鳥の言葉 ムクドリ
資材置場のまわりの草が伸び放題になってしまったので、
草刈りをした。
伸び放題だが、2週間ほど前にも刈っているので、若い草で、
刈り込みは楽である。
ふと気がつくと、鳥の鳴き声がうるさい。
そちらの方を見ると、ムクドリが10数羽、群で降りてきていた。
しきりに草を啄んでいる。
庭の木や、近所の森でムクドリの群を見ることはよくあるが、
畑の傍の草むらでみるのは初めてだ。それも、私の足下でのことだ。
草を啄みながら、こちらに寄ってくる。一羽は、私の2mくらい
そばまで来た。
こちらが眼に入らないのか、こちらを警戒していないのか。
それとも、この子はやんちゃなのか。
群で降り立つほど、虫がいたのか。テントウムシやバッタやミミズ
がいるけれど、小さな虫がそんなにいるのは人間の眼では無理かなと
思いながら見ていると、わずかな気配で飛びだっていってしまう。
ああ、行ってしまった、でも、いい時間だったなと思っていると、
また帰ってきて、草を啄んでいる。その間も、鳴き声はやまない。
きっと、何か情報交換しているのだろう。
こっちにも沢山あるぞ、とか、この人間はどんくさいぞ、とか。
今日、ここにいる人間は何もしないから、警戒しないでゆっくり
食べて行っていいぞと伝えたいが、それも詮無いこと、
人間は帰ることにした。
帰って娘に、この話をしたら、ムクドリが食べているのは、
虫ではなく草の種だという。草刈りをすると、カラスが
よく来ているのだとか。
カラスなら、もう少しギャーギャー言って、言葉らしいやり取りが
感じられたかも知れないが、それはそれ、
ムクドリの群と地面の上で一緒に過ごした。
こういう時間を持てたことに、まだ浸っている。