私的ジャズ論:オーディオフォーマット聴き比べ<その2>実際に聴き比べた
みなさん、お元気ですか?前回の続きで、今回はいよいよ実際にメディアフォーマットの聴き比べのお話です。聴き比べの前にちょっと前回のお話をまとめます。前回記事はこちら ↓
聴き比べのメディアフォーマット
メディアの中身
今回聴き比べのアルバムジャケ集合写真(帯付き)
オーディオ環境
ここまでが前回の内容です。以降は今回からの記事になります。
いくつかのカテゴリを設定して点数制などで聴き比べをするのが客観的で良いんでしょうが、そうすると文章で読んだ時に無機質になりがちで面白くないのかなと思います。なので、比較箇所は出来るだけ揃えますが、基本は文章で音の具合を説明することにします。
まずはレコードの感想から。レコードはプチプチノイズがどうしても発生してしまう分だけCDよりも音質的に不利なんですけど、それでもレコードはちゃんとしたオーディオで再生すればCDよりも音が良い、という雑誌記事やネット記事は目にします。さてどうでしょう?
<レコード>
結論から言いますと、レコード盤の音質は今回の4種類のフォーマットの中では最下位でした(盤の厚さ・重さ的には180g盤だとは思うんですけど)。気になった点は、
・高音域がCDほど出ておらず、かすかに音が曇っている感じ
・バンドの音がやや奥にあり、全般的に音像が平坦(フラット)
・各楽器の音の分離がCDと比較して良くない
・B面最後の最後でわずかに音割れっぽい(レコード内周で発生しやすい)
といったところでしょうか?あくまでもCDとの比較の問題なのですが、良いオーディオ(私以上の製品だと恐らく全部で数百万円クラス)だったら良くなるんでしょうかね?正直疑問です。それぐらい収められている音がCDと違います。まぁ独特の音の温かみというのがこの音のモコモコ感や平坦さであるなら納得ではあるんですが。。。とりあえず、次に行きます。
<CD(ルディ・ヴァン・ゲルターがリマスターした24bit盤)>
一言で言い表すと「さすがルディ・ヴァン・ゲルター!」という感じです。レコードと音像が全然違います。こちらも気づいた点として、
・全体の音像や楽器音の輪郭がハッキリしていて力強い
・レコードと比較して、音の曇りがなくクリアで音圧も強め
・音の分離自体はレコードとあまり変わらないが、楽器の音がより
強く出ているので気にならない
です。ルディ・ヴァン・ゲルターは1950年代にこういう風に音を採りたかったんだな、と思えば納得の仕上がり。レコードを手本として、それをより良い技術と時間をかけて収めなおしましたと言う感じが伝わります。25年前の技術でここまでできたなら、今同じことをしてくれたらもっとすごかったかもと思えてしまう。が一方で楽器がドンと真ん中にあって押しが強すぎると思う人もいるかもしれない、と言うことも念のためお伝えしておきます。
<CD(ケヴィン・グレイがリマスターしたUHQCD盤)>
この盤はあまり特徴がありませんでした。しいて言えば、
・音の分離はかなり良い。が、ステレオ録音のチャンネルを左右に分けすぎ
・音の輪郭や圧力と言う点ではレコードよりは上だが、24bit盤よりは下
と言ったところです。楽器の音はルディ・ヴァン・ゲルターのリマスターよりはやや穏やかに感じます。好みもありますけど、こちらの穏やかなヴァージョンが好きな人も多いかもしれません。ルディのよりはキラキラ感が控えめで、音の質感はレコードに似ているかなと思います。
ただ、音の分離にこだわったのか、チャンネルが完全に左右に分かれており、管楽器とピアノは左チャンネル、ベースとドラムが右チャンネルと言う音位置は好みが分かれるでしょう。このケヴィン・グレイと言う人は、ジャズファンにはモノラル好きが多いと言うことを知らないんでしょうかね?一応言っておくと、この盤にはモノラル盤も売っていて、好きならそっちを買えということではあります。がそれでもレコードも24bit盤もステレオなのにそんな不自然さはないわけで、それ以上にチャンネルが分かれているのは賛否両論でしょう。
<CD(タワレコ企画のSACD盤)>
端的に言うと、音の質感はこれが一番良いです。気づいた点は、
