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mama!milk 夜の海辺の音楽会

出演
mama!milk
生駒祐子 アコーディオン
清水恒輔 コントラバス

照明 : 山本周平
舞台協力:似て非works
宣伝美術:stompdesign
協力:イトウ音楽社 NOREN MUZIC
主催:象の鼻テラス
企画制作:MUSICA MOSCHATA

最初の一音で、しみじみと来て良かったと感じる。自分はこの音が好きなのだ、と改めて思った。

お二人をほんのり照らす最小限の照明、会場は三方が大きなガラス張りなので、日が落ちると客席は聴衆もろとも心地の良い宵闇に沈んでいく。一曲一曲が丁寧に奏でられ、丁寧に聴かれていった。

印象的だった場面を挙げてみると、Veludeの尖った音。Azulでの清水氏の熱量の高いソロ。生駒氏のソロによるYour Voiceの優しさ。Aoの切なさ。A Phosphorescence の不思議な響き。…ほか多数ありました。

どの曲だったか、最後の音が消えた瞬間、小さく汽笛が聴こえた。お二人の手が止まる。さらに汽笛がもう一声。汽笛の余韻をゆっくり味わったのち、次の曲が始まった(朝比奈隆氏の『楽は堂に満ちて』のエピソードを思い出す)。「サイトスペシフィック」なコンサートにこだわるこのユニットならではの瞬間だったと思う。

いつも感じることだけれど、お二人とも、身体の動きがそのまま音になっていて、そこが何より魅力的である。清水氏の、非常に表情の幅の広いコントラバス。生駒氏の息遣いを直に感じさせる蛇腹捌き。大袈裟な物言いになるけれど、生きている者の悦びや哀しみがストレートに音楽として立ちあらわれるというか。

ゲストを迎えてのセッションも、いろんな色彩が味わえるので楽しいのだけれど、今回はお二人だけの演奏で、このユニットの生の声をじっくり聴かせてもらえたと思う。楽曲一つひとつについて、こうしたい、こういう音に仕上げたいという想いが直接に伝わってきて、各々の曲の味わいを再発見できた。(2023年6月11日 横浜・象の鼻テラス)

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