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私的ジャズ論:「レコードコレクターズ 2024年11月号ブルーノートベスト100」 <その2> 初心者にはコレがおススメ!
みなさん、お元気ですか?前回はレコードコレクターズ2024年11月号のブルーノート・ベスト100のTOP5から私のおススメやら、TOP5をどう考えるかなどについて語りました。その時の記事はこちらです ↓ まだの方はぜひ読んでってください。
今回はこのランキング100の中で私が個人的におススメする作品をご紹介します。私が意識した点は以下の3点です。
・ジャズの初心者や未経験者でも楽しめる
・作品・アーティストとも充分な知名度がある
・当たりはずれが出やすい実験作ではない
音楽雑誌のベストXXは流行りなのか至る所で企画されてますが、結局そのリストって何のリストですか?というのはやや曖昧です。例えば、その人が人生で一番聴いた作品の回数順のリストなのか、人に勧めたい作品順のリストなのか、その音楽ジャンルに強いインパクトがあった作品、もしくはその人個人が最も衝撃を受けた作品なのか?音楽好きなら「名盤だけどあんまり聴かないな」とか「この作品は俺は大好きだけど万人好みではないはず」なんて作品は山ほどあることはとっくに知っている。
これはレコードコレクターズの今回のブルーノートの企画にも当てはまると思います。結局、このベスト100は自分が好きな作品なのか?人に勧めたい作品なのか?よくわからない。
まぁ普通は自分が好きなアルバムだろ?とは思ったとして、順位のつけ方が曖昧。1位が30点、2位が29点とかで30点満点を積み上げたような感じはしますが(識者別のランキングはベスト30なので)、29位と30位の違いと1位と2位との違いって同じですか?と思うんですよね。1位は全体の三分の一ぐらいの得点は与えてもいいんじゃないかなとか思うわけですが、雑誌にそのあたりの集計の仕組みが書いてないので分かりません(書いてある特集の回もあります)。
ちょっと脱線しましたが、そんな観点で皆さんにおススメ盤を紹介します。
注:以前、初心者にお勧めの5枚という記事は既に書いているのですが、あれはブルーノート縛りではないのと、様々なジャズを知って欲しいという面もありで今回のおススメとは必ずしも一致していません。その時の記事はこちら ↓
では話を戻して今回のおススメです。1つ目はこちら ↓
Sonny Clark(ソニークラーク): Cool Struttin'(クールストラッティン)
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今回のベスト100では第11位にランキングされています。
ブルーノートの代表的作品であり、またジャズ全体でも超有名作品ということで安心しておススメできます。曲はややブルージーではあるもののドロドロしておらずいつでも聴ける曲調で、フックもあり聴きやすい曲ばかり。演奏もピリピリとした緊張感とは無縁のリラックスムードで、どこか華やかな感じさえします。
加えて、所有欲をくすぐるこのアルバムデザイン。アルバムタイトル「クールストラッティン」は気取って歩くみたいな意味らしいです。この脚は創業者であるアルフレッド・ライオンの女性秘書のものというのをどこかで読んだ気がしますが、ジャズの都会的なイメージをとらえた良いデザインだと思います。
しかも収録曲は全4曲。ジャズ初心者には優しい曲数で集中力も続きやすいでしょう。CDで聴いて40分かかりません。晩酌のBGMにもピッタリです。私的にこの作品はポップスです。それぐらい聴きやすい。けど飽きない。シンプルで飽きる作品は多いんですが、この作品にはそうならない何かがあります。
2作目に行きます。
Art Blakey(アート・ブレイキー): A Night at Birdland, Vol.1(バードランドの夜 Vo.1)
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今回のベスト100では第21位にランキングされています。
実はこの作品は以前に私の記事で勧めています。こちらの記事です ↓
同じ話をしてもしょうがないので、おススメ理由はリンク先の記事を読んでもらえると嬉しいです。端的に言って、ハードバップと言うモダンジャズ黄金期のスタイルがここから始まる正にその勢いを閉じ込めた所が凄いと思います。曲のメインテーマが始まって、アドリブ合戦になり、またメインテーマで締める。アドリブは正に若くみずみずしいこれからの才能のぶつかり合い。そんな熱さを感じてもらえればと思います。
最後のおススメはこちらです。
Lou Donaldson(ルー・ドナルドソン): Alligator Bogaloo(アリゲーター・ブーガルー)
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こちらの作品はベスト100のなかで、第46位となっています。
この作品の特徴は一言で言うと「オルガンジャズ」。リーダー名義のルー・ドナルドソンはアルトサックスの人なんですけど、このアルバムの曲は終始オルガンが支配しています。特に1曲目は楽しくダンサンブルなジャズで、彼の新境地を開いた曲。ジャズにもこういう曲があることをもっと知って欲しい!
2曲目はオルガンでメインテーマの8拍がループするなかなか野心的な曲。1曲目と対照的な曲だが、これはこれで聴けてしまう凄さ。
オルガンはロニー・スミス、ギターはあのジョージ・ベンソン。このアルバム全体を通してジョージベンソンは後のソロでの大活躍が目に浮かぶようなプレーではないものの、もともとオルガンとギターの相性が結構いいので、これはこれでアリな演奏。ウェズ・モンゴメリーのフォロワー的なフレーズが特徴です。
3曲目以降もオルガン主体の楽し気な曲が並び、難しいことを考えなくても純粋にジャズを楽しめます(6曲目はオルガンバラードです)。
ちなみに、今回のランキングにはオルガンジャズのアルバムが何作か入っています。一番上位の作品は12位「Unity」でラリー・ヤングの作品です。これはこれでファンキーじゃないところが逆にかっこよくておススメです。その他、オルガンと言えばジミー・スミスということで、ジミー・スミスのアルバムも何枚かランクイン(正直私はそれほどジミー・スミスは好きではないですが)。
いずれにしてもジャズを聴くうえでオルガンというのは1つの重要なジャンルともいえるので、ここで1つ耳を慣らすのもいいですし、「こういうジャズこそが好きなんだ!」も全然イイと思います。私はオルガンジャズが持つ説教臭く無いところを分かって欲しいと思っています。ジャズは直ぐに革新とか進歩という概念が頭をもたげますが、そういうところでジャズを聴かなくても楽しいジャズはたくさんあります。
ちなみに、このルー・ドナルドソンは今回の記事で既に2回出ているんです。ひとつ前でアート・ブレイキーの作品を紹介しましたが、その作品のアルトサックスはこのルー・ドナルドソンなんです。
このアルバムはルー・ドナルドソン名義で大ヒットしたのに、あまりにオルガンサウンドになじんでしまって脇役っぽい笑。でも本人はインタビューでこのアルバムは大好きだと言っています。理由は「儲かったから」だそう笑。
今日は「Cool Struttin'」と「A Night At Birdland Vol.1」を聴くことと、オルガンジャズを楽しむこと。それにはまずは「Alligator Bogaloo」(というか1曲目のタイトル曲「Alligator Bogaloo」)が最適!と覚えて帰ってください(12位の「Unity」もダンサンブルではないけど傑作です)。
次回は、このレコードコレクターズの特集そのものへの提言というか感想と、ランキングから漏れていると思うおススメ盤を紹介する予定です。
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