過去の私の作品⑮


少しずつ光が私を包み込んでくれていた。
心地良い温かなぬくもりを感じ、安心さえしていた。
もう大丈夫。
そう自信を持てそうだったのに。
その光の手前に大きくて冷たい氷の板があることを私は忘れてしまっていた。
いや見えないフリをして誤魔化していたのかもしれない。
この氷が溶けてくれると1人で喜んでいたのかも…。結局、溶けてなくなることはないみたい。
たしかに氷越しの光は、眩しい光で美しく、澄んだ透明感と輝きを感じ美しい。
でも、本来の温もりも、光の優しさも感じないのだ。
わかってる…。
この氷の板は、
ある時を堺に私が、現実を遠ざけるために、自分で作ってしまったものであることも、その現実を受け入れたなら、ゆっくりではあるにせよ、その氷の板は溶けてくれることも…。
わかってる…。
でも、それから逃げたくても、怖くてできない私がいる…。
誰か教えて…。
氷の板の冷たさも、重さも、透き通る美しさも、嫌だけど嫌いになれない現実から離れる方法を…。


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