見出し画像

in C in Buddy

■出演
工藤あかね (Sop)
木村雄太 (Bar)
内山貴博 (Fl etc)
安里昌悟 (Ob etc)
山根孝司 (Cl etc)
西村薫 (Cl etc)
村田厚生 (Tb)
橋本晋哉 (Tub etc)
横島礼理 (Vn)
大鹿由希 (Vn)
亀井庸州 (Vn/尺八)
迫田圭 (Va)
竹本聖子 (Vc)
會田瑞樹 (Vib etc)
大沼弘基 (Key etc)

「ミニマル音楽の大作、テリー・ライリー作曲のin C(1964)を、初演から60年の節目の年に15名のアンサンブルで挑みます」とのステートメントが掲げられた。

前半に、数名ずつの小さいアンサンブルによる即興演奏を3セットと、會田瑞樹氏作の「江古田ラプソディ」、後半に in Cというラインナップ。
前半は比較的リラックスした雰囲気の中スタートし、それぞれ味わいのある演奏が披露された。

休憩を挟んで、in C。冒頭、ごく短いフレーズが重なっていく段階では、ビートが揃わず少々不安になった。演奏後、MCを務めた西村氏から、PAさんがかなり骨を折ってくれたとの話が披露された。そのように手を尽くしていただいても、各プレーヤーの音の分離が今ひとつという印象だったのが惜しまれる。特に、チェロ、オーボエ、フルート、尺八はほぼ聴こえなかった。客席前方に陣取っていてこういう状況だったので、ステージ上のプレーヤーが互いに聴き合うのも、なかなか大変だったのではないかと思われる。

音響上の逆境ではあったけれど、長めのフレーズが登場するようになってからは細部が徐々に整い、最終的にはかなり熱い/厚いアンサンブルが立ち上がっていった。

ただ、これだけの猛者を集めてもなお難しい作品なのだと認識した。奏者同士がじっくり聴き合い、互いに微細な化学変化を味わいつつ進行するのが本作の醍醐味なのだろうと推測する。まずは、演奏者のための音楽であり、聴衆はそれに立ち会う、といった趣旨なのだと考える。今回、これだけの顔ぶれが揃っているのである。これまでに聴いた演奏を遥かに凌ぐものになるのではと大いに期待した(実際、前半の少人数による即興演奏は、短い時間ながら奏者間の緊密なやりとりが楽しめた)。けれども、奏者間の細かなやりとりはあまり聴取できず、なんとも勿体無いという思いが残った。一般のホールで、生音を互いに聴き合えるような環境だったら、などあれこれ想像を巡らせた。

この一回限りでなく、ぜひまた聴かせていただきたいと思う。もはや「古典作品」である。ライヒの諸作とともにぜひレパートリーにしてしまってほしい。(2024年4月22日 江古田・Live in Buddy)

いいなと思ったら応援しよう!