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わたしはメキシコの何が好きなのか?対極の国「日本」でメキシコ友と再会した話。
みなさんはお店で物を買うとき、
店員さんに「買う理由や想い」まで
伝えたことがありますか?
カフェでコーヒーを受け取るとき、
店員さんの目をまっすぐ見て
「ありがとう」と伝えられていますか?
先日、メキシコでお世話になった
Fidel(フィデール)と
日本で念願の再会を果たしました。
わたしは1年間の世界一周の4ヶ月を費やすほど
メキシコが大好きになったわけなのですが、
今回「日本」という、
メキシコとは対極の国でFidelと過ごした時間が、
改めてその理由を思い出させてくれたんです。
ネコBagを買うだけなのに
Fidelと成田山参道で飲み歩きをしていた時、
Fidelがウインドウ越しに
ネコ柄のBagを発見しました。
すぐさま店内に入って、
これはいくら?と店員さんに確認。
手の届く金額だとわかると、
一つ返事で購入を決めました。
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店員さんも大のお気に入りだったそう。
店員さんがBagを包んでいると、
FidelはなぜこのBagが欲しいのかを
話し始めました。
「これはわたしの妻にプレゼントするんだ。
実は彼女には子供がいなくて、
でも子供が大好きで。
3匹飼っている猫が、子供のような存在なんだ。
(Fidelには前妻との子供がいる)
こんなに素敵な猫柄のBagに出会えて嬉しい。
彼女はとても大切にしてくれると思う。」
すると、店員さんはバックヤードへ行き、
自分が飼っている猫の写真を
たっっくさん持ってきてくれました。
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「わたしも猫が大好きで、今は5匹飼っています。
ここら辺には野良猫が多いので、拾って保護して
里親探しをしていたこともありました。」
猫たちの可愛すぎる写真を眺めながら
Fidelが一言。
「こんなに猫が大好きで、愛情深い
素敵なあなたの元からこのBagを買えたことが
とても嬉しいよ。」
店員さんはすごく嬉しそうな表情で、
Fidelに同じ言葉を返してくれました。
お客さんにここまでストレートに
感謝を伝えられることに
慣れていなさそうに見えました。
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店員さんとパシャリ。
わたしは何だか、うるうるしてしまいました。
日本だと、
似合っているのか?どういうものが好みか?
どんなシーンで使うのか?主に利便性について
話すだけで終わることが多いですよね。
買い物の短時間でお互いのプライベートな話まで
することってなかなかないと思います。
でも、Fidelが自分の話を打ち明けたことで、
やや人見知りにさえ見えた店員さんも
オープンになってくれた。
Fidelがまっすぐに目を見て
店員さんに感謝を伝えたことで、
店員さんも同じように気持ちを言葉にしてくれた。
その空間は、
たった10分足らずで作られたとは
思えないくらい、愛に満ちている感じがしました。
このとき、Fidelがメキシコでわたしにくれた
とある言葉を思い出しました。
「moe、時間やお金にはリミットがあるよね。
でも、愛だけはリミットがないんだよ。
使えば使うほど、自分の中でも相手の中でも
膨らんでいくんだよ。」
メキシコ人in日本の電車
Fidelと東京駅から成田駅まで電車で向かう途中、
スマホで音楽を流しながら
ふらふらと乗り込んできたおじさんがいました。
それなりの音量で流していたので、
周りの乗客は彼にとても冷たい視線を送っていました。
しかし、Fidelだけは満面の笑み。
「Nice musicだね〜〜👍
今日は土曜日だもんね〜!
彼はとても楽しそうでいいね!!」
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90分ずーーっとおしゃべりしてました。笑
(迷惑にならない声量で)
電車を降りるときも、Fidelは
「明るい音楽をかけてくれてありがとう」
と呟いていました。
音楽を流していただけで
犯罪者かのような視線を送る日本人と、
笑顔で彼の個性を受容するメキシコ人。
もちろん日本には日本の文化があるわけですが、
わたしは後者が好きだなあ、
そう改めて思ったのでした。
彼が体現するメキシコ人の死生観
成田山参道のそば屋さんで
2人で日本酒を飲んでいたとき、
Fidelが家族のwhatsappチャットの
様子を見せてくれました。
日本でいう、LINEグループのようなものです。
そこでは、毎日欠かさず
Fidelの子供たちや奥さんの近況が
たくさんシェアされていました。
「毎日」です。
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「moe、あと数秒後に何が起こるかなんて
誰にもわからない。
確かなのは"今この瞬間"だけ。
だからわたしたちは悔いのないように
周りにいる人に全力で愛を伝えるんだよ。」
メキシコには『死者の日』に代表されるように、
"死を思い、今この瞬間を大切に生きよう"
という死生観に基づいた考え方があります。
まさにそれを目の前で体現しているFidel。
わたしはこれまで、
勉強や部活、仕事に精を出すことはあっても、
"だれかに愛を伝えること"に
全力を尽くしたことはあっただろうか?
そう深く考えさせられました。
Fidelはコメダ珈琲でも、
東京駅のお土産屋さんでも、
成田山参道の小さなそば屋さんでも、
とにかくどこへ行っても、
出会う人出会う人に全力で
愛と感謝を伝えていました。
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お礼を伝えていたFidel。
大袈裟ではなく、ほんとうに
関わる人すべてに愛が伝染しているなあ
と感じました。
メキシコに行ってから約1年。
薄れかけていたあの時の感動が、
次々に蘇ってきました。
わたしがメキシコについて発信していた
言葉の重さや意味を、
Fidelが改めて思い出させてくれました。
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