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私的ジャズ論:マイルス・デイビス論 その1 - その前に知っておくべきこと -
みなさん、こんにちは!
さて、少し記事にするのが遅れていましたが(誰も気にしてない?)、いよいよマイルス・デイビスの話をし始めようと思います。
マイルス・デイビスはジャズを聴いたことが無い人でも名前ぐらいは知っているほど知名度抜群、ジャズ界の一大ブランドといって良いと思います。ジャズと言えばマイルスみたいな。。実際、この記事を読んでマイルス・デイビスからジャズに挑戦しようとする人もいるかもしれません。
が、その前にそもそも論としてジャズについていくつかお話しておかなければなりません。なぜなら多くの人がジャズを誤解しているからです。その誤解が解けないままマイルス・デイビスを聴いても理解できることはないはずです。
ジャズに挑戦しようと初めてのジャズアルバムとしてマイルスの作品を買ったものの理解できず、二度とジャズに戻ってこないなんて人は世界で見たら年間1万人や2万人どころではないでしょう。それぐらいジャズ界はマイルス・デイビスの知名度で "逆に" 損している。
今回はそういうことないように、ジャズ初心者や未聴者に分かりやすくマイルス・デイビスの作品を通してジャズの楽しさや聴き方を説明するとともに、マイルス・デイビスの一体何が良いのか?について迫っていきたいと思います。
ちなみに、マイルス・デイビスの才能や作品、歴史を説明した優れた書籍は既にたくさんあります。日本では「マイルスを聴け!(中山康樹著)」が有名でしょうか?この本は何版にもなっていることから、そのバイブル的な人気がうかがえます。
しかし問題もあります。これらの本の良さや中身を理解するには、マイルス・デイビスの音楽性やジャズの全体感を理解していないといけないという「卵と鶏どっちが先?」命題が眼前に横たわっていて、その道はその道でなかなか険しいんです。
それよりも、まずこの連載でざっと理解することで「なるほど、そういうことね!」と納得してもらえれば、よりジャズはもちろんマイルス・デイビスもより楽しめるはずです。難しい本に挑戦する前にこの連載で全体感を掴んで欲しいと思います。
さて、ここから本題に入ります。
ここから少しずつ皆さんのジャズやマイルス・デイビスへの誤解を解いていきたいと思います。
では最初はこれです。
皆さんが誤解していることのその1
マイルス・デイビスがジャズで一番人気で一番凄いわけではない
ジャズ界で一番レコードが売れた人は誰か?これはマイルスかもしれません。ただ、それはマイルスがコロンビアと言う大手レーベルに所属し(今はソニー配下)、「帝王」という名前(キャッチフレーズ)で呼ばれているからと無縁ではないでしょう。みんなジャズに興味を持つとまずはマイルスのアルバムを買って聴く。だって「帝王」だから。そしてジャズから離れて行く(涙)。。マイルスのアルバムは売れるけどファンは一向に定着しない。
誤解を恐れずに言えば、ジャズのマニアとか愛好家は普段マイルスなんて聴いてません。全く聴かないことはないでしょうが、たくさんいるアーティストの一人です。マニアは各々好きなアーティストや音楽性があって、それを追いかけているわけです。もちろん、たまたまマイルスを熱狂的に好きな人もいるかもしれません。しかしそれでも他にたくさん人気があるアーティストは居るし、ジャズの聴き方はたくさんあるということなんです。いずれにしても、マイルスがジャズ界で1番なんだというイメージは持たないでください。
皆さんが誤解していることその2
ジャズは権威や知識で聴くものではない
ジャズというジャンルは厄介です。必ずジャズの歴史だったり、ジャズの物語性から入ろうとする層がいるんです。きっかけとして否定はしませんが、ジャズの歴史を辿って順に作品を聴くという聴き方は感心しません。理由は退屈だからです。ジャズには様々なスタイルがあり、一様ではありません。
ビッグバンドのジャズもあれば、歌もののジャズもある。ファンキーなジャズもあれば、難しそうなジャズもある。静かなジャズもあれば、激しいジャズもあるわけです。ジャズ初心者がすべてを一度に好きになるわけがない。ロックでいえば、ビーチボーイズとプレスリーとデビッドボウイとキングクリムゾンをいっぺんに聴いて良いと思えるのか?ロックの歴史を学べば彼らの音楽が理解できるようになるのか?恐らくそれはないでしょう。でもなぜかジャズだとこのアプローチを取りたがる解説が非常に多い。
そんなことよりも早く自分が聴きたいジャズがどんなフォーマットなのか、どんな音楽性なのか、どんな楽器を聴きたいのかを見つけてそこから聴き始める方が楽しいし、ジャズファンを長く続けられるはずなんです。
ジャズは常に大衆音楽であり、今でも大衆音楽です。知識が無いと聴けない音楽では決してない。普通にただ聴けば良いだけ。良いと思えないのは知識が無いからではなくて、聴きたいフォーマットのジャズと出会えていないか、聴き慣れていないだけ。
次回以降、マイルスを通してジャズへの理解やマイルス音楽の聴き方に迫って行こうと思うのですが、ジャズの多様性については、私の以前の記事を読んでおいてもらえると良いかなと思います。いわゆるジャズファンはどのようなジャズを聴いているのか?について概要をつかめると思います。
以下のリンクからその時の記事に飛べます。初心者におススメな作品も出てくるので、サブスクで聴いてらえると嬉しいです(気に入ったら媒体を買ってください)。
次回からのマイルスの記事ですが、いろいろ考え始めると巷の解説と変わらなくなってしまうので、私なりにエッジが出るような企画「マイルス・デイビスを知ることができる3枚」ということで、彼の長い歴史や音楽性をたった3枚で説明したいと思います。1回の記事で1枚ずづ紹介する予定です。
ジャズに関心のある方、マイルスを聴いてみたいという方、以前マイルスで挫折した方!はぜひお立ち寄りくださいませ。
キリが良いので、今日はここまでにします。
では、また次回お会いしましょう!