだと感じました。

同じ言葉・表現で作品の詳細なニュアンスを説明しても分かってもらえないから、ひとりひとりのスタッフに、その人に伝わる表現で、自分の頭の中にあるイメージの細部を伝えていく。

そうやって努力と工夫を重ねて、最初は伝わらなかったものがスタッフそれぞれに伝わった瞬間の瞳が心から嬉しそうだったのが印象的でした。

最終回直前ににあれだけの修正を加えるって現実では厳しいことなのかもしれませんが、監督に本気の想いがあったからこそスタッフも全力になれた。

瞳の地道で熱心な努力が実を結んだことに、胸を打たれたシーンでした。


たった一つの想い

「作品を届けたいという気持ちは、プロデューサーもスタッフも声優も、監督に負けないから。」

瞳が作品に対する想いを語った後、ライバルであるスタジオえっじのチーフプロデューサーである有科さんが言ったこんな言葉がとても胸に残りました。

誰かと協力して何かをしようとしても、そこに熱がこもればこもるほど独りよがりになってしまうものだと思います。

目標は同じでも、そこに至るまでのプロセスに違いが見えると、それは違うのではないかと言いくるめてしまいたくなるものかもしれません。

でもそんなとき、誰しもが「いいものを創りたい。」、「多くの人に届けたい」という想いを持っているのだということを忘れなければ、自然と思いやりを持ったコミュニケーションが生まれるのだと感じました。

サウンドバックの制作チームの中で多くのぶつかりあいがあったのも、最終的にチームがまとまったのも、作品をより多くの人に届けたいという目標を最後まで全員がぶれずに持ち続けていたがゆえなのだと思います。

ひとりでは創り上げられないものを、誰かと一緒に創るうえで、その想いはみな一緒であることは決して忘れてはいけないことだと感じました。

自分の青春に重ねて

この作品を見ていて、自身が学生時代に吹奏楽部に所属していたときのことを思い出しました。

楽器未経験でコンクールメンバーになったとき、舞台上では学年や経験のあるなしは関係ないと言われたこと、先生や先輩に訳が分からないほど怒られて泣いても結局1日も休まず練習に通ったこと、演奏会の宣伝活動で外回りをしていた時期、楽器の練習ができないのに意味があるんだろうか…と思っていたこと。

色んな出来事や感情をこの作品を重ねて青春を思い出し、とても貴重な経験をさせてもらっていたのだと改めて感じたと共に、大人になってもこれだけ熱量を注いで頑張っている瞳たちの姿が、何より美しくかっこいいと思いました。

あと、主題歌のジェニーハイの「エクレール」も映画の内容が思い出されるような素敵な曲なのでぜひ聴いてみてください!
私は映画に先行して曲をずっと聴いてたのですが、映画を見てると、この歌詞はそのシーンから来てたのか…と分かって楽しかったです(笑)
(瞳ちゃんエクレア食べられてよかったな…)

何かに一生懸命になったことがある人も、現在進行形で頑張っている人も、瞳たちの奮闘する姿にとても勇気を貰える映画になっていると思います。

まだ観ていない方はぜひ映画館へ足を運んでみてください!




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