・楽器の音の再現性と言う意味では、この盤が最上級
・音像はひとつ前のUHQCDに近い(左右のチャネル分けも同様)
と言った感じ。凄いのは管楽器のツヤも表現できているし、ウッドベースはボディの木の部分が鳴っている感じまで伝わってくるよう(あくまでも比較するとです)。ピアノやドラムの音の立体感も申し分なく、普通のCDよりも割高ですがその価値はあるなと思いました。このSACDが現時点では究極のCDといって良いと思います。ただ、残念なのは恐らくこちらの作品も前述の作品と同様ケビン・グレイがリマスターしていると思うんですけど、左右のチャネルの音の位置関係がUHQCDのそれと一緒です。これが好き嫌いが分かれると思います。ただ、そのせいもあってか楽器間の音の分離は非常に良いと言えば良い。
<総論>
4枚の中での一番の好みは4番目のSACD盤です。理由はやはり楽器の音の再現性が一番良いということです。チャネルが左右に広がり過ぎなのは気になりますが、それでもやはり良い音を聴きたいというニーズには一番合っているかなと思います。2番目はルディ・ヴァン・ゲルターのリマスター24bit盤です。こちら楽器音の押しの強さや輪郭がしっかり出た音像も魅力的です。ただ、音そのものの質感はやはりSACDの方が好みでした。
3番目はUHQCD盤です。こちらはあまり特徴がありませんでした。が、このパッケージの売りは別にあって、完全未発表曲4曲を含む7曲のボーナストラックですから、まぁ音で勝負できていなくても気になりません。ただ言っておきますと、こちらの音はSACDのそれと非常に近く、音が悪いわけではありません。音質のしっとり感(なめらかさ)は24bit盤より上と思います。
最下位はレコード盤です。プチプチノイズとレコードの内周(各面の録音の終わりの方)の音の歪みがどうしても避けられないですけど、音の内容でもCDに勝てていない気がします。録音レベルがやや低めなのは仕方がないにしても、CDと比較すれば、やはりかすかにモコモコしているのと、音像のメリハリがCDより弱いので、全体的にフラットな感じと少しだけ奥で演奏しているような感じに聴こえる。ただ、お店のBGMなんかで流すには、このフラット感と柔らかな音像はちょうど良いのかななんて思います。ジャズ喫茶やバーのBGM、晩酌のBGMなんかには実はレコードが最適かもしれません。
逆に、UHQCDやSACDの音像はチャネルが左右に振り分けられすぎているので、ヘッドフォンで聴くと疲れるはずです。ヘッドフォンで聴く場合、ルディ・ヴァン・ゲルターのリマスター24bit盤が楽器の輪郭がハッキリしていて小音量でも聴きやすいんじゃないかと思います。
<理想形>
今回の比較で考えた私の理想は、ルディ・ヴァン・ゲルターの24bitリマスターの音像を、SACDの音質(楽器の質感の再現性)で聴いてみたいと思いました。あと誰かケヴィン・グレイと言う人に「左右のチャンネルを分けすぎるな」と注意してあげて欲しいです笑。
今回の聴き比べいかがでしたでしょうか?いったんこれで終了ですが、先日家のCDを掃除がてら整理していた所、いくつか同一作品の別フォーマットも見つかりましたので、機会があればまた別の作品で企画したいと思います。
今回試してみて、SACDというフォーマットは値段は高めですが、確かに欲しくなる音はしていると思いました。で、ポップスでSACDを探してみたら結構出ているんです。ただ、フィデリティとかいうレーベルが出しているんですが、そこのSACDは6000円以上でものによってはもっとします。ちょっとそこまで高いとなかなか買おうという気にはならない。だれか試して記事にして欲しいなと思いました笑。
次回はジェフ・ベックについて書くことを予定しています。
では、また次回お会いしましょう!
今回の記事を面白いと思っていただいた方は「スキ」をクリックしてもらえると嬉しいです。
#BlueNote
#ブルーノート
#ジャズ
#JAZZ
#オーディオ
#コルトレーン
#Coltrane
#BlueTrain
#ブルートレイン
#Marantz
#DENON
#SACD
#UHQCD
#ルディヴァンゲルター
#リマスター
#remaster