株式会社Gabの創業ストーリー
大学1年生の冬にシリコンバレーで教わった、人類の存続において必要不可欠な事業に取り組むことの大切さを日々心に留めながら、起業するための事業アイデアを模索する毎日をすごしていた。
当時静岡大学の2年生だった僕は、浜松にはない情報や人との繋がりを求めて2週間に1回のペースで東京のスタートアップ界隈のイベントに参加していた。
生まれも育ちも静岡県浜松市の僕はとにかく東京に通うことに夢中になっていた。
そんな中、2019年9月5日〜9月25日の20日間で都内で開催された、東京の課題を解決する事業を創出する合宿型ビジネスコンテストに参加した。
株式会社タイミーの小川さんの企画で、20日間の内、10日間はタイミーを使い生活費を稼ぎ、残り10日間は自由に過ごして良い、というものだった。
夏休み真っ只中の僕にとって、これ程まで嬉しい企画はなかった。申し込みのフォームには「人生を変えるつもりで、魂を売って参加します!」と書いた記憶がある。
渋谷付近のシェアハウスで生活をしながら、街に出る時は東京の課題を探す毎日だった。
立地上、どこに行くにしても一度渋谷駅を経由するので、何だかんだで毎日渋谷駅周辺を散策していた。もちろん、東京の課題について考えながらだ。
とある日、同じチームのメンバーの1人と夜の渋谷に繰り出した。「せっかく東京に来たことだし、ナンパに挑戦してみようぜ!」的なノリだった。
結局、福岡と浜松から参戦した田舎者の僕らは、惨敗した。何なら、声をかけることすらできなかった。
不甲斐なさを感じながら、終電後のセンター街にしゃがみこんだ。
すると潔癖症だった福岡の彼が急に叫んだ。
「ねずみ!」
僕もその光景を目にして、驚いた。店と店の間に大量のネズミが居た。
ネズミによって街の汚い部分に敏感になった僕らは、今まで気付きもしなかった、渋谷のポイ捨ての酷さに気付いた。車社会の地方で育った身としては、見たことも無い程の悲惨な光景だった。
逆にどうして、今まで散々東京の課題について考えながら渋谷駅周辺を散策していたのにも関わらず、気づかなかったのだろうと思った程だった。
僕らのチームは「渋谷のポイ捨てをゼロにする事業」でビジコンに挑むことを決めた。
それまで、ポイ捨てについて深く考えたこともなかったので「どうしてポイ捨てが起こるのか」についてといったベタな問から考えることにした。
至った結論としては「皆が快く使えるゴミ箱が少なすぎる」というものだった。
そもそもゴミ箱が設置されているコンビニが少なく、設置されていたとしても、必ず悲惨な程に溢れかえっている。自販機の横のゴミ箱もしかりだ。
街で買って街で捨てたくなる商品を売っているお店が多いのにも関わらず、捨てたくなった商品を捨てる場所がない。ポイ捨てが発生する理由の内の1つであることは間違いなかった。
当時の僕らは、「ポイ捨ての何が問題なのか?」については全く深堀できていなかったが、「皆が快く使えるゴミ箱を街中に設置する」という、ポイ捨てに対する解決策は明確に決まっていた。
いざ事業を考え始めると「どんなお店も軒先にゴミ箱を設置すれば済む話じゃない?」という問いが生じた。その問いついて深堀するべく、コンビニや飲食店、区役所の職員に聞いて回った。
たどり着いた結論は「軒先に設置されたゴミ箱のゴミの回収費用は税金ではなく、設置したお店が支払わなければならない」というものだった。
(意外にもテロ対策については大きな課題感がなかったことに驚いた。)
つまりは、ゴミ箱を設置することでそこに自分のお店以外で売られたゴミが大量に捨てられることにより、お店のゴミの回収費用の経費が大きくなってしまうため、ゴミ箱を設置していなかったのだ。
さらに、ゴミ箱がいっぱいになっているかどうかを1時間おきに確認する手間も設置する側の大きな問題であった。
「ゴミ箱のゴミの回収費用が必要以上に大きくならず(お店が売った商品の分だけ負担)、いっぱいになったらすぐにお知らせしてくれるゴミ箱」を作れば良いのでは?という結論に至った。(当時)
