フットボールを生きる街 #01 バーゼルの夜
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“Os voy a revelar un secreto; los aficionados del Sevilla fueron los protagonistas y estuvieron también todos vosotros, en ese vestuario del Sankt Jakob-Park, porque los jugadores, en el descanso, pensaron en vosotros. ”
「君たちに秘密をひとつ教えてあげよう。あの試合の主人公は、君たちだった。あの日、ザンクト・ヤコブパルクのロッカールームに、君たちもいた。選手たちはハーフタイムに、君たちのことを思い出していたんだ。」
セビージャFCが3大会連続5度目のUEFA ヨーロッパリーグ優勝を果たした翌週、 ホームスタジアム、ラモン・サンチェス・ピスフアンで行われたセレモニーで、スタジアムDJはこう明かした。
1点を先制されて迎えたハーフタイム、セビージャの監督ウナイ・エメリは「ここはサンチェス・ピスフアンだ」と選手たちを鼓舞した。他にことばは要らなかった。セビージャから2,000km以上離れたスイス・バーゼルのスタジアムで、選手たちはホームスタジアムのサポーターの声を聴いていた。
後半、1点、2点では飽きたらず、3点目を奪ったセビージャFCを画面越しに目撃していたサポーターたちもまた、セビージャにいながらバーゼルで歌い、祈り、歓喜の輪をつくっていた。
この街は、フットボールを呼吸する。この街は、フットボールにより分断され、フットボールにより連帯する。スタジアムはその圧倒的な熱に共鳴し、呼応する。
セビージャという街では、フットボールは彼らの人生そのものである。
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2015-16シーズン、セビージャFCはアウェイのリーグ戦で一勝もあげることができませんでした。一方、ホームでは13連勝を記録するなど絶対的な強さを誇っていた。だから、ヨーロッパリーグの決勝、リードされて迎えたハーフタイムに、当時の監督ウナイ・エメリが用意した戦術は「ホームスタジアムのサポーターの応援」だったのです。大好きなエピソードです。
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