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私をコントロールしないで!【第三章】言葉以外の支配の戦術
前回お話したのは、相手を変えようと、支配する様子をお伝えしました。母親のように正しいことを、相手のためを思って言った言葉が、最後には相手に全く違う点を指摘していたり、相手に条件を出し尽くさせるのに、認めず感謝することもなかったり、相手に関心を持つこともなく、期待にも応えなかったり、相手に良かれと思ってわからせたり。
これまでは言葉による支配を見てきましたが、ここからは言葉によらない支配をまとめています。深刻な話になります。
■受け入れがたい態度
どんなものかというと特徴は以下です。
・基本的には攻撃的な性格をもつ行為だが、あからさまに攻撃的に表現されるものでもない。
・コントロール相手に対し、一対一の状況でされることもあれば、大勢の人々がいる中で用いられることがある
・その態度は、計算された巧妙なものから、みるからに不愉快な態度まで内容も広範囲に渡る。
・パートナーを動揺させたり、相手をいたたまれなくさせるだけでなく、他人の目があるときには、自分を庇うような態度をとるようにも仕向ける。
これら共通して言えるのは、社会で受け入れられる範囲であるということ。公の場において、社会的な規範を逸脱する態度だが、受け入れられる範囲であるのです。
【例1】
人目をはばからず、大声で夫を罵倒する妻
ウエイターの前で、妻に向かって高い料理を注文するなと言い放つ夫
友達の前で子供に恥をかかせて平気な親
二人のときは不機嫌で、人前では生き生きと振る舞う恋人
周囲には気づかれず、パートナーにただはっきりとした効果のあるちょっとした行為です。
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【例2】
家族といるとき、酔っぱらって食卓で喚き散らす失礼な態度
家族の前で、パートナーのいうことに一から十まで難癖をつける
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いい雰囲気ぶち壊し・・・それでもパートナーが、これら許しがたい態度を受け入れてしまうと、支配が成立するのです。それは、今後当たり前のように繰り返されていくことを暗に認めていることになるからです。
<隠されたメッセージと支配>
【メッセージ1】目的:相手に無気力を味わわせ、自己不信を促す
「誰がみていようと、へっちゃらだし、それに気にする人だっていないんだ。わかっただろう」というメッセージ
支配している人は、周囲には気がつかれず、外面がいい、もしくは、許しがたい態度を見せたとしても「ああいう人間だから仕方ない」と思われるだけ。
支配される方は、周囲からは気づかれない、もしくは、周囲が知っていたとしても、「私のことをどうしたら考えてくれるだろうか」と自己不信が大きくなっていくのです。そしていずれ、人に知られたら恥ずかしい気持ちと、これが普通かと思われていると諦め、自己不信から「誰もこだわっていないのに、自分が自意識過剰なのか、自分が悪いのか」と考えてしまうことになるのです。
【メッセージ2】目的:パートナーを孤立させる
第三者がいる場合「そばにいると不愉快な思いをするぞ」というメッセージ
外の人の介入を避けたいために、パートナーをしっかり自分のもとに縛り付けて置くためです。
【メッセージ3】目的:パートナーを無気力にさせる
「君は誰にも助けてもらえない、行くところもない。頼れるのは私しかいない」という、悪質で、根深い、破滅的な影響を及ぼすメッセージ
だんだん無気力に苛まれて、絶望的な気持ちにとらわれて、改善を考えることも逃げ出す気力も失っていってしまいます。
■言葉の暴力
受け入れ難い態度がエスカレートすると、次は言葉の暴力になります。
罵倒・侮辱・嫌がらせ・皮肉に悪質な冗談、これらは相手の自尊心を傷つけることを目的とする直接的な攻撃です。
<例えば・・・>
「お前がそんなに救いようのない女じゃなかったら、俺は怒らないんだよ」
と侮辱されたとします。
こんな言葉で攻撃をされ続ける人は、相手と同じような戦法を取りいれるようになり、同じように攻撃的な言葉で応酬するようになっていきます。
そして新たな作戦を得たように、
「お前が、俺がすぐカッとなって酷いことを言うと責めるけど、お前も酷いこといってるじゃないか!」と新たな言葉として利用するのです。
言葉の侮辱は、言われた方は、自尊心が傷つき、自己不信を植え付けられます。そして、
「あの人があんなに怒るのは、ほんとに私が悪いのだろうか」
そして、「私が悪いんだ。言葉に注意しないと・・・」と意識に変わっていくのです。
支配するには、相手にこの意識を認めさせることが前提にあるのです。
結果、パートナーは自分を責めることになります。
言葉の責任が問われます。相手を口汚くののしる事は許されません。
そして、もちろん、平然と侮辱したり卑しめたりするような言葉は受けつけてはならないのです。
受け入れ難い態度、言葉の暴力、冷静に自問自答してみてください。
「出会った頃に、こんな言い方をされていたとしても、私はこの人と交際を続けていただろうか」と。
最初の段階で食い止める事が大事です。なぜなら、言葉の暴力は、直接暴力に発展する可能性を秘めているからです。
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■ドメスティックバイオレンス(家庭内暴力)
・大部分は、男性が女性へのケースですが、もちろん逆もあります。そして、男女いずれの同性同士のカップルも暴力が絡むことも少なくありません。それでも、男性が女性に暴力をふるうケースで、それも親密なカップルに圧倒的に多くみられます。
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・最初の段階は、イライラが爆発した結果あらわれます。
支配することがうまくいかず、イライラし、言葉による攻撃に変わり、それでもうまくいかなくなったとき、一足飛びに暴力へエスカレートしてしまいます。
コントロールがうまくいかないと、一層激しく衝突するようになり、罵りもエスカレート、攻撃的な言葉の応酬が繰りかえされます。
イライラと、恐怖が隠れた暴力。
・アルコールや薬物が絡むこともあります。これらは自制を解き、普段は注意深く隠れている意識下の願望を表面化させる作用が働くためです。
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■最初に暴力を受けたときのことを覚えていますか?