そもそも、モノを売るお店はそのモノの処理まで責任をおわなければならないという法律がある。さらに、ゴミ箱を設置した場合と撤去した場合のABテストでは、撤去した方が軒先清掃などの手間がかかってしまい、結局設置に踏み切っているお店も多く、実際にゴミ箱を設置したいニーズも大きい。
そこで、売った商品のゴミの回収費用は売ったお店が負担するといった、経費の負担額の最適分配の仕組みさえ構築できればゴミ箱は設置が可能となり、お店側もしっかりと法律に従うことができる。
その他の細かい事業内容は一旦置いておいて、皆が快く使えるゴミ箱を街中に設置することができればポイ捨てを大きく削減できると確信していたため、とりあえずヒアリングで得られた知見をベースに一通りの仕組みを考えて、ワイコンビネーターのピッチ資料に落とし込み、ビジコン当日を迎えた。
思いの外、審査員からの評判が良かった。ゴミ問題(海洋プラスチックなど)というのが世界的な問題になっていながらもその問題の解決に取り組んでいる日本のスタートアップが少ないことから、先行優位性があるという点とアメリカのゴミ問題を解決するスタートアップがユニコーン企業になっている点が評価された。
結果、ビジコンは優勝し、審査員であった株式会社タイミーの小川さんが「休学してこの事業で起業しちゃいなよ?俺がアドバイザーになるよ。」と言ってくれた。
こんなチャンスはないという一心で、すぐに休学・上京・起業を決断した。
10月の上旬に帰省後、すぐさま親を説得し、大学にも休学届を提出した。その1ヶ月後である、11月に上京した。
そして12月に、大学1年生の時からお世話になっていた起業家の先輩から借りた30万円で起業した。
(資金調達後、すぐに返済した。)
2ヶ月もの間が空いてしまったのは、チームが僕1人ではなかったことと、このビジコンに参加する前に別の事業を一緒に作っていた仲間がいたことが理由だ。
もちろんみんなと一緒にやりたかったが、それぞれの事情を踏まえて、僕1人での起業となった。
少し寂しい思いもあったが、未来への期待の方がそれを遥かに上回っており、ただ前だけを向いていた。
毎日新聞社のアクセラの採択、メーカーズユニバーシティの採択、7名のエンジェル投資家の方々からの資金調達を経て、6月で起業して半年になる。
何度かチームが解散して1人になったが、今はとても素晴らしいメンバーと共に事業に取り掛むことができている。
ポイ捨てが多い場所にゴミ箱を設置することを可能にするプロダクトである、MyGOMI.とMyGOMI.Analyticsは既にリリース済みで、残すプロダクトはいよいよゴミ箱のみとなった。
半年近くかかってしまったが、ようやくスタートラインに立てそうな気がしている。
起業当初はノリと勢いで起業してしまったのではないかと悩んだりしたが、事業内容を深堀していく過程で、シリコンバレーで教わった人類の存続において必要不可欠な事業に取り組むということを、「ゴミ問題(海洋プラスチック問題)の解決」という形でいつの間にか体現できていたことに気付き、この事業に人生をかけて良いんだということを改めて認識できた。
やる前から気づけることは本当に少ないということと、腹を決めてやり続けることで初めて気づけることは無数にあるということを学んだ。
もっとドロドロした話も沢山あるが、今回はざっくりと株式会社Gabの起源と現在までの経緯を把握してもらえれば嬉しい。ビジョンとミッション、ゴミ問題について、企業ポリシーなどについてはまた後日noteを書こうと思う。
近々リリースを出す予定なので、どのようなサービスなのか、皆さん是非楽しみにしていてください!
株式会社Gabは「世界標準の公共インフラをみんなでつくる」ことをビジョンに掲げ、「ポイ捨てをゼロにする」ことをミッションに掲げています。
今後皆さんも、弊社のサービスに接する機会が必ずあると思います。その際は是非感想を聞かせてください。楽しみにしています。
応援よろしくお願いいたします。
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