メンタル不調で休職した「問題社員」が、復職したいと言ってきたんです。 その0 実はチャンス到来!なはなし
「『困った人』は『困っている人』」
いきなりですが、
「『困った人』は『困っている人』」
これは精神医療ではまず初めに刷り込まれる考え方。
なぜって、精神科に受診する患者さんは、自分で困って受診してくる人より、周りの人が困って受診させられてくる人の方が多いから。
(まあそうでなくなってきているという意見もございましょうが)
精神医療受診のきっかけになる、周りの人が困る問題行動は、
「起こす」のではなく、「どうしようもなく起こしてしまうもの」。
だからそれを治療することで、
本当は本人が困っていたことを改善することになる。
それが精神科治療の基本中の基本。
本人は最初は「自分は困ってない!」と言っていても、
治療を勧めていくうちに、
実は自分が困っていたことに気づいてもらえること、
それが治療の重要なステップ。
「問題社員」はだれの問題?
ここまで、「問題社員」として
「」で括ってきた。
それは、必ずしもその社員が問題だとは限らないから。
その社員にまつわってうまくいかないことがある、
それは間違いないけれど、
うまくいかないのは本人のせいだけとは限らない。
仕事ができない人は、
仕事の進め方が理解できていないのは間違いない。
でも、
理解できる言葉やコミュニケーション方法が限られているのかもしれない。
口頭での指示ではわからないのかもしれない。
忘れてしまうのかもしれない。
はたまた時間が足りていないのかもしれない。
もしかしたら、
自分が仕事が十分にできていないことにも気が付いていないのかもしれない。
だとしたら、まずできていないことに気づいてもらうことから始めなくてはならない。
不適切なふるまいをする人は、
自分の行動が不適切だとは理解できていない。
まず間違いなくそうだろう。
指摘されたら気づくのか、
処罰されないと気がつかないのか、
それはその人に拠るけれど。
「問題社員」がメンタル不調になった時
「問題社員」がメンタル不調になったら、
これは事態改善の大チャンス到来!
なぜなら『困った人』が『困っている人』に間違いなくなっているわけだから。
「問題社員」はどうしても厄介者扱いされてしまうけれど、
「厄介者だ!」と責められて変化しようとする気になるなんてよっぽど変り者。
ほぼすべての人はそれはへそを曲げる。
でも「困っている人」になってくれたら、
<困った状況を一緒に改善しましょう>と手助けの手を差し伸べることができる。
だから、『困った人』が『困っている人』に間違いなくなっている、
「問題社員」がメンタル不調になっている時は、
その状況を改善させていくための大チャンス、なのです。
もちろん、その「問題社員」さんにとっては大ピンチなのだけれど、
きっとその「問題」が発生していることが、
その「社員」さんをメンタル不調にしている
きっかけになっているはず。
全部とは言わないけれど。
「ボーダーライン状態」のように
「ボーダーライン」を「ボーダーライン状態」と捉えて改善させていくことが必要なのと同じように、
「問題社員」も「問題社員状態」と捉えて対応していくことが必要なんじゃないかと。
つまるところ、対応の基本は「生暖かく」。
きっと変化すると期待しながら、
時間をかけてゆるゆると対応していく。
変化するしかない状況を作ることに努力する。
まるで「問題社員」シフトでしょうか。
まず先にこっちを書いたら良かったなー