7日マーケット動向
まとめ
米株式はトランプトレードで大幅続伸も、日本株式は早くも息切れとの声も、TOPIX、東証グロースは+で終わった。
日経平均の寄与度でいくとファーストリテ、東京エレ、SBG。
日本の長期金利が高値更新1%超え、円安で日銀利上げ観測が高まる。
日本株式 ↓ 日経平均株価一時400円安 トランプ株高はや息切れか
米株式 ↑ NY株1500ドル高 ナスダック最高値 経済政策期待
為替 ↓ 外為17時 円相場、続落 一時154円台後半、3カ月ぶり安値
日本長期金利10年 ↑ 債券15時 長期金利、1.005%に上昇 一時3カ月ぶり高さ
日本株式
日経平均株価 39,381.41 -0.25%
TOPIX 2,743.08 +1.00%
東証グロース指数 798.98 +0.23%
↓ 2016年からのトランプ相場を知らない自分にはとても参考になる記事
7日の東京株式市場で日経平均株価が反落した。トランプ氏が4年ぶりに米大統領に返り咲くことが確実になった。前回2016年の初当選時に日本株の意外高をもたらした「トランプラリー」は再び訪れるのか――。市場はやや懐疑的だ。
6日の米株式市場ではダウ工業株30種平均が1500ドルあまり上昇するなど、主要3指数が急伸し、そろって最高値を更新した。東京市場でも日経平均4万円回復への期待が強かった。だが寄り付き直後に前日比400円高まで上げたあとは急失速し、460円ほど下げるなど振れ幅が大きい。
前日比100円超下げ、午前終値で3万9300円台をつけた日経平均株価(7日、東京都中央区)
日経平均は前日に1000円高とトランプ氏優勢を織り込んで上昇していたため、利益確定売りが出やすかった面はある。終値は前日比99円26銭(0.25%)安の3万9381円41銭だった。
日本株はトランプラリーの「勝ち組」という記憶が市場参加者には強い。トランプ氏が初挑戦した大統領選は16年11月8日(現地時間)。当時は民主党のクリントン候補が優勢とみられており、サプライズに日経平均は5%安の急落で反応した。
だが次の日には切り返し、投開票前比で年末までに11%高となった。ドイツ株価指数(DAX、10%高)や米S&P500種株価指数(5%高)を抑えて主要指数で首位だった。
市場参加者にとってはトランプ氏の保護主義的な政策が世界株を押し下げるとの見方が多く、トランプ氏の当選とその後の株高は二重の誤算だった。「ラリー」と称されるゆえんだ。
20年選挙で大統領の座を明け渡したトランプ氏が4年ぶりに返り咲く。米国の歴史でも132年ぶり2度目の出来事だ。トランプラリーは再び起きるのか。
市場では16年当時とは前提条件が異なり、大きな期待はできないとの見方が多い。
1つ目が今年は大統領選前までに株式相場が大きく底上げされていることだ。日経平均は今年15%、米ダウ平均も12%上げていた。16年当時はダウ平均が5%高止まり、日経平均は7%安に沈んでいた。
今回はトランプ氏と対抗馬のハリス氏が最終盤まで熾烈(しれつ)な争いを続けた。そのためトランプ氏当選は半分程度は織り込まれていたといえ、株高を演出するサプライズにはなりにくい。
さらに円相場を巡る環境も異なる。16年当時は1ドル=103円前後から年末にかけて118円程度まで15円ほど円安・ドル高が進んだ。輸出企業の採算改善期待が高まり日本株を特に押し上げる燃料になった。
だが足元の円相場は150円を下回る歴史的な円安水準にある。さらなる円安は輸入する物の値上がりなど「負の側面が意識されやすい」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の大西耕平・上席投資戦略研究員)
二つ目がトランプ氏が打ち出す関税拡大による景気懸念だ。6日には主要な欧州各国株価指数が軒並み下げた。景気に敏感な自動車関連はフォルクスワーゲンやBMWなどが売られ4〜7%安に沈んだ。「株式市場ではトランプ氏の当選確実を手放しで好感する動きは限られている」(国内証券ストラテジスト)
トランプ氏は日本製も含めたすべての輸入品に10〜20%の一律関税をかけると主張している。センジン・キャピタルのベテラン日本株運用者、ジェームズ・ハルス氏は「大規模関税は世界経済の重荷だ。実現すれば日本の大型輸出株には悪影響が大きい」とみる。
16年のラリーを振り返っても株高は年末までだった。17年1月に実際に大統領に就任してからは日経平均は9月ごろまで上下5%ほどの狭いレンジで推移した。市場がトランプ氏の政策実現力を見極めるフェーズに入ったためだ。
株高再点火のきっかけは9月27日、政権と上下両院共和党指導部が税制改革案を発表したことだ。12月にはレーガン政権以来の大型改革の成立にこぎ着けた。結果的に17年の日経平均は19%高で終えた。17年は「世界同時好況」とも呼ばれ、世界30カ国以上の株価指数が最高値を付けた。
18年には一転、世界株安が訪れた。日経平均は年間で12%安と7年ぶりの下落だった。
トランプ政権が通商政策に矛先を向け、3月に知的財産権侵害などを理由とする対中国の貿易・投資制裁の検討を発表したことが発端だ。第1弾として7月に中国からの輸入品340億ドルに25%の制裁関税を適用、中国はすぐさま対抗して、同率の報復関税を実施した。8月の第2弾、9月の第3弾へとエスカレートし「貿易戦争」と呼ばれた。
日興アセットマネジメントの神山直樹チーフ・ストラテジストは「今回はトランプ氏が関税率引き上げなどの保護主義と、減税などの財政拡大のどちらを優先するのか投資家もまだ見定められていない」と話す。
大統領に加えて上下両院でも共和党が多数を握る「トリプルレッド」の可能性が高まっており、その場合はトランプ氏の政策実現力が高まるとの期待もある。だが第一生命経済研究所の前田和馬主任エコノミストは「上下院を共和党が支配してもその議席数の差が僅差の場合、財政再建を志向する共和党議員は大幅な減税に慎重な姿勢を示すかもしれない。新規の大規模減税は実現が不透明な点もある」と指摘していた。
(南泰葉、今堀祥和)
米株式
【ニューヨーク=斉藤雄太】米大統領選でトランプ前大統領の当選が確実になったことを受け、6日の米株式相場は大幅高になった。ダウ工業株30種平均は前日比1508ドル(3.6%)高の4万3729ドルで終え、約3週間ぶりに最高値を更新した。トランプ氏が選挙戦で訴えた減税延長など米経済を押し上げる政策や規制緩和への期待から、景気に敏感な銀行株の上昇が目立った。
ダウ平均の1日あたりの上昇幅は新型コロナウイルス禍の直後で相場が急変動していた2020年4月以来、4年7カ月ぶりの大きさを記録した。多くの機関投資家が運用で参照するS&P500種株価指数は2.5%高、ハイテク株中心のナスダック総合株価指数も3%高になり、いずれも最高値を付けた。