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サウンドトラック3選 <その3>~ブラックミュージックの傑作が三つ巴~

皆さん、こんにちは!前回のおススメ<その2>のボディガードはいかがでしたでしょうか?あまりに有名な作品過ぎて聴く気がしないですかね?でも知っている曲は 「I will always love you」だけだったりしませんか?ぜひ他の5曲もチャレンジして欲しいです。

一旦今回が最終回のサントラ3選ですが、迷った結果3作品まとめて発表します。これはどれかを選んで聴いてもらっても良いし、可能なら全部聴いてくださいという意味です(聴いて記事にするのに時間がかかりました笑)。

今回はBLAXPLOITATION(ブラックスプロイテーション/ブラクスプロイテーション)に関係する3作品です。ブラックスプロイテーションとは1970年代前半にアメリカで流行した黒人アクション映画の総称です。黒人マーケット向けのバイオレンスやお色気などを盛り込んだ犯罪モノ、刑事モノの大衆娯楽作品群です。登場人物もほとんどが黒人、音楽も黒人が作っていますが、その内容については賛否両論あるようです。

ちなみに私は今回おススメするサントラの元となる映画を1つも観ていません。日本では地上波もケーブルテレビもほとんど再放送されていないんですかね(ちなみにSHAFTは主演がサミュエル・L・ジャクソンでリメイクされてます)。でも日本の音楽ファンの間でこれらのサントラは昔から名作に挙げられるほどの人気作。つまり音楽を観なくても楽しめるサントラなんです。

それでは作品の説明をします。

SHAFT(シャフト):1971年発表作(音楽:アイザック・ヘイズ)

SHAFT / Isaac Hayes

COFFY(コフィー):1973年発表作(音楽:ロイ・エアーズ)

COFFY / Roy Ayers

SUPERFLY(スーパーフライ):1972年発表作
              (音楽:カーティス・メイフィールド)

SUPERFLY / Curtis Mayfield

これらの作品群は見事にブラックスプロイテーションブームの真っただ中の1970年代前半に集中しています。音楽監修のアーティストはそれぞれ違いますが、3人ともブラックミュージックの重鎮です。

3作品に共通する点は、いろんなアーティストや曲の寄せ集めではないということ。例えば、これまで紹介した「フットルース」や「ボディガード」もそうだし、今のサントラは基本的には曲やアーティストを寄せ集めますよね。1曲目はAというアーティスト(フィーチャリングB)で、10曲目はアーティストXで・・・というような具合です。

この3作品はそうはなっていなくて、各作品の音楽を監修したアーティストが全曲作り込んでいます。映画のシーンに当てはめるような曲もありますが、勘違いして欲しくないのは、映画のシーンに当てはめると言ってもスコア系の切り取ったような曲ではなく、歌こそ入っていないものの曲として成立する小曲がほとんどなので、映画を観ていなくても楽しめるんです。

音作りや曲調も3作品とも共通項がある感じはします(" ワカチコ!ワカチコ! "と聞こえるカッティングギターはその典型)。やはりこの時代の音があったんだと思います。時代の音という共通項はありながらも、アーティストの個性でそれぞれが少しずつ違うのが、彼らがその後もブラックミュージックの重鎮として名声を得ている理由でしょうか?

個性の面では、ざくっと言うと上から順番に映画のサントラっぽく作り込みが効いていて、下から順番にアーティストのアクが強く個人名義のアルバム臭が強く出ている感じです。

ここから、各作品の説明をしたいと思います。

<SHAFT(邦題:黒いジャガー)>
1971年発表作で音楽はアイザック・ヘイズが監修。全15曲69分の大作で、当時は2枚組LPで発売されたとのこと。この映画のタイトルトラック「SHAFT」でアイザック・ヘイズは黒人初のアカデミー主題歌賞を受賞する。本作中の曲は2パックやビースティ・ボーイズがサンプリングするなど、ヒップホップ界からの評価も高い。
ブラスやストリングスを入れたビッグバンドからバンドまで多彩な曲が収められている。曲の造り込み度合いという意味では、今回の3作品の中では一番上。全般的に都会的ですっきりした感の曲が多く、ブラックミュージック特有のファンク色やアクは弱め。歌ものの比率は低いが、インスト曲が魅力的で良いデキなので気にならない。14曲目の「Do your thing」は19分の大作で、ブラスを含んだ大編成バンドのライブ録音(恐らく)。このウネリやユレが本作品中では最もブラックミュージックらしい部分と言えるか。15曲目の「The End Theme」もカッコいい。

<COFFY>
1973年発表作で音楽はロイ・エアーズが監修。映画の主演女優パム・グリアは彼女の大ファンである映画監督クエンティン・タランティーノの作品「ジャッキー・ブラウン」(1997年)でリバイバル。また、同映画の中でこのCOFFYからの曲が使われていることでも有名。
サントラのプロダクションとしては、先のSHAFTと比較するとやや音数やサウンドのバリエーションは少なめで、音楽としてはより焦点が定まっている印象。ロイ・エアーズがヴィブラフォンといういわゆる鉄琴の奏者でもあるので、ヴィブラフォンのメロディを堪能できる。アルバムの出だしにふさわしい印象的な1曲目やアップテンポでカッコいい4曲目も聴かせどころ。インスト曲も多いが、それぞれグルーヴだったりメロウだったりの聴かせどころがあり安心して聴いていられる。11曲目のねちっこいエレキギターのフレーズはファンカデリックのマゴットブレインを思い起こさせる。

<SUPERFLY>
1972年発表作で音楽はカーティス・メイフィールドが監修。このアルバムはポップチャートで4週連続1位と彼のキャリアの中での最大のヒットを記録する。全9曲と小ぶりでインストも2曲のみという、サントラと言うより彼自身が好きなことをやり切ったアルバムと言った方が適切と思えるぐらい映画そっちのけの(に聴こえる)デキ。
前述のSHAFTやCOFFYと比較するとより土着的と言うか、アフリカ的なルーツを感じさせる音作りになっている。恐らく作品全体に響き渡るコンガの音がそうさせているものと推測。カーティスは終始ファルセットを多用した歌声でメロウな響きを醸し出しており、独特の黒いグルーヴ感と相まって音像は濃くて強め。3曲目やタイトル曲の9曲目のグルーヴ感とメロウ感が聴きどころだが、中盤の5~7曲目のネットリ感も味わい深い。インスト2曲では、ワカチコギターが炸裂する4曲目が唯一映画っぽい曲とも言える。8曲目はソウル風味のインストバラードと言った感じ。CDのボーナストラック2曲のMixが思いのほか良くて驚いた。

今回紹介した3枚とも名作なのでぜひ聴いてみてください。ブラックミュージックの入門編として良いと思います。私はこれから映画を探して観てみようと思っています。

これで一旦サントラ編は終わりになります。他にも作品の候補はありました。例えばパルプフィクションとか。が、やはりこの時代のブラックミュージックも1つ入れておきたいと思いましたし、入る資格のある名作群だと思います。余談ですが、パルプフィクションの監督のタランティーノは今回の3作品は大好きなはずですね。

次回の記事はロック系で考えています。

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