見出し画像

仕事の後は【スpラ二次創作・カナちゃんとガジェくんシリーズ】

僕はガジェ。
この名前は、恋人のイカガールのカナちゃんに付けてもらいました。
元々とある種族の群れで暮らしてた僕は、カナちゃんや色々なヒトたちに助けられながら、
見たことない珍しい魚の一種として、今はバンカラ地方で生活してます。

元の種族がバレるのが怖くて、スパイガジェットというブキに似た黒いカサを差し、黒いキャップをかぶって、最低でも頭は隠して生活してます。
でも、案外皆さん気にしません。

バンカラ街で働き始めてから早数ヵ月。
僕は、ナワバリバトルやバンカラマッチでの荷物運びをしています。
優しいクラゲの先輩方のもとで働いたおかげで、仕事にもすっかり慣れました。
今では僕は一番の力持ちと言われてます。
そして、イカ語も少し上手になりました。
恋人のカナちゃんも仕事をしてますが、彼女は…
あ!カナちゃんが来ました!僕の仕事もちょうど終わったので、また後で。

「カナちゃん、お疲れ様!今日もカッコよかったよ!」
「ありがとー、ガジェくん!でもちょっと危ないとこもあったけどね~」
「えー、そーかな?僕全然気づかなかったよ」

すると、カナちゃんと一緒に戦ったヒトの声がします。
僕は思わずカナちゃんの後ろに隠れてしまいます。

「カナちゃん!おつかれ!」
「カナちゃん、ありがとね!」
「カレシくんは相変わらずカナちゃんに隠れるの好きだね~」

いつも僕はこれを言われるけど、軽い冗談みたいなものなので、
カナちゃんも僕も気にしません。
そして、僕たちのお腹からぐぅ~、と大きな声がしました。

「いっぱい動いたからお腹空いちゃった!
 ねえみんな、今日もフードやドリンクのチケット、お願いしてもいいかな?」
「もちろん!明日期限のやつ3枚!」
「ぼくは今日のやつ1枚ね!」
「私は昨日の…あ、無理だよね」
「ううん、いいよ!」
「あ、よく見たら来月…」
「俺もいいかな?期限近いの5枚あるけど」
「え、そんなにいいの!?モチロンもらうもらう~!」

僕たちはこうして、今日対戦したヒトたちからフードやドリンクの期限が近いものを貰います。
敵さんだったヒトでも味方さんだったヒトでも関係なくです。
彼らに限らず、いつも戦ってるヒトたちからはカナちゃんはよくチケットを使ってくれるヒトとして助けられています。

「みんな~!いつもアリガトね!」
「お礼を言うのはこっちだよー!今度一緒にカフェ行った時におごるね!」
「カナちゃん、またよろしくねー!」
「うん、みんな!またねー!」

そういって他のヒトたちはロビーを出ました。
うーん、この他のヒトたちとも明るく話せる勇気、僕も欲しいと思ってしまいます…。
そして、今回貰ったチケットは…。

「ゎ!今日は15枚もあるね…!」
「しかもビッグマザーガーデンのチケットが2枚もあるよ!」
「今日はラッキーだね!あとはスタッフさんが大丈夫かだけど…」
「あたしは大丈夫だよ!あんたたち、いつも食べてくれてありがとね!」
「わ!」

少し離れてるのに、スタッフさんは聞こえてたようです。
そしてチケットの内訳は、ドリンク8枚、アゲバサミサンド3枚、マキアミロール360°1枚、
マキアミロール720°2枚、ビッグマザーガーデン2枚。
普通の子たちはアゲバサミサンド1個かマキアミロール360°1個、そしてドリンク1個だけでお腹いっぱいになるそうです。
でも僕たちはこれだけチケットがあっても嬉しいです。だって…

「はい、お待たせ!ビッグマザーガーデンだよ!」
「わあ!ありがと、おばちゃん!」

ドリンク4個とアゲバサミサンド2個とマキアミロール2個をすでに食べ終えた僕たちの前に、
ようやくビッグマザーガーデンが来ました。
君たちはよく食べるから嬉しいとは言ってくれますが、これだけのものを作ってくださるスタッフさんは正直凄いと、僕は思ってしまいます。

「おお、すでに何個か食べ終わってるね!
 じゃあこのゴミは片付けるからね!」
「ありがとうございまーす!」
「い、いつもありがとうございます…」

しかもごみの片付けまでしてくれるなんて…
本当に頭が上がりません。

そう、僕たちはいわゆる大食いと言われてて、
チケットが15枚程度だとむしろまだまだ足りないのです。
カナちゃんと僕の家はバンカラ街を出て徒歩1~2時間くらいの所にあります。
電車を使えば最寄りの駅には15分くらいで着きますが、
少しでもお金を貯めたくて、体力をつけたいカナちゃんはいつも行きも帰りも歩いてます。
だから、僕たちは他のヒトたちよりもお腹がよく空くかもしれません。
それでも栄養が足りないのか、カナちゃんは他のヒトたちよりも
少し背は高いけど、少し痩身です。
僕も、以前群れでいた時、重いブキを持ちながら空高く跳ばなきゃいけない責務についてました。
重たいものを持つために訓練だけじゃなくて、たくさん食べなきゃいけなくて。
だからでしょうか?
今でも体が覚えてるのか、たくさん食べてもまだまだ足りないんです。

―――――

「はー、全部食べたね!次はラーメン食べる?」
「いいね!実は穴場のラーメン屋さんがあるみたいよ!」
「えー、ホントにー!?行こ行こー!」
「あんたたちすごいね!こんなに食べてまだラーメン食べるなんて!」

片付けに来たスタッフさんも嬉しそうです。
すると、「ちょっとちょっといい?」と、僕たちにとあるチケットを渡してくれます。

「はい、これ別のラーメン屋のだけど。
 安い上に大盛り無料でトッピング500ゲソ分無料になるけど、使う機会がなくってねー。
 だからあんたたちで使ってくれる?」
「え!いいんですか!?」
「もちろん!あんたたちはいつもあたしの料理をおいしく食べてくれるからね! ちょっとしたお礼よ!受け取りなさい!」
「ゎぁ!あ、ありがとうございます…!」

僕たちがロビーを出ようとすると、スタッフさんは店を出て嬉しそうに腕を振ってくれました。
だから、カナちゃんも僕も腕を振り返しました。

ロビーを出て、僕はナマコフォンでさっきのチケットのラーメン屋さんの住所を探します。

「へー、ここ結構近いんだね」
「さっき言った穴場のラーメン屋さんはまた今度行く?」
「そうだね!またの機会にしよう!」

ここに暮らしてからまだ青いけど。
僕はすっかり、バンカラ地方の魚になってました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?