ねこがけんかしてたから
部活の練習用に書きました。動きがある方がわかりやすい内容になっていますが、効果音などを使えば声劇でも可能です。使用する際の注意点として、料金が発生する場合、内容の変更(セリフを増やすなど)する場合にはTwitterID:@AqurrrのDMにご連絡ください。その他の場合には連絡は不要ですが、あくるの名前とTwitterIDの明記をお願い致します。
場所は高校の教室。登場人物達は全員高校2年生。
あみ
のあ
ゆな
ト書きは太文字です。
上手側に机と椅子が三つ。うち二つにのあとゆなが座って談笑している。
あみ下手から入ってくる。空いている机に向かう。
あ「おはよー」
の「あ、やっと来た。おはよ」
ゆ「時計見た?もうおはようの時間じゃないよ」
あ「おはようが一番無難で外れないからだいじょーぶ」
ゆ「そういう事じゃなくて」
の「まあ来たからいいじゃん」
あ「来ただけでえらい。今日の私も百点満点。おめでとう、ありがとう、照れちゃうなあ」
ゆ「今日はどうして遅刻なの?」
あ「推しの配信見て、寝て、起きたら間に合わない時間だったから、録画してたアニメ観てきた」
の「なにそれ最高じゃん」
あ「でしょ! あとね、途中でドーナツ食べてきた」
ゆ「優雅だね。遅刻なのに」
あ「だって遅刻は確定なんだからさ。もう楽しんじゃった方がよくない?急いで疲れるより」
ゆ「それで出席点足りなくなっても知らないよ」
あ「留年疑惑?まあ別にいいよ、JKブランドの期間延長ってことで」
ゆ「あまりにもポジティブすぎる。何言っても響かない」
の「あはは。ゆなは相変わらず真面目で心配性だね」
ゆ「心配になるよ。今月何回目の遅刻?」
あ「何回だっけ。えっと─」
の「今週はね、月曜日は確実に遅刻してた。 工藤せんせが、またかーみんなもしかして俺の授業嫌? って言ってたの覚えてる!」
あ「ありゃ。そんなこと言ってたの? 工藤先生の授業が嫌で遅刻してるわけじゃないけど、月曜は1時間目で水曜は二時間目だからハードモードなんだよね」
の「わかる。あみも工藤先生も悪くない。時間割が悪い」
ゆ「いや頑張ってよ。火曜日は遅刻しなかったんだから」
あ「火曜日はなんか間に合ってもいいなって気分だっただけ。─あ、八回かな」
の「8回はセーフ。いけるいける」
ゆ「どう考えてもアウトじゃない?」
の「あみの成績が悪かったらアウトかも。でも、提出物は期限内に出してるし、テストの時は遅刻なしで結果も毎回良いから、大丈夫だよ」
あ「うん。成績が良ければどうせ留年回避できるから、私はへーき!」
ゆ「全くもう。大丈夫なら、いい、─」
の「あっ」
ゆなの体から力が抜け、机にがくんと伏せる。あみが支える。
あ「おっと。危ない」
の「ゆな〜。おーい。─反応しないかあ」
あ「仕方ないよ。のあ、バッテリーとケーブルどこだっけ」
の「ゆなのバッグにある気がする〜。……うーんと、ここ、だったかな。 ─ほら。あったよ」
あ「ありがとう。繋ぐね」
の「ほい頼んだ。─最近ちょっと燃費悪くなってきた? 気のせい?」
あ「どうだろ。前回充電したのっていつだっけ?」
の「二週間前とか……? 一ヶ月経ってないよ」
あ「じゃあ、そうなのかも。ドールは一ヶ月に一度の充電でいいから」
の「これ、回復するまで時間かかるよね。私、先生に伝えてくる。あみはゆなのこと見てて」
あ「わかった。いってらっしゃーい」
のあ下手へ。
あみ、のあを見送ってからゆなを見る。
あ「……私たち、本当に間違ってないのかな。─どう思う? ゆな」
場面転換
のあとゆな最初のシーンと同じ席にいる。
あみ下手から入ってくる。
あ「おはよー」
の「おはよ。今日は早かったね」
ゆ「遅刻してる時点で早くないでしょ」
あ「いや。次二時間目だから早いね。今日の私はすごくえらい。遅刻確定だってわかってたけど寄り道もしてない」
の「ノーベル平和賞! 帰りにケーキを贈呈しちゃいましょう」
あ「やった!」
の「しかも、なんと駅前の」
あ「いいの!? マジで!? いやあ、頑張って来た甲斐があったね」
ゆ「もう、のあは甘いんだから。あみが出席点足りなくて留年したらどうするの」
の「あみは成績いいから平気だって。ゆなも帰りにケーキ食べに行こ。一緒に過ごせる時間は貴重だもん」
ゆ「だから、留年して一緒に卒業できなかったらどうするのって言ってるのに」
あ「だいじょーぶだってば。留年なんてしないよ」
の「私たち、絶対一緒に卒業するって約束したもんね」
ゆ「なら、いいけど。ところで、今日はどうして遅刻したの?」
あ「今日は間に合うつもりだったの。でも駅に行く途中で、─」
〜完〜
補足:途中で出てきたドールですが、この世界では人間の姿をした感情や思考を持った動く人形が存在するという設定です。人間のクローンに近いものも作ることが可能であり、ゆなはあみとのあの意志によって作られたドールであり、人間ではないので電池切れを起こしています。元にしたネタはプランツドールです。短編なので作中での説明を省きました。