19日マーケット動向(米国4年ぶり値下げ記念号)
日本株式
日経平均株価 37,155.33円
TOPIX 2,616.87
東証グロース指数 844.24
19日の東京株式市場で日経平均株価が大幅続伸し、前日比の上げ幅が1000円を超える場面があった。「意外高」を演出したのは、米利下げで円高・日本株安が進むとみたトレードを膨らませていた短期筋の買い戻しだ。長い目でみると、米景気が崩れなければ利下げ局面の「最初の利下げ」が日本株相場の大底になるという経験則がある。
そんなのあるんだな
日経平均の終値は775円(2%)高の3万7155円となり、3万7000円台を4日以来、半月ぶりに回復した。大幅高はここ最近の相場低迷の裏返しでもある。
パウエルFRB議長の記者会見を受けて「倍速利下げ」が続くとの見方が後退し、円相場はFOMC後の1ドル=140円台半ばから東京市場の19日午前には143円台後半にまで下落。
日経平均も軌を一にして上げ幅を広げた。りそなアセットマネジメントの平塚崇トレーディング部エグゼクティブ・アドバイザーは「為替と株のミラー相場が続いている」と表現する。
小売りは引き続き、輸出関連も
グロースが先に抜けた?
米株式
【NQNニューヨーク=戸部実華】米連邦準備理事会(FRB)は18日まで開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)で4年半ぶりとなる利下げを決めた。利下げ幅は通常の倍の0.5%となり、パウエルFRB議長は会見で堅調な経済を支えるための判断だったと説明した。
ところが、株式への買いは続かなかった。景気の先行き不安はくすぶったままで、大幅利下げの解釈を巡って消化不良の相場は不安定さを強めるかもしれない。
18日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続落し、前日比103ドル安の4万1503ドルで終えた。FOMCの結果発表直後は株への買いが広がり、ダウ平均の上げ幅は375ドルに達した。四半期ごとに公表される委員らの政策金利見通しでは、2024年末時点の水準が4.4%と前回6月の予想(5.1%)から下がった。9月の0.5%に続いて、年内残り2回の会合であわせて0.5%利下げする計算になる。継続的な利下げが経済を支えるとの見方を誘った。
注目されたパウエル議長の記者会見では「インフレ率が持続的に目標の2%に向かっていく確信が深まった」として政策の転換期を迎えたと説明。「米労働市場は堅調な状況。米経済は良好だ」と強調し、0.5%の利下げは現状を保つためであって「後手に回らないという決意の表れ」と語った。LPLファイナンシャルのクインシー・クロスビー氏は「議長は注意深く、大幅利下げによって市場の景気懸念が高まらないようにしていた」と会見を振り返る。
それでも相場の上値を試す動きは早々に失速し、主要な株価指数は最終的にはそろって下げて終えた。SIAウェルス・マネジメントのコリン・チェシンスキ氏は「大幅利下げが意味するものは何か。相場は消化しきれずにいる」と話す。
パウエル氏は先行きの政策決定について「会合ごとに」との文言を繰り返すばかりだった。チェシンスキ氏は米選挙や中東などの戦争といった地政学リスク、米国内外の景気先行きなど多くの不確実性を抱えるなか「今回は文字通りこの言葉を使ったのだろう」とみる。
7月の会合でパウエル議長は0.5%利下げは見込んでいないと述べていたが、前週になって観測報道が0.5%利下げの可能性を指摘した。FRBでさえ今後の経済や政策運営を予測することがいかに難しいかという印象も強めたかもしれない。
市場では「従来は景気がかなり悪い時に実施するとみられる大幅利下げに動いたことへの懸念はくすぶっている」(マーフィー・アンド・シルヴェスト・ウェルス・マネジメントのポール・ノルティ氏)という。会合後に公表された委員らの経済見通しでは24年末の失業率が6月時点の4.0%から4.4%に切り上がった。直近の8月の雇用統計で示された4.2%から悪化する見込みだ。
そもそもダウ平均や多くの機関投資家が運用指標とするS&P500種株価指数は過去最高値圏に浮上しており、不透明要素が多い環境では主力株に利益確定売りが出やすい面があった。会合後に米長期金利が上昇したことも株式の重荷だった。前週後半から急速に大幅利下げの織り込みが進み、株式も債券市場でも「噂で買って事実で売る動きが出た」(ミラー・タバックのマシュー・マリー氏)ようだ。
市場では「少なくとも11月の米大統領選挙を終えるまでは不安定な動きに身構えるべきだ」との声も聞かれる。今回の会合で「データ次第のFRB、データ次第の相場に変わりない」(マーフィー・アンド・シルヴェストのノルティ氏)ことだけははっきりしたようだ。
為替
19日の東京外国為替市場で、円相場は続落した。17時時点では前日の同時点に比べ60銭の円安・ドル高の1ドル=142円47〜49銭で推移している。米連邦準備理事会(FRB)が18日まで開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.50%の大幅利下げを決定した。だが、市場ですでに織り込みが進み、円高・ドル安基調が続いていたため、利益確定を目的とした円売り・ドル買いが出やすかった。実需の円売り・ドル買い観測も相場の重荷だった。
FRBが大幅利下げを決定した直後は米長期金利の低下を受けて円高・ドル安が加速したものの、次第に利益確定の円売りが膨らんだ。パウエルFRB議長が記者会見で、0.50%の利下げは「新しいペースだとみるべきではない」と発言した。将来の利下げペースが緩やかなものになると受け止められたことも、円売り・ドル買いにつながった。
国内輸入企業など実需筋からの円売り・ドル買い観測が相場を押し下げ、143円95銭近辺と約2週間ぶりの円安・ドル高水準をつける場面もあった。
円は対ユーロで3日続落した。17時時点では同90銭の円安・ユーロ高の1ユーロ=158円82〜85銭で推移している。
ユーロは対ドルで反発し、17時時点は同0.0016ドルのユーロ高・ドル安の1ユーロ=1.1147〜48ドルで推移している。FRBの大幅利下げを受けてユーロ買い・ドル売りが優勢だった。
金利
19日の国内債券市場で長期金利が上昇(価格は下落)した。指標となる新発10年物国債の利回りは前日比0.025%高い0.850%で推移している。米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果やパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の発言を受け、18日の米長期金利が上昇。大幅な米利下げで金利低下圧力がかかるとの思惑から買われてきた国内の長期債にも売りが波及した。
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