絵本「さよなら、また会えるといいね」 17 嬉々山リンタ 2024年12月26日 11:33 ここは、とある町。青い屋根の小さな家で、男の人と女の人が、ささやかな暮らしを営んでいました。2人はとても仲良く、そして楽しく、毎日を愛でるように過ごしていました。しかしある夏の日の午後、2人でお茶を飲んでいるとき、男の人が話を切り出しました。「2人の暮らしは、いつまでも続いていく。まるで凪のように。とても楽しいよ。だけどその中で僕に、旅に出る機会を与えてほしい。外の世界を一度見てみたいんだ。だから。」「さよなら。また会えるといいね。」突然のことでしたが、男の人はそのまま家を出て行き、その後なんと8年も家に帰らなかったのです。女の人は、あまりの出来事に、しばらくの間何もできずにいました。しかし女の人は、男の人を愛していたので、その気持ちだけを頼りに8年もの間家を守り、男の人の帰りを待つことにしたのです。そしてある夏の日、男の人は帰ってきました。それから、女の人にお礼を言った後、話し始めました。自分の旅がどんなに素晴らしかったか、そこで何を得たのか。あの日と同じく、2人でお茶を飲みながら。例えばこんなこともしたし、あんなこともした。これもやったし、こんなこともした、というふうに。男の人は、まるで人が変わったように、自信に満ちあふれた表情で話し続けました。女の人はそれを楽しそうに聞き、全部話が終わったとき、マグカップを置いて、立ち上がりながら、笑顔で男の人にこう言いました。「私、気づいたんだ。待っているだけじゃ何も始まらないってことに。私だって、外の世界を見てみたい。だから。」「さよなら。また会えるといいね。」 ダウンロード copy いいなと思ったら応援しよう! チップで応援する #オリジナル #絵本 #絵本作家 #大人の絵本 #大人の絵本時間 #大人の絵本作家 17