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リゲティ「ポエム•サンフォニック」(展覧会「ドリーム/ランド」イベント)

不覚にも「C×C(シー・バイ・シー) 作曲家が作曲家を訪ねる旅 Vol.4 酒井健治×ジェルジ・リゲティ[生誕100年]」の公演中止が暮れに発表されていたのを全く認識しておらず、会場に行って初めて知らされ、呆然となった。自分自身のリスク•ヘッジのとり方を猛省するばかりである。

払い戻しの案内に合わせて、関連企画として同ホール•ギャラリーでの展覧会「ドリーム/ランド」の中でリゲティ「ポエム•サンフォニック」が演奏されると教えてもらい、観に行くことにする。有名作だけれど、これまで実演に接する機会がなかったので。

時刻になり、暗くした展示室に通されると、既に演奏が始まっている。ここまでは本来の指示通りらしい。100台のメトロノームは、広い展示室の壁沿いや柱の周囲に分散して置かれていて、カチッカチッという音に包まれる感覚は非常に興味深い。

しかしながら、周囲の壁面には眩いほどのプロジェクション•マッピングが投影されている。初めはそういう趣向もありなのかななどと思ってもみたけれど、しかし、これでは意識が完全に視覚に持っていかれてしまう。やむなく部屋の中央辺りで立ち止まって、目を閉じてみる。100台のメトロノームはそれぞれ異なるテンポ設定で規則正しくリズムを刻む。同じことを音程でやればトーン•クラスターだから、これはリズム•クラスターとでもいうべきか。どちらの素材を用いるにせよ、緩慢な変化の中に身を置くことが趣旨だろう。ゼンマイがほどけて、刻み続けるものが少なくなっていき、残りがごく数台になってみると、少ない中でも思いのほか複雑なリズムの綾が聴こえておもしろい。

それにしても、せっかくの企画なのにリゲティ作品が、映像の「お添え物」になっているのが、どうにも残念だった。なお、余計なことながら、同ホールで昨年10月におこなわれた「浜辺のアインシュタイン」公演で音楽をー率直に言ってー粗末に扱っていた姿勢とも無関係とは思えなかった。(2023年1月14日 神奈川県民ホール•ギャラリー)

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