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サウンドトラック3選 <その2>~ギネス認定のサントラは女神の歌声~

みなさん、こんにちは!前回のサントラはいかがでしたでしょうか?アメリカ黄金の80年代を感じ取ってもらえたでしょうか?

無数に発売されているサントラから(個人的におススメな)ベスト3を選ぶという企画に無理はあるにはあるのですが、「片っ端から聴いてみたら?」とか「映画観て自分が気に入ったものを聴けばいいじゃん!」と言われても逆に有り難くないわけで、あえて3枚に絞り込むのがこの企画の良さでもあるはずなので気にせず続けます。2作目の今回は90年代の名サントラです。

The Bodyguard(ボディガード)

THE BODYGUARD

1992年発表の同名映画のサウンドトラック。プロデューサーはホイットニー・ヒューストンと彼女を発掘したクライヴ・デイヴィスとの共同名義となっています。超有名作品なので知っている方も多いでしょう。

主演はケビン・コスナーとホイットニー・ヒューストン。映画も観ましたが、途中にホイットニーの感動的な歌も入りつつで面白かった記憶があります。

このサントラですが、世界で4,400万枚以上売れたギネスブック認定の世界一売れたサントラだそうです。全13曲のうち6曲がホイットニーが歌っている曲で、残り7曲がホイットニー以外の曲。13曲目は「ボディガードのテーマ」というオーケストラの曲なので、今回のサントラ選定基準からするとマイナス点ですが、13曲中の1曲だし、アルバムの最後だしで邪魔にはならない(制作側も配慮した?)かなという感じです。

この作品の目玉は何と言ってもホイットニーが歌う前半6曲です。ちょっと話がそれますが、この作品の25周年記念盤でホイットニーの曲だけを切り出して、その別バージョンを収録しているアルバムも出ています(それぐらいこのアルバムの目玉は最初の6曲)。今回の記事はそのアルバムのライナーノーツの情報も含んでいます。

1曲目はもはやホイットニーのシグニチャーソングである「I will always love you」です。この曲は実はカバーで元はカントリー歌手であるドリー・パートンの曲です。映画の中でもカバー曲扱いで脚本がよく考えられているなと思いました。

面白いのは、映画の企画段階でホイットニーが歌う曲はこの曲ではなかったらしい。でも別の映画でその曲が使われてしまいカバーの構想はボツに。そこでケビン・コスナーが「じゃぁこの曲はどうだろうか?」とアイデアを出したのが「I will always love you」だったとか。凄いぞ、ケビン・コスナー!

もともと映画の配役もケビン・コスナーから決まっていて、主演女優は誰が良いかと聞かれてホイットニーと答えたのが彼ということで、それもまた凄い。今とは違い白人男性と黒人女性の恋の話はメインストリームの映画では存在しなかった時代です(多分)。しかも彼女のスケジュールが空くのを1年間待っての撮影開始だったそう。ケビン・コスナーの目に狂い無し!この映画自体、ケビン・コスナーが脚本を購入して映画化したという話を聞いたことがありますが、それにしても素晴らしいアイデアと判断力であることには違いない。

歌のすばらしさはもはや説明は不要でしょう。

2曲目は「I have nothing」です。これも良い曲ですねぇ。映画でもステージで歌っていて観客の大歓声を受ける曲です(確か)。私はこの歌のクライマックスである「Don’t make me close one more door(また扉を閉じさせないで)」から「Don’t walk away from me / I have nothing / Nothing / Nothing / If I don't have you(行かないで!あなたがいなければ私には何もないのだから)」までのところで不覚にも泣いてしまうことがあります笑。それぐらい良い曲だし、彼女の歌のうまさが活きている。文句なしの名曲です。

3曲目は「I'm every woman」です。これは元はチャカ・カーンが歌っていた曲です。アップテンポのダンサンブルな曲でカッコいい。これもとても良い曲。チャカ・カーンよりも声が高い(く聴こえる)せいか、オリジナルバージョンよりもシャキっとした仕上がりで、個人的にはホイットニーのバージョンの方が好きです。

4曲目は「Run to you」。こちらもバラードですが良い曲。この段階で既に3曲目のバラードなのにまだよい曲が続く。正に神がかりなサントラです。1曲目、2曲目のバラードが感情たっぷりに歌い上げる渾身の仕上がりなら、こちらはホイットニーがリラックス気味に時にささやくようにファルセットを使いながら歌っているところも聴きどころ。

5曲目は「Queen of the night」で、これも映画で使われています。ロックテイストを含んだダンスナンバーで、リズムに少しニュージャックスウィングと呼ばれる跳ね系のリズムが入ってますかね。この頃のジャネット・ジャクソンとか、いろいろ言われてしまう旦那のボビー・ブラウンが若い時に積極的に取り入れた、当時流行ったブラックミュージックのスタイルです。

6曲目は「Jusus loves me」です。ゴスペルの曲です。もともとホイットニーは幼い頃から教会でゴスペルを歌っていたらしいので、正に本領発揮の曲です。イントロのオルガンが印象的な曲ですが、ゴスペル感を漂わせながらもより広い層にウケるよううまくアレンジが考えられてポップソング感も失わない仕上がりになっています。CD発売時のライナーノーツには映画では使われていない曲とあります。

ここまでがホイットニーの曲です。

正直に言いますと、このアルバムの価値はほぼここまでです。捨て曲が少ないことがベストサントラの選定条件の1つではありますが、1枚のアルバムに6曲も良い曲が入っている時点でかなり当たりの作品。しかもその6曲が最高の6曲なのだから、7曲目以降がどんな曲であれもう充分でしょう。

7曲目以降ではケニーGが参加している2曲は悪くないです。特に7曲目はカントリーにケニーGという組み合わせで良い曲だなと思います。6曲+
2曲という感じで聴けます。が、ホイットニーの6曲と比較するのはさすがにかわいそうです。それ以外の曲も聴けますが、選んで聴くレベルの曲ではないですね、正直。

ということで、ホイットニーの神がかりな6曲(とKennyG)を聴くためのサントラ。個人的には彼女のアルバムとして見れば、この6曲が彼女のキャリアのピークだと思っています。以降はドラッグの問題もありますし、年齢的な問題もあるのかその歌声は輝きを失っていってしまいます。曲の良さと言う意味でもこのアルバムまでがピークでしょう。

彼女の良いところだけが結晶のような純度で記録されたボディガードのサウンドトラック。ぜひ皆さんの耳で確かめてください!

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