DVにもし苦しんでいる人がこれを読んでいたらですが、
最初に暴力を受けたときのことを覚えていますか?
著者はこの問を投げかけます。
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恐らく答えは、YESであると。
NOの人ももちろんいると思いますが、いつかというのが思い出せないだけで、どんなシチュエーションだったか、ふんわりとその光景は覚えているのではないでしょうか。
そして、もう一つ、聞かせてください、と更に投げかけます。
最初に暴力を受けたとき、どういう暴力でしたか?あるいは、どう気持ちの整理をつけたのですか?
「ちょっと強く押されただけだったから」
「あのときは、相手もうっかり手がでてしまって」
「あんなに彼を怒らせた私にも責任があるから」
そう思っていませんか?
そう、誰もが、色々な理由をつけて自分を納得させてしまうと、この著書は言います。
被害者であるのに、虐待されている認識がない人もいるのです。それは被害を最小限のものと考えようとするせいです。
注意しなければならないことは、
暴力は、アルコール依存症と同じように、進行性の病癖であるということです。
犠牲者の精神を完全に制圧するという目的は、たとえ暴力をもってしても決して達成できないからです。また、新たな抵抗、言い争い、更なるフラストレーションがたまり、エスカレートした暴力へ発展していくことになるからです。
最初の暴力があり、それが許されれば、ほぼ確実に、二度目が続き、それからまず間違いなく、三度目、四度目があり、エスカレートするのです。
暴力の犠牲者が、これは暴力であるときっぱりと態度を示すことがでいれば、そうした状況を変える可能性もでてきます。
・警察に通報
・告訴する
・夫婦カウンセラーへ相談(パートナーの妨害に気を付けて)
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でも、この関係を変えていくことは、見通しは明るくないと言います。
暴力が繰り返される可能性が高いこと、もし改善されたとしても、ー傷が癒され、加害者が態度を改めて、二人の関係が好転してもー被害者になった人は、二度と以前と同じ目でパートナーを見る事ができません。暴力を振るわれた人にとって、パートナーは、それから先も永遠に、愛する相手に暴力が振るえる人であり続けることになります。
一線を越えたときの、被害者の行動、態度、判断が大事になると、この著書は言っています。
■セックスの強要
セックスを拒否し、嫌がっているにもかかわらず、無理やり強要するというものです。
自分が望まないにもかかわらず、「逆らったら、関係が悪くなるから我慢しよう」とすれば、これは自分の心を傷つけます。娼婦のように感じている自分を想像することはいたたまれないですね。
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<例えば・・>
セックスは、支配の手段となるのです。
上のように、男性が、無理矢理に強要する場合は明確です。
他には、一般的に女性より男性が求める方が大きいため、拒絶が支配の手段となることがあります。「セックスの拒絶されたくなければ、私に従って」というケースです。
他には、性的なことを貶める行為です。
・友人の前で、相手男性のセックスが、ちょっと物足りなかったわとほのめかしたとしたら・・・
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・友人の前で、相手女性に、性的魅力を感じないと態度にだしたとしたら・・・
・肉体的な魅力がないと拒んだとしたら・・・
相手のセクシャリティーを侮辱するだけではなく、恋人、パートナーとしても侮辱する行為となるのです。
愛を交わす行為であるのか
欲求を満たすセックスであるのか
区別して考えれば、そこに支配があるのかが見えてくるはずです。
さあ、次は、これらの支配を見抜き、対処する方法を見ていきましょう。
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