空腹の夜に
なんでか眠れぬ夜が二日続く。
正確には早めに子どもと寝落ちしてから深夜に覚醒するパターン。
するともうお腹が空いて仕方なく、なんらか食べながら本を読んだりインターネットの海を泳いだり。
眠気がやってきて目を閉じてみたけれど、変な夢を見てまた起きてしまった。
レコード針が暴れて焦る夢。
寝落ちる直前に湯川潮音さんのレコードが出ると見かけていいな、と思ったからかな。
真夜中、チャイを沸かして飲んだり、お餅を焼いて空腹を満たしたのに、こうも眠れず夜明けが見えてくる頃にはもうお腹が空いていて呆れてしまうけれど、空腹には耐えられない。
玄米ラーメンを買っておいてよかった。
のらぼう菜をちぎって入れ、作り置きのわかめのマリネも入れた。
寒いし、あったかい汁もんを欲する。
できたてを一口二口食べたところで「あーちゃーん!」と子に呼ばれて布団に潜りこむ。
再び寝かしつけた後にすするラーメンはさぞやわらかろ。
きっとやわやわラーメンを食べた後にはもう一度、布団に潜って寝るだろう。
今日は3月11日。
2011年の震災からずいぶん時が経ち、あの日をきっかけに今のお店が生まれて、今も続いているのだから、からだの真ん中で思っていることは基本的にはずっと変わってない。
生きる術を身につけて、人と人との繋がりの中で、いろんなもんを分かち合って生きていく。
言葉にしきれないけれど。
あの日看護学生でもやもやしながらもがいて生きていたわたしは、インド旅から帰国したばかりで、母と自宅のガレージでできることから始めたんだ。
学校ではコミュニティカフェを仲間と立ち上げたり、インドで体験したWall Art Fesの報告会を企画して色んなアーティストと出会った。
翌年は哲学家として土と心と社会のつながりをテーマに学校を開いたサティシュ・クマールさんに会いに、一人イギリスのシューマッハ・カレッジへも行った。
まっすぐ進めずしんどかったから出会えた人がたくさんいたし、体験できたことが全部今のわたしを作ってる。
あの頃わたしに写真家の齋藤陽道さんを教えてくれて、一緒に展示にも連れ出してくれたサキにも救われたな。
眠れぬ夜、久しぶりに開いた陽道さんの写真集に綴られている言葉にも、神話の写真も、ぐううっと心に迫ってくるものがあった。
この春の熊本福岡への旅にもきっと繋がっている。
裸坊ですうすう眠る子の隣で。