Music City #2(freak beat)
koyama"choux"shigeru
◆プロフィール
名前 → koyama"choux"shigeru
1972年うまれ
【バンド活動】
The Boots (1993年~)
pico(1996年~1998年)
carburettors(1999年~)
【主催イベント】
FUNKY BROADWAY (1996年~2015年)
KINNK!(2016年 FUNKY BROADWAYの20周年として企画。The Scarlettesとの共催)
BIG RUMBLING SCOOTER RALLY(初回の1997年から運営として参加)
【my scooter 】
Lambretta Li 150 Series1 Framebreather(1958)
◆modsとの出会い
高校生の時に街角で見かけたシルバーのベスパ50に魅せられてスクーター購入を決意。
1991年に大学進学で四国高知へ。よく遊びに行っていた古着屋のお兄さんがバーガンディー色のカッコいいベスパ50sに乗っていた。
「今度ET3に乗り換えるので15万円で買わないかい?」と願ってもないお話を頂きを譲ってもらえることに。しかもその兄さんがモッズ好きで、納車の日に「ベスパに乗るならこれも一緒にあげよう!」ということで、"さらば青春の光のビデオテープ(ダビングのダビングで超画像悪い)"、"M65 fishtail paka"、"フレッドペリー3着(うち一着はライン入り!)"、"ホワイトのUKリーバイス501"という3種の神器も同時に授かる。その日をもって18歳で田舎のモッズ少年としてデビュー。
※はじめてのスクーター(18歳の頃)
ほぼ同時期にザ・ヘアの"Out Of Our Hair"、12インチ"MAXIMUM R&B"に凄まじい衝撃を受ける。まさに雷に撃たれような感覚!ロック、パンク的なモッドリバイバルには全くピンとこなかったが"Cafe au Go Go"などのコンピで90年代初頭の東京のモッズシーンに触れることでリズムアンドブルースやソウル、ブルースとは、こんなにもクールで暴力的でヒップなモノだったのかと認識。古いブラックミュージックこそが最新鋭の音楽に思えた。
そんな訳で、それまで聴いてきた音楽や参加していたバンドなどが全て馬鹿らしくなってしまった。
激しくリズムアンドブルースをやるのだ!本物のモッズになるのだ!と頭がイカレてしまい、それまで必死でバイトで稼いだ金で買っていた楽器(シンセサイザー・サンプラー・シーケンサーetc)を売り払い、弾けもしない人生初のギターとFUZZとギターアンプを購入。
たまたま素晴らしいメンバーが身近で見つかり1993年、The Bootsを結成。
※衝撃を受けたザ・ヘアの"MAXIMUM R&B"
1996年、地元岡山に戻ってくることに。
早速地元のレコード屋に行ってみると入口の階段にバンドメンバー募集の張り紙。汚い手書きのターゲットマークにモッズバンドやりますの文字。張り紙を剥がして持って帰った勢いで電話をかけてみた。
待ち合わせ場所に行ってみるとすでに2台のベスパが停まっていた。年も近く3人ともスクーター乗り、その場で意気投合しバンド結成。その後メンバーチェンジはあったものの新しく加入する物は皆スクーター乗りだったのです。そのバンドは3ピースバンドのpicoとしてスタートし、後にcarburettorsになる。
この頃の岡山は空前のスクーターブームで関西のスクーターチームなども巻き込み、ちょっとしたツーリングやイベントがあるとスクーターが20台以上集まっていた。みんな十代後半から二十台前半で血気盛んな年頃であった。
この空前のスクーターブームの勢いから生まれたイベントの一つが僕たちが主催した《FUNKY BROADWAY》であり、もう一つが後に日本最大のスクーターイベントと言われた《BIG RUMBLING SCOOTER RALLY》につながったのは間違いない。
◆FREAK BEAT
1996年以降はpico、carburettorsとして岡山、関西のモッズ系、ガレージ系のイベントを中心に活動していく事になる。
結成当時からのバンドのテーマが「当時のイギリスのB級バンドのようにリズムアンドブルースやソウルを激しく、行儀悪くやる」というもだったが徐々に1966~1969年くらいのガレージ色の強いB級ブリティッシュビートをレパートリーに取り入れるようになる。いわゆるFREAK BEATや英国領(オーストラリア、ニュージーランド)の当時のB級バンドをメインにレパートリーに置いたバンドは斬新だと思った。しかしガレージバンドではなく、あくまでもモッドなバンドでありたいという気持ちで自らFREAK BEATバンドと名乗ることとなった。
60sガレージパンクの分類はUSガレージと、それ以外のヨーロッパ圏のガレージ(トランスワールドパンク)のように分類されていた。
この流れはAIPによるコンピレーションPEBBLESシリーズによって確立されていた。vol.6のイギリスモッズ編、vol.15のオランダ・ダッチビート編、vol.18-19-20のヨーロッパ圏など。
FREAK BEATの呼称とサブジャンルはこの後にPEBBLESシリーズvol.6の流れを汲んで編纂された同AIPの名作コンピシリーズ"ENGLISH FREAKBEAT "によって広められたものだった。
FREAK BEATってどんな感じ?って伝わりやすそうなバンドと曲を少し書き出してみる。ハードエッジでサイケ味もありファッションもスウィンギンなので興味があれば是非YouTube等でチェックしてみてください。
・THE ATTACK / Magic in the Air , Feel Like Flying
・THE FLEUR DE LYS / Circles
・THE MOVE / I Can Hear the Grass Grow
・THE SMOKE / My Friend Jack
・THE SYNDICATS / Crawdaddy Simone
・THE BIRDS / How Can It Be?
バンドの方向性が確立し動き出したころ、名古屋のthe How、大阪のThe Scarlettesなど近い志向のバンドやDJが現れ始めた。同じことを考えているのは僕らだけじゃなかったと背中を押されるような気持だった。
なかでも東京のthe marqueeの存在には驚嘆した!!彼らはさらに深くFREAK BEATを押し出し、シーンにFREAK BEATを持ち込んでいったのはまさに称賛の一言だった。
◆レコード紹介
【my favorite 3曲】
1. THE MINDBENDERS / Love Is Good
後の10ccにもつながるTHE MINDBENDERSが"A Groovy Kind of Love"のc/wとして1965年にリリース。
あのザ・スパイダースの"バン・バン・バン"の元ネタは完璧にコレ!
2. CHORDS FIVE / Universal Vagrant
CHORDS FIVE"I Am Only Dreaming"のc/wとして1967年にリリース。
タイトなリズムとジャキジャキのギターなダンサブルなビートナンバー。
ボーカルのミック・ロウリーはこののちFREAK BEAT重要バンドの一つであるTHE SMOKEを結成。原曲はアメリカのTHE MERRY DRAGONが1966にリリース。こちらもピロピロしたオルガンサウンドとシャウトが最高。
自分のバンドでFREAK BEATを取り入れるようになったきっかけの曲の一つ。
3. TONY AND TANDY / Two Can Make It Together
THE FLUER DE LYSはジミー・ペイジのプロデュースでデビュー・シングルをリリース。翌年にはThe Whoのカバー"Circles"発売。メンバーチェンジを繰り返しハードでサイケデリックなまさにFREAK BEATなバンドになってゆく。
この曲は南アフリカ出身の歌姫シャロン・タンディーのバックをFLUER DE LYSがつとめた一曲。
【for moderns 3曲】
1. THE GLORIES / Shing Me A Love Song
ハイ・サウンドの王様OVライトとともに来日したこともある、フランキー・ギアリングがクワイエット・エレガンス以前に在籍したの3人組ガールズグループ。
ハッピーな気持ちになるノーザンナンバー!
2. WENDY RENE / After Laughter Comes Tears : Complete Stax & Volt Singles + Rarities 1964-1965
初期STAXの女性ヴォーカリストであるウェンディ・レネのSTAXとVOLTからリリースした全作品+未発表、全22曲を2LPに纏めたコンプリート盤。
あどけなさと切なさがあるボーカルが癖になります。MG'Sがバックをつとめたというシンプルながらタイトなオルガンサウンド。
表題曲After Laughter Comes Tearsはもちろんながら、A5. I Wish I Were That Girl、B2. Deep In My Heartなど素晴らしい曲ぞろい。
3. O.S.T.《CANDY》より / Acension to Virginity
1968年アメリカ・フランス・イタリアで合作されたおしゃれエッチ映画《CANDY》。サウンドトラックはジャズ、映画音楽の巨匠デイヴ・グルーシンが制作。バーズ(US)、ステッペンウルフも名を連ねている。
B面5曲目の"Acension to Virginity"。ポップでサイケでダンサブルなラーガロック!自分の好きな要素がすべて詰まっているような気がする。
この曲がなければカヒミ・カリーの "Lolitapop Dollhouse"はなかったかも。
■edited by Daisuke Nishida (module)