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サンプリングマシン “E-MU SP-1200”

E-MU SP-1200 (1987)

ビートメイカーなら誰もが憧れるサンプリングマシン。それがSP-1200
90年代初期(だいたい91年〜94年頃)のNYヒップホップの名盤は、ほとんどSP-1200によって作られたと言ってもいい。

この頃のヒップホップにリアルタイムでハマっていた僕にとっても、もちろん当時からの憧れ。
そんなSP-1200ありきの名盤といえば、A Tribe Called Quest の『The Low End Theory』や Nas『Illmatic』などと挙げようと思えばキリがないわけだが、SP-1200の音の魅力を最も体感することができるのは、Pete Rock & C.L.Smooth のアルバム『The Main Ingredient』じゃないかと思う。誰しも、針を落とした瞬間に、1曲目の『In The House』のタメの効いたFatなビートに持って行かれるはず。

SP-1200は12ビットのローファイサウンド、サンプリングタイムは全体でわずか10.5秒。1つのパットにつきおよそ2.5秒しか録れないから、今思えば相当短い。
それを当時どのように使っていたかといえば、33回転のレコードを45回転(要は早回し)にしてサンプリングした後に、ピッチシフターという機能を使って音の高さを戻す、という方法でタイムを稼いでいたのだ。
ピッチシフターを通すということは、当然、音は劣化する。しかし、むしろその劣化してザラついたダーティーなニュアンスこそが、図らずもヒップホップ黄金期を示すアイコン的サウンドになったのだ。

SP-1200は、デカいロゴが書かれたバックパネルもカッコいい。
昔から僕はバックパネルなどの隠れたディティールに萌える節がある。
このモデルは初期型。90年代後半にリイシューされた後期型では"E-MU Systems SP-1200"になっている。




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