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「モダンExcel」との出会いと由来

表題部の画像をご覧ください。左が「Excel2000」(懐かしい!)、右が現行サブスクリプション「Microsoft365のExcel」、それぞれの起動画面をスクリーンショットしたものです。

Excelは、その登場からすでに30年を超え、今なお変遷を遂げ、さまざまな機能を追加し続けています。これだけ長い間、世界中で愛用されている表計算ソフトは、Excel以外にありません。今後も、新たな付加価値を私たちに提供してくれることを楽しみにしたいと思っています。

時代とともに進化を遂げるExcelですが、従来のExcelに対して、現代的なExcel=「モダンExcel」と言われることがあるのをご存じでしょうか。

ここでは、「モダンExcel」という言葉を初めて耳にする方もいると思いますので、少し説明させてください。

あることがきっかけ

筆者は「あること」をきっかけに、これまで定期的に東京・品川のMicrosoft日本本社でパワークエリ(Power Query)とパワーピボット(Power Pivot)などについて学ぶ「幸運な機会」を得ることができました。

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その「あること」というのは、拙著「Excelによる不正発見法 CAATで粉飾・横領はこう見抜く」(中央経済社、2021年3月現在、9刷)を上梓したことと大きく関係します。
CAATとは、Computer Assisted Audit Techniquesの略称で、コンピュータ利用監査技法と訳されます。

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この本は、小生に監査実務の基礎を築いていただいた恩師の一人、野々川幸雄先生が開発された「異常点監査技法」を、私なりのアレンジで現代風に解釈し直した、会計監査における「データ分析」、つまり「異常点監査技法」のノウハウ本という内容です。

先日も、某社(東証上場会社)の不正会計の現場で、この「異常点監査技法」が活躍しました。
草葉の陰から見守ってくださる野々川先生からすれば「まだまだですねぇ」と、物足りなく思われているかもしれません。

それでも、毎月のように不正会計事件が頻発する状況下で、野々川先生の開発された「異常点監査技法」をどう後世に伝えていくべきかが急務であると考えた結果、どのパソコンにも入っている表計算ソフト「Excel」が使えるのではないか、そう思いに至りました。
Excelであれば、代表的な機能の一つ「ピボットテーブル」などを使いこなすことで、いろいろな「データ」を、さまざまな角度から「分析」できるようになります。
見方を変えれば、気づきもあると思ったのです。

従来からある単なる経営分析や財務分析では決してたどり着くことができない、現代的な「データ分析」を通じ、新たな洞察を得られるだろう、そうした思いが、2013年に開催された日本公認会計士協会第34回研究大会(兵庫大会)での研究論文の発表に繋がり(下記4)、この成果を文字としてまとめ拙著の上梓となります。

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2つの意見

拙著の上梓後、大きく二つの意見を頂戴しました。
一つは「Excelで異常点を見つけられるんだ!」という前向きなご意見。
他方で「Excelでは、ビッグデータに対応できない!」という否定的なご意見。
こうした否定的なご意見については拙著でもあらかじめ想定済みでした。
拙著では、次のような趣旨の解説をしています。

・「異常点監査技法」というデータの見方があります。これをExcelでやってみると面白いと思います。
・ただ、Excelにはいわゆる「104万行の壁」があるので、大きなデータになるほど、その適用が困難になります。
・よって、ExcelでCAATをするとこれまでと違い、いろいろなことができそうだ、面白そうだと思われた読者は、データベースソフトのAccessや、このAccessをベースに開発された専用ツールの導入を検討してみてはいかがでしょう

このように拙著では申し上げてもいます。

光明

拙著上梓後も、引き続きデータ分析に関する研究を重ねてまいりました。それは、今もです。
その過程で、いくつかの不正調査のいわゆる「第三者委員会」の委員も拝命し、実際にAccessや専用ソフトを使い、調査報告書も作成・公表する機会にも恵まれました。

実際に不正会計と向き合ってみるとわかりますが、膨大なデータの中から不正会計の兆候=異常点を見つけるという「データ分析」にCAATコンピュータ利用監査技法はかなり有効で、綿々と行われていた不正会計の実態把握に効果があることを実感しています。

一方、やはりAccessではハードルが高くなりがちで、CAAT専用ツールを使いこなすにも中々な労力が必要だという認識が日増しに強まり、
「これでは、一般の方=監査部門などの現場で働く人たちに、CAATを通じた異常点監査の有効性を十分に伝えきれない……。」
こうした、忸怩たる思いも増していきます。

ところが、ある日、突然、光明が射します!

いつものようにネットサーフィンしていると、CAATを実際に行っているという海外のCPA(公認会計士)が運営するサイトに出くわします。確か、アメリカ人かイギリス人だったと思います。
翻訳機能の助けも借りながら英語のサイトを読み進めると、どうもCAATには「Power BI(パワービーアイ)」が良いらしい、ということに気づきます。

「Power BI?」

この見慣れない単語に興味を持ちました。
「Power BI」という単語だけを頼りに検索し続けると、どうもこのツールは「BI=ビジネスインテリジェンス」という「データ分析」ツールであることがわかります。

「BI? そういえば、以前システム担当の人とお話ししたとき、〇〇社のなんとかというBIツールの話が出たことがあるな…。」

さらに、Power BIについて調査を続けると、このツールには二つの機能が大きく関係していることに気づきます。
それが「Power Query(パワークエリ)」と「Power Pivot(パワーピボット)」です。

「これは、なんか使えそうだ!」

直感的にそう思い、開発元のMicrosoft(MS)を訪ねます。

出会いと由来

MS担当者とお話しする中で「勉強会があるので、参加してみてはどうでしょう?」とお誘いを受け、若いシステム担当者に交じって、右も左もわからず、難解なシステム用語もバンバン出まくり、時には外国からの講師も招いてネイティブの英語が飛び交う中、「Power BI」というツールについて研鑽を積むことになります。

何回目かの勉強会で、「Power Query」と「Power Pivot」という二大機能が実はPower BIだけではなく、なんと!「Excelでも、使えるんですよ」ということを知り、驚愕した覚えがあります。

まさに「モダンExcel」との衝撃的な出会いです。

そこで聞いたうろ覚えの話では、Excel 2010 に「Power Query」と「Power Pivot」というアドインが追加されたとき、それ以前のExcel と区別する意味で「モダン=現代的な」という具合に「モダンExcel」という愛称が使われるようになった、ということのようです。

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生きていると、実にいろいろなことがあり、さまざまなことに遭遇するものです。

たまたま、このnoteを読んでいるあなたも「よし、一丁、やってみるか!」そんな気になってもらえると嬉しいです。

お使いのExcelに、ちょっとした拡張機能を加えるだけで、それまで不可能と思われていたことがごく簡単にできてしまったり、今まで思いつかなかったような用途に使えるようになったりする、それが「モダンExcel」です。
ぜひ、試してみてください!

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WEB「モダンExcel研究所」(モEx研) moexken.value.or.jp (モダンExcelの基本を説明するサイトです。「モダンExcel」初心者大歓迎!)

Twitter「モダンExcel研究所」(モEx研)@moexken (モダンExcelを中心に、経営管理のポイントなども、つぶやいています)

youtube「経営に役立つ!モダンExcel研究所」(上記WEBサイト解説用の動画アーカイブです)

基本書「モダンExcel 入門」 ➡ 「データ分析&可視化の新しい教科書 モダンExcel入門」(日経BP)も、ご高覧いただければ幸いです。

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データ分析&可視化の新しい教科書 「モダンExcel 入門」(日経BP)


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