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新しい白杖がやってきた! セガワケーンの直杖の話

この間から新しい白杖を使い始めました。
白杖は外を歩く時に使うので、何年も使ってると傷んできて、白いところが変色したり、折りたたみ式だと中に入っている太いゴムが古くなってくるので、買い替えが必要なんです。
また、壊れてからの買い替えだと急いで選ぶので、住んでいる地域の視覚障害者協会の在庫にあるものから選ばないといけません。
私は今回、使っている白杖が完全に壊れる前に買い替えたので、ネットで調べたり、SNSで繋がっている視覚障害者仲間に話を聞いたりして、情報収集してじっくり選んで購入しました。
★動画でも新しい白杖の話をしています。

私が今回選んだのは、セガワケーンというメーカーの直杖 (ちょくじょう)。
直杖とは、折り畳めないタイプの白杖です。
視覚障害者が使う白杖には、折りたためるタイプ、折り畳めないタイプ、伸び縮みできるタイプなどがあります。
日常生活での使い方や好みに合わせて、自分に合った形状のものを選びます。

新しい白杖の写真。
杖ストッパーを使って、テーブルに白杖を立てかけている。
長さ110cm。黒いグリップはゴム製。折り畳むための繋ぎ目がない。
石突は細長い形のノーマルチップ。
ストラップ部分に手作りの天然石キーホルダーをつけている。

ちなみに、ドラマの「恋です!ヤンキー君と白杖ガール」で主人公のユキコが使っていたのは、セガワケーンの折りたたみでした。

私の周りでは、使わない時に畳んでおける折りたたみ式を使っている人が圧倒的に多く、私もこれまでは折りたたみ式しか使ったことがありません。
ここ5年間使っていたのは、アドバンテージというメーカーの折りたたみ式の白杖でした。

折り畳まれた白杖の写真。4段折り。
グリップが太めの白杖。


たためない白杖のメリット

今回、直杖にしたのにはいくつか理由があります。
白杖のことが載っているサイトや、SNSで繋がっている人たちの情報によると、畳めない白杖にもメリットがあることがわかりました。
まず一つ目は軽さ。直杖は折り畳むための接合部や中に通されている太いゴムがない分、同じメーカーのものでも軽いということを知りました。
そういえば、昔、盲学校で借りた直杖も軽かったような気がします。
私は小柄で体力もあまりないので、振って使う白杖の重さも結構大事かもしれないと考えました。
そして二つ目。地面の感触が伝わってきやすいということ。
三つ目は、折りたたみ式よりも劣化しにくくて丈夫ということ。折りたたみ白杖は接触事故で折れなくても、使っているうちに中のゴム紐が伸びて弱ってきます。ゴムが切れたり、伸び切ったりすると、伸ばしたり畳んだりしにくくなります。
修理をしながら長く使ってる人もいますが、沖縄に住んでいると、内部のゴム交換など大掛かりな修理が必要な場合は本土に送らないといけなくて、高い送料がかかります。それなら新しい白杖を買ったほうがいい、となるのです。
直杖もずっと使っているうちに曲がってきたり、反射剤が剥がれてきたりしますが、ゴムの劣化のことを考えなくていいのはメリットです。
また、直杖は衝撃にも強いそうです。 (さすがに、自転車に轢かれたり大柄な人に勢いよくぶつかられたら折れてしまうと思いますが💦)

直杖の最大のデメリットは折り畳めないことです。
でも、私が出かけている時のことを思い返すと、たたむ場面はほとんどないことに気がつきました。
バスやモノレールの中では、ドア近くに立ったり優先席に座ったりすることがあるのでたたみません。
お店の中を歩く時も、走り回っている子供の親やたくさん荷物を持ってる人にこちらが視覚障害者だと気付いてもらえたほうがいいので、伸ばして持っています。
そして1人で外食する時も、あることがきっかけで、私は壁際の席に案内してもらって白杖は伸ばしたままご飯を食べるようになりました。
それに最近は、杖をテーブルに立てかけておくためのグッズもあるので、そういうものを使えば手で持っていられない時もなんとかなりそうです。
新しい白杖の写真に写っている杖ストッパーは「転ばぬ杖」というもので、これもSNSで繋がっている視覚障害者仲間が教えてくれました。テーブルに軽く固定しておくものですが、他の杖ストッパーよりも杖が倒れにくく、白杖ユーザーにも人気のようです。

「畳む機会が少ないなら、軽くて丈夫で地面の情報が伝わりやすい直杖でもいいんじゃないか?」
そう考えて今回は直杖を選びました。
それに、子供の時に白杖を持ち始めて以来、折りたたみ式しか使ったことがなかったから、「そろそろ違う形状のものも使ってみてもいいかなー」という気持ちもありました。

直杖を使ってみての感想

視覚障害者協会で白杖を受け取った後、すぐに那覇の街中を歩いてみました。
人混みを歩く、モノレールに乗る、買い物をする、飲食店でご飯を食べる・・・と、行動範囲内でできることを一通りやってみました。帰り道、家の近所の坂が多いところも通りました。
結果、私にとってはすごく使いやすいです!
使い始めて20分、30分くらいの時は、「なんかやたら地面に引っかかるなー」と思ったけど、前に使っていた白杖より軽くなってグリップも細くなったので、力加減が少し違うみたいです。動かし方のコツがわかればスムーズに歩けました。
アドバンテージはグリップが太めで重たく、セガワケーンはグリップが細めで軽いという特徴があります。アドバンテージの白杖はがっしりしてるので、安定感を重視する人には良いみたいですが、私の手には少しグリップも太いし重たかったようです。
また、折りたたみから直杖に変えたことによる重さの変化も大きいです。
地面の様子を確かめる時は、グリップの端のほうをつかみ、これまでよりも力を抜いて握って軽く振ると引っかかりにくくなりました。
帰り道は緩い坂を通るのですが、その時も以前より手が疲れにくくなりました。

買い物で店内を回る時は、杖を体の方にくっつけながら小脇に抱えて商品を見るのですが、重量が軽いとそれもやりやすくなりました。折り畳めない白杖を持ってるということを忘れるくらい軽いです。
飲食店でご飯を食べる時は、転ばぬ杖でカウンターにばっちり立てかけておくことができました!
この日は、マクドナルドでご飯を食べました。

マクドナルドのカウンター席の端。カウンターには食べ物が乗ったトレイが置かれ、杖ストッパーで白杖が立てかけられている。

転ばぬ杖は、軽い杖のほうが留めやすいのでしょうか。以前使っていた白杖よりも安定して立てかけられるようになりました。

直杖を使ってみて気付いたことがもう一つ。
私は、折りたたんだり伸ばしたりする動作も面倒に感じていたようでした。手は拭けばいいけど、折り畳む時はどうしても「地面に接するところはなるべく触らないように」という意識があるし、折りたたんだら大きさはコンパクトになるけど軽くなるわけではありません。ずしっとしたおもりをカバンや袋に入れて持っておくことになるのです。
それが、疲れやすい私には地味にストレスだったのかもしれないな、と思いました。
折り畳む動作が好きじゃないというのは、子供の時の原体験もありそうです。
初めて持った白杖は折りたたみ式だったのですが、繋ぎ目の部分がものすごく硬くて、今よりも体が小さく握力が弱い私には畳んだり伸ばしたりが他の子みたいにうまくできなかったのです。
自立活動の授業で使った後に畳んで袋に入れる、というのがとても面倒くさい作業になっていました。
2本目の白杖からは大丈夫でしたが、一番最初にそういう経験をしたから、折り畳む動作を面倒くさいと感じるようになったのかもしれません。

コンパクトに畳める折りたたみ白杖は便利だしどこでも気兼ねせず持って行けるメリットがありますが、私は普段の外出は直杖と転ばぬ杖の組み合わせが使いやすいみたいです。
旅行や遠出など、折りたたみと使い分ける必要も今後出てくると思うので、しばらくは古いアドバンテージの白杖を取っておいて、折りたたみ式もなるべく軽いものをじっくり選ぼうと思っています。

軽さで選ぶなら、折りたたみも今度はセガワケーンにしようかな?
それとも、折りたたみはがっしりしてたほうが耐久性がありそうだから、アドバンテージにしようかな?
ジオムとかコスギとか、他のメーカーもいいかもしれない・・・。

白杖使用歴20年を超えてようやく、「白杖も奥が深いなぁ」と実感するのでした。

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