『水の子』
とある水の豊かな大陸にアトランという神とも悪魔とも言われる得体のしれぬ者たちがいた。
生態は古代から謎とされ、水のあらゆる形態を操ることができるとされた。
その中で、数千年前、水の子と呼ばれる、人間のような容姿の、水の加護と脅威になりうる力を持つ者が現れた。
力ゆえ、最初は大陸の人間たちにあらゆる恩恵を及ぼすに至ったが、やがて、運命の歯車が外れ、大陸全体を水害と豪雨で襲ったというのである。
長らく多少の水害の年と、実り豊かな年と、人間たちの困らぬほどの水の加護の繁栄が続き、アトランという得体の知れぬ者たちの話と
水の子という存在は神や畏敬の存在として伝承へとなり果てていった。
時は過ぎて、現代…。
修道院のとある川に水を汲みに行ったシスターが、赤子を拾う。籠に入っていたが、手紙や詳細のわかるものは何もなかった。
赤子を拾って、修道院に併設されていた、孤児院でケインと名付けられ、すくすくと成長していった。
しかし、6歳頃になると、不思議な力が現れる。あらゆる水に関わる物事を操る力が現れたのである。
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