「建物を壊さない」コンステックホールディングスが100の苗木を育てる理由〜戻り苗導入事例〜
「建物を壊さない」建築・土木の会社とは
奥川:
まずは御社について教えてください。
茶家氏:
コンステックホールディングスグループは計6社で構成する建築・土木の総合エンジニアリング企業です。コンクリート建造物の劣化調査や耐震診断、補修補強の設計・工事など、コンクリート建造物の長寿命化に取り組んでいます。
グループ会社各社が特化した技術をもっていますので、それぞれの強みを活かし、連携をとって、お客様の多様な課題解決にお応えしています。
奥川:
戻り苗の木鉢にも記載いただいている「建物を壊さない」というのも「コンクリート建造物の長寿命化」と繋がるところのように感じました。具体的にどのようなことなのでしょうか。
茶家氏:
建物を壊して新しいものを建てると、環境に害のあるものが多く生まれます。例えば、建物を壊す時には廃材が発生しますし、新しい家を造るために必要なコンクリートを製造する時には大量のCO2が排出されます。
私たちはそのようなことはできるだけ無くして、今ある既存の建造物を改修・補強することで、長く保つことに取り組んでいます。
奥川:
私の地元は和歌山県の那智勝浦という場所なのですが、古い家屋が多く残っています。きっと同じように直したり補強したりして、残ってきたのですね。必ずしも一新することが正しい訳ではないということを改めて考えさせられます。
3K(きつい・汚い・危険)から、安全で魅力的な職場へ
奥川:
私たちが今関わっている林業界も、建設・土木業界と同じく現場仕事で成り立っています。茶家様から見て、これからの業界のあり方として描かれている未来はどのようなものなのでしょうか。
茶家氏:
建設・土木業界は、慢性的な人手不足に陥っています。
「3K(きつい・汚い・危険)」というイメージをお持ちの方も少なくないでしょう。さらに、給料が安い、休日が少ない、暗い、汚い...と言われることもあります。
私自身も過去には現場で仕事をしていました。なので、そのようなイメージをもたれることも理解できます。ですが、これからは魅力ある職場づくりをしていく必要があると考えています。
奥川:
私も林業界に入り、いわゆる「現場」を多く拝見して、同じような課題を感じることがありました。特に危険であることには課題を感じています。最近の工事現場は、昔よりも整備されていて安全なように見えますが、どのような変化があったのでしょうか。
茶家氏:
おっしゃる通り、昔と今では安全性に雲泥の差があります。
例えば、現場での自動化・機械化。かつては人力で行っていた作業の中には、今では機械に任せられるようになったものやそもそも不要になったものもあります。
また、教育のあり方も変わってきました。当たり前にやっている作業が、実はとても危険なものだった...なんてこともあるものです。知っていると知らないとでは、大きな差があります。今は、どの作業員の方にも、1つ1つの危険性や安全な作業方法を教育しています。
奥川:
実際に現場に立つ皆さんの意識も、大きく変わっているところがあるのですね。そのような変化も、是非多くの方に届いて欲しいものです。
一番の環境保全は「建物を壊さない」こと
奥川:
さて、本題である「戻り苗」の導入についてお話を伺っていきたいと思います。まず、SDGsの取り組みにあたって重要視されているのはどのようなことなのでしょうか。
茶家氏:
先ほどお話しした建物を壊さないこと、これに尽きると考えています。
私たちは「事業活動を通じ、よりよい社会基盤構築に尽力し、幸せな環境づくりに貢献する」ということを企業理念に掲げていますが、そのためにも1つ1つの行動がどのような社会基盤構築に繋がるのかを全員が考え、理解することが重要です。
そのため、社員全員で意識し行動できるよう、社員に配る手帳の中に「SDGsの取り組み」という項目を入れて、1つ1つの項目に行動指針を設定しています。
環境保全には、全国みんなで取り組む。
奥川:
様々なSDGsの取り組みをされていますが、「戻り苗」をご導入いただいたきっかけはどのようなものだったのでしょうか。
茶家氏:
きっかけは、社長の安部がNHKで奥川さんをみたことでした。ちょうど環境保全活動のあり方を見直しているところだったので、「これはちょうどいいぞ」と導入を決めました。
奥川:
どのようなことを考えられていたのでしょうか。
茶家氏:
私たちは今まで、大阪府茨木市の里山保全や、インドネシアのカリマンタン島での植樹に取り組んできました。しかし茨木市の里山保全の参加者は大阪の人に限られていき、インドネシアでも全国から数名派遣していましたがいつしか毎回特定の人になってしまっていたのです。
もっと全国的にみんなが取り組めるものがないか...そのようなことを考えていました。戻り苗は観葉植物として苗木を育てることで森林保全に取り組むことができます。全国の事業所で導入できる点に魅力を感じました。
奥川:
今では100本の苗木を全国42事業所で育てていただいていますが、皆さんの様子はいかがでしょうか。
茶家氏:
各事業所から毎日気にしている様子が伺えて、「なんだか楽しそうだな」とその光景を嬉しく感じています。社会に貢献している感覚も、自分ごととして感じてもらいやすいのではないでしょうか。
奥川:
そのようなお声が聞けて、嬉しく思います。もうすぐ育て始めてから2年がたち、森に戻す時期になりますが、今後の発展としてどのようなことを考えられているのでしょうか。
茶家氏:
検討中の段階ではありますが、今育てている苗木の植林には、全国から参加者を募ってソマノベースと共に植えられたらと思っています。
奥川:
皆伐現場も見てもらうと、良い意味で衝撃を受けていただけると思います。なぜ植林が必要なのか、自分たちにできることは何なのか...そのようなことを現場を見ながら考え、環境に対する思いを育むことに繋げていただきたいところです。
茶家氏:
そうですね。苗木を育てる中で、植林に興味をもっている社員も少なくないと思います。せっかく育てた苗木ですから、植えるところまで一緒にできればと思っています。
奥川:
私たちも植えるところまでしっかりサポートさせていただきます!本日は貴重なお時間をありがとうございました。
株式会社コンステックホールディングス様の継続的かつ発展的なサステナビリティ推進を、私たちソマノベースはこれからも応援し共に走ってまいります。
最後までご覧くださり誠にありがとうございました。