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退職届をバシッ!!
突然ですが、退職届を出したことがありますか?
ドラマで我慢ならない展開に上司の机に叩きつけたり、負けるとわかっている闘いに望む際に懐に忍ばせるアレだ。勤め人の最終兵器とも言える、あの退職届をいつか最も効果的な場面で使いたいとぼんやり夢想していた。
「辞めさせていただきます」(机にバシッ!)は、「私を倒してから行け」「実家に帰らせていただきます」に続く、いつか言ってみたい、やってみたいシュチュエーションの一つだった。
それをこの度やる機会を得た。
実に平和な職場で。
ただ困った事に、まず、退職届の書き方が分からない。
ネットに書き方見本はあるのだが、我が社に所定のフォーマットがあるのかが分からない。
通常ならば、分からないとこは担当部署に確認を取るのがセオリーだが、今回は内容が内容ゆえに事前に聞くことが難しい。何せ人事担当はこの場合最も強敵になることが予想されている。事前に知られ妨害を受ける事は避けたい。また不用意に他に知られて現在の職場の雰囲気やモチベーションを崩すのも本意ではない。
職場の仲間達に気取られず、これは無理だなと戦わずして悟られる間合いまで、一気に押し進めなくてはならない。でないと押し返され、懐柔されてしまうからだ。今回は退職を引き合いに出した交渉カードではないのだ。
しれっと受理されるのが、目指すべき姿である。
結婚より離婚が大変なように、入社も大変だが人材不足な場所の早期退職もなかなか難しい。特に病気になったわけでも親の介護があるわけでもない。
でも、決めたのだ。
私は、この船を自分の決めた時期に降りる。
最終目的地まで行かない。
そこが自分の行きたい場所じゃないと気がついてしまったから。
次を決めたわけじゃないけど、前職から含めて30年以上働いて年金も税金も納めてきたのだから、一旦降りてフラットになるのだ。満額じゃない退職金を早い時期に手に入れるのだ。後悔するかもしれないけど、それもまた私の人生だ。
退職届、さらに調べると退職願も出てきた。
届けて受理されるのか、願って許可されるのか。
ここは先達である、退職した友人に聞いてみたら、その当時は書式はなかったそうだ。でも直ぐには受け取ってもらえず、何度も面接が行われ、最終的には友人が人事の部屋の床に落として行ったとのこと。すごい武勇伝を聞いてしまった。
そうか、問題は書き方でなく提出の仕方の方か。
憧れのドラマの机にパシッ!は受け取ってもらえる人がわかっているからこそである。
そういうドラマでは上司は上に出してなくて机の中に隠してて時間が無事解決した後に「これは捨てていいな」とかいって破くヤツ…。
あ、違うの。今回はちゃんと受理されたいんだった。
上司に出すか、人事に出すか?
友人の場合、上司に問題あったからなあ。
今ほど企業倫理を問われる時代では無かったからだと友人は今でこそ笑っていたが、大変優秀な人材を失いたくなかった人事の気持ちもわかる。
長く勤めるといろんな人の立場も管理職の気持ちや役割もわかって身動き取りにくい。
あ、いかんいかん。管理者側に立ってしまうと無限ループにハマる。任意の退職届か退職願をとにかく誰か?に受理してもらうのだ。机にパシッは諦めて、円満退社といこう。
次に悩んだのは外装だ。
退職届はA4の用紙一枚、大きなフォントにしても大した内容じゃない。どうやったって2、3行。カッコつかなくて、押印廃止中だけど印鑑も押してみた。形式美。
これを一枚をペラで渡すのもいかがかと思い角3封筒に三つ折りで入れてみた。うん、いい感じ。紙だとパシッじゃなくてペロンだもんね。
そういえば、封筒表になんか書いてなかったっけ?退職届って書くのは演出?単なる封筒だと視聴者にわからないから?
ネットを調べると封筒サンプルもあったけど、他の人に見られないように封筒に入れたのにデカデカと書いてあるとどうかと、一旦何も書かずおく。
男性だとスーツの内ポケットに入れるのかも知らないが、今年は10月もまだ暑く半袖の気候。これをどこに持っておけば良いのか。
ドラマチックなパシッの場合の夢想が止まらずついシミュレーションしてしまう。しかるべきタイミングを逃さぬよう、肌身離さずに持ち続けるとヨレてしまうかもしれない。パシッの道は遠い。
結局、私の退職届は、極めて平和に受理された。
ホウレンソウと根回しと時期の確認をそれなりに頑張った結果ではあるのだが、あわよくば、パシッ!を夢見てたモノとしては、少し物足りなくもある。
でも通常退職なら、そもそも退職届を書くこともなかったのだから、それはそれでよしとしよう。