
プレッシャーに向き合う:「理想と程遠く、逃げ出したい時はどうればいい?」
今回は、お悩み相談回。このコーナーでは定期的にみなさんからいただくお悩みに回答させていただきながら、「自分が当事者なら何て考えるかな?」「もし友人にこの悩みを相談されたら、なんてアドバイスをするかな?」と、ひとつのお悩みを様々な角度で考えていくことで、自身の価値観や思考の癖、新しい視点に気づくことを目的としていきたいと思います。
※本記事については、普段のPicnic Lab.のメンバーシップに含まれる記事とは別で、お試しいただける無料記事にしています。
回答をお読みいただく前に、読んでくださった方も一度、ご自身の思考を巡らせてみていただけると嬉しいです。今回は管理職に選ばれたことによって、大きなプレッシャーを抱えている相談者さんから。
大なり小なり、プレッシャーにより逃げてしまいたくなる時は誰にでもあるはず。みなさんと一緒に考えてみたいと思います。
引っ込み思案なのに管理職に選ばれ、
プレッシャーで押しつぶされそうです。
(40歳・会社員)
今年40歳になったばかりの一児の母です。新卒から20年近くずっと働いてきた大きな会社では来年度から管理職となることが決定しました。管理職になるための関門のようなプレゼン試験に対しては自分なりの全力でがんばり、高評価でパスすることができたのですが、一方で、現在の直属の上司(女性)から自分に対する評価もあまり高くはないこともなんとなくは感じていて、年次だけで管理職に推薦してもらったのだろう、と思ってもやもやしています。
新卒からずっと同じ会社ではありますが、国内・海外含めて異動を繰り返してきたこともあって、現在の職務については経験と知識が周りに比べて浅いことも、コンプレックスです。さらに同じ職場の同僚や後輩たちが非常に優秀で(地頭がよくて、職務上の知識もあり、さらに英語も含むコミュニケーション能力も高い有能な人たちばかり・・・)、そんな中で自分が本当に管理職としてやっていけるのか、無能を晒してしまうのではないか、と不安な日々です。
性格的に子どもの頃からシャイで、1対1ではうまく話せるのに、複数人や大人数の会議では発言がなかなかできない自分が、チームのために役に立てていない、ともどかしい気持ちでいっぱいです。私は三姉妹の末っ子で、親から(愛されてはいましたが)ちっとも一人前に扱ってもらえたことがなかったことも、今のこの引っ込み思案な性格を形作っているのだろう、と思っています。
こんな自分は、マネージャーになるよりも、ずっとプレイヤーでいるほうが合っていたんじゃないだろうか、と思ったりもするのに、ちょっとしたプライドも邪魔して、自分でもよくわかりません。他人からの評価を気にしすぎている、自分を守ることばかり考えている、といわれたらその通りなのだろうと思います。
現在の仕事や会社のことは、嫌いではないです。大好き!というほどではないですが、それなりにやりがいもあり、チームの役に立てるようになりたいとの思いはあるのです。役職が新しい自分を作ってくれる、という前向きな気持ちもあるのですが、どんな心持ちでがんばっていけばよいか、ぜひアドバイスと喝をいただきたいです。
お悩みをお送りいただきありがとうございます。そして、管理職への昇進、おめでとうございます!不安には色々な種類がありますが、”期待に応えられるのか”という不安は、私はポジティブだと思っています。
もちろん、「無能を晒したらどうしよう…」や「役に立てていないのでは…」といった、下向きの部分もありますが、”本来はこう在りたい”という姿があって、自分が追いついていないことに対する不安なのだから、それは単なる自己否定ではなく、ある意味で成長痛だと思います。
(逆に、理想も欲求も描けず、なのにずっと今日の自分にも満足できない、という不安の正体を暴き、道筋を作っていくのは簡単ではありません)
年次だろうがなんだろうが、その舞台に立てたのだから、プロセスにモヤモヤなんてせずに、立つことができたその場所から、見える景色を変えればいいのです。
ちなみに、 会社の管理職でなくても、人生のあらゆる場面で「期待されること」と、そのプレッシャーに対する不安は起こり得ます。
たとえば…
✔ 親になったばかりの人が「いい母親(父親)になれるのか?」と悩む
✔ 結婚した人が「パートナーの家族とうまくやれるのか?」と不安を抱く
✔ 新しい環境に入った人が「自分がこの場にふさわしいのか?」と戸惑う
それはどれも本来の”理想”があるから、足りていない今に対してもどかしく思うが故。そして実は、うまくいかなかった時のリスクヘッジでもあって、「そもそも、自分は向いていないと分かっていた」と、もしもの時に言い訳するための精神的な準備だったりします。
まずは、目標を勝手に崇高なものにせず、しっかりと自分にマッチする形で細分化するのがおすすめです。
確かに、一般的なリーダー像をイメージすると、経験豊富で発言力があって、カリスマ性とスキルを持ち合わせた完璧人間のようです。だけどご自身がリーダーになった時にしっくりくるキャッチコピーをつけてみてください。
たとえば、
「小さな変化に気づけるリーダー」
「みんなが、発言しやすい空気を作るリーダー」
「静かに優しく、包み込むリーダー」
なんだか突然、リーダーのキャラクターが変わりませんか?それでいいんです。
自分がすでに持っているものを活かして、今求められているものや変わりたい姿にマッチさせようとした時に、自分なりのリーダー像が生まれるのです。
たとえ分かりやすいスペックを持ち合わせずとも、相談者さんがリーダーとして奮闘する姿は、多くの人に新しい景色を見せてくれるはずです。
映画や物語だって、想定通りのカリスマ的リーダーの話よりも、おっちょこちょいなのに努力するリーダーや、できないことは沢山あるけど大志を抱いているリーダーなど、そんなリーダーが主人公の方が物語が面白くなったりしませんか?
ちなみに私の好きな漫画で「ミステリという勿れ」というものがあるのですが、その中で主人公の博識大学生が残したこんなセリフがあります。
自分が下手だってわかる時って目が肥えてきた時なんですよ
本当に下手な時って下手なのもわからない
ゆがんでたり
間違ってたり
はみ出してても気がつかない
それに気づくのは上達してきたからなんです
管理職に選ばれて、もがき苦しんでいるその日から、相談者さんの成長は始まっていると思います。自分ならではのリーダー像を見つけてみてくださいね。応援しています!
最後に、
この記事を読んでくださったPicnic Lab.メンバーのみなさまおよび、今回たまたまご覧になっているみなさまへ。
Picnic labでは、毎回記事の最後に問いをつけることでみなさんと一緒に思考を巡らせることを大切にしています。
今回はこんな問いについて考えてみたいと思います。
「"自分には向いていない" と思っていたのに、行動によって結果的に違う景色が見えたことはありますか?」
私の場合は、20代前半で初めて人前で講演をすることが決まった時の話です。
「なぜ私が講演を…?」「誰が私の話なんて聞くの…?何が話せる…?」と、とても不安で、資料の1枚目すら作れず、自分にはあと1年〜3年は必要なのでは…と、できていないことを数えては、なぜか勝手にとても難しく考え焦っていたことがありました。その時、たまたま相談させていただいた方に、「多分、萌ちゃんはいつも言っていることをまとめるだけだから、あと2時間あればできると思うよ」と、あっさり言っていただき、落ち着いて向き合ってみたら本当に数時間で資料ができたことがありました。
もちろん、人前で話すのは簡単ではなく、今も決して得意ではありませんが、何度も失敗を繰り返しながら自分なりにできるようになりました。
あの時は”できる人”と”できない人”で、大きく分けていて、自分はいつまでも後者なのだと思っていたような気もするので、景色は随分と変わりました。
みなさんのコメントも楽しみにしています!
noteメンバーシップ「Picnic Lab.」とは
「Picnic Lab.」では、こんなふうに村上萌の視点で綴る言葉と思考のコラムを月4本以上お届けしています。
✔️働き方、夫婦関係、子育てなどのお悩みへの回答
✔️コミュニケーションがスムーズになる言葉の使い方
✔️明日がちょっと楽しみになる思考術
✔️仕事ではなく、“ふつう”の人のためのAIの使い方
✔️SNSでは言えない、事業の裏側の気持ち etc...
毎月“記憶に残る1杯のラテ”を飲むような価格で続けていただける、月額600円。
詳細・参加は下記をタップしてご覧ください🕊

いいなと思ったら応援しよう